国際会議:小島嶼開発途上国

お知らせ-サモアで開かれる国際会議で小島嶼開発途上国のディーセント・ワークを促進するILO

報道審議会 | 2014/08/25

 「真正かつ永続的なパートナーシップを通じた持続可能な開発」をテーマに、9月1~4日にサモアのアピアで開かれる第3回国連小島嶼開発途上国会議にILOはジルベール・ウングボ副事務局長率いる代表団を派遣して持続可能な開発に至る一つの道として働きがいのある人間らしい仕事の創出の重要性を強調します。ウングボ副事務局長は開会式の他、様々なサイドイベントに参加し、ILOのプロジェクト現場を視察します。

 ILOは会議に向けて小島嶼開発途上国のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)についてまとめた報告書を作成しました。9月2日に発表される『Decent work and social justice in Pacific Small Island Developing States - Challenges, opportunities and policy responses(太平洋小島嶼開発途上国におけるディーセント・ワークと社会正義:課題、機会、政策対応・英語)』及び9月1日に関連イベントが開かれる『Decent work in Caribbean Small Island Developing States(カリブ小島嶼開発途上国におけるディーセント・ワーク・英語)』の2冊の報告書は、適度な生活の糧、社会的保護、労働者の権利の尊重を提供する働きがいのある人間らしい雇用は、環境、社会、経済の持続可能性の必要不可欠な要素であると論じています。

 各地の専門家を含むILOの代表団は会議に幅広く参加します。8月28日には会議前行事の一つとして開かれる青年フォーラムの中で教育、雇用、起業家精神の会合の進行役を務め、前日の27日にはこのフォーラムに若者が効果的に参加できるようアドボカシー技能訓練を提供します。8月30~31日に開かれる民間セクター・フォーラムには、ティンダル財団から発表される若手農家のための起業家技能訓練に関するパートナーシップ機関の一つとして参加します。9月1日には「カリブ海諸国の完全雇用とディーセント・ワークに向けたより緊密な経済統合の促進」をテーマとするサイドイベントをトリニダード・トバゴ政府と共催し、3日には「太平洋の持続可能な開発、労働市場、労働力移動」に関するサイドイベントを世界銀行と共催します。

論評-モーリシャスの緑の野心を紹介するILOグリーン・ジョブ計画調整官

ヴァン・デル・レー・グリーン・ジョブ計画調整官

 会議を前に作成された論評記事で、ILOのケース・ヴァン・デル・レー・グリーン・ジョブ計画調整官はグリーン経済化の先駆的島嶼国であるモーリシャスの経験を紹介して持続可能性の達成におけるグリーン経済の重要性を説いています。

 モーリシャスは2008年に「永続的な島モーリシャス(MID)」と題する持続可能性のための概念文書をまとめ、社会全体を巻き込んだ協議を経て2013年にエネルギー、環境、雇用/経済、教育、公平の各分野における達成目標を定めた包括的な国家行動計画を策定しました。行動計画は野心的で、例えば、2010年に6.3%とされるグリーン・ジョブ就業者比率を2020年までに10%に引き上げるといった数値目標などを含んでいます。四つの行動計画で構成される2014~17年の計画第1期には、エネルギー、環境、グリーン経済、海洋経済の分野で130余りの事業が実行される予定です。

 ILOは2011年からモーリシャスの政労使によるグリーン・ジョブ創出努力を支えてきました。この協働関係はグリーン経済とグリーン・ジョブ、必要な技能、企業開発、労使団体の役割の間に機能的なつながりを構築する助けになっています。モーリシャス・グリーン・ジョブ計画を通じてILOはグリーン・ジョブ促進に向けた調査研究、啓発活動、能力構築、効果的な技能開発制度、企業のグリーン化などの分野で移行を支援し続けています。この支援は今年7月から、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)との共同事業である「グリーン経済に関する行動のためのパートナーシップ(PAGE)」の枠組みの中で提供されています。

