技能と就業能力

良質の見習い研修は若者を働きがいのある人間らしい仕事に導く「黄金律」と説くILO事務局長

記者発表 | 2014/09/16
職業・専門教育訓練国際会議で講演するライダーILO事務局長

 スイス連邦経済教育研究省(EAER)教育研究革新局(SERI)が9月15~18日の日程でスイスのヴィンテルトゥール市で開催している職業・専門教育訓練国際会議において16日に基調講演を行ったガイ・ライダーILO事務局長は、若者を働きがいのある人間らしい仕事に移行し、企業が将来必要となる人員を見つける手助けを提供するものとして、ILOは「良質の見習い研修制度の促進」を最優先事項に掲げていることを紹介しました。そして、質の高い見習い研修制度を有するスイスなどの国々の失業率が低いことを指摘して、「私たちは何が機能するかについてかなりよく知っている」と説きました。

 欧州で見習い研修制度の参加率が最も高い国はスイスであり、これにドイツ、オーストリア、デンマークが僅差で続いています。事務局長は、見習い研修制度が成功しているこういった国々を観察して、良質の制度には幾つかの共通の特徴があることが判明したとして、◇見習い研修生の