 製造業、観光業、エネルギー産業といった基幹産業部門においてモーリシャスが示すことのできる実践的な事業グリーン化の例はますます増えてきています。これには太陽熱による湯沸かしシステム、廃水再利用、廃棄物リサイクリング、天然冷房装置によって生産工程をグリーン化した繊維会社や天然及び再利用の建設資材を用い、再生エネルギー源を通じた発電や廃棄物の堆肥化、電池、プラスチック、紙、携帯電話のリサイクルに従事する、家族経営のコテージ宿泊ビジネスなどが含まれています。こういった投資は雇用を生むだけでなく、最大30%の省エネを達成することが可能です。余剰電力を中央電力局に販売するに至っているコテージ・ビジネスの場合は、費用節減に加えて企業イメージの向上という最大の利益がもたらされたと言うことができます。

 グリーン経済の成長と成功のためには、すべての人に生産的で働きがいのある人間的な仕事(ディーセント・ジョブ)、つまり、環境に対する悪影響を減らす助けになるディーセント・ジョブで、最終的には環境、経済、社会のすべての面で持続可能な経済及び企業に至るようなグリーン・ジョブがもたらされる必要があります。グリーン経済は企業に多大な利益をもたらしますが、情報や公的施策による支援を必要としている企業がなおも多いことがILOの調査研究から判明しています。そこでILOは2012年にモーリシャスの政労使を対象に、グリーン・ジョブの促進、企業のグリーン化、技能向上、労使団体の役割強化のための具体的な措置について合意することを目指して行動指向型ワークショップを開催しました。ワークショップで挙がった提案には、課税や貸付における奨励措置、エコラベルや認証などに関するものを含む研修機会の設営、科学技術や設備装置に関するものが含まれています。

 うまく管理された場合、環境的及び社会的に持続可能な経済への移行は雇用創出、雇用の質の向上、社会正義、貧困撲滅を力強く推進する可能性があります。経済、企業、仕事のグリーン化は小島嶼開発途上国を中心に、脆弱な諸国や地域社会の対応力を高め、気候変動との闘いに寄与することになるでしょう。

広報記事-技能習得によって切り開く新たな人生:東チモールからの報告

 第3回小島嶼開発途上国会議では小島嶼国の持続可能な開発を確保する方法が検討されます。そのカギを握るのは、教育と訓練を通じて若者に力を付けさせることです。会議を前に作成されたこの広報記事は、東チモールにおけるILOの活動を紹介しています。

 東チモールでは、就労している若者の7割がインフォーマルな就業形態にあります。生産的で質の高い就労機会の欠如は、若者自身のみならず、家族や社会、経済全体にとっても多大なコストとなります。仕事の不足は若者を外からの影響に弱い状態にし、いまだ制度構築の途上にある国において犯罪や暴力の増加、急進的な政治の台頭を引き起こす可能性があります。

研修風景

 ILOはオーストラリア政府の資金協力を受けて東チモールで国の認定する研修コースを提供し、多角的な近代経済の促進に向けて労働力及び雇用に関する政策・戦略を策定することを目指す「訓練・就業支援計画(TESP)」を2013年から2年間の予定で実施しています。若者の就業率を高める努力の中心的な柱として、TESPはとりわけ若い女性の訓練とキャリア・カウンセリングに力を入れています。2013年の受講生の約51%に相当する2,067人が女性でした。

研修風景

 その1人であるベアトリス・デ・サントスさんは7人の弟妹の面倒を見るために学校を止め、家計を助けるために昨年村を出て首都ディリにやって来ました。学歴が低い若者に対して政府が様々な講座を提供していることを友人から聞いたデ・サントスさんは、非政府組織(NGO)が提供する無料の英語コースを受講した後、TESPの一環として東チモール職業訓練・雇用政策局(SEPFOPE)が提供する観光・接客業講座に登録しました。デ・サントスさんは、建設業、農業、観光業などの様々な産業部門や総務・財務、小企業向けの就業用スキル、語学、計算能力などの科目を組み合わせた基礎コースを受講し、入門レベルの修了証を取得することに成功しました。東チモールで初めての観光・接客業における正規講習の一つから得られたこの修了証は、より高いレベルの職業訓練への道を開くものとなっています。ホテル・観光業のスタッフには従来、職場内研修か、時には海外での訓練機会しかありませんでした。このコースは、ドス・サントスさんのように子どもの世話や結婚して家庭を持つといった伝統的な女性の役割を果たすことを期待されることによってなかなか得られない高技能職に就く機会を若い女性に開くものとなっています。

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 以上は次の英文記者発表及び関連記事の抄訳です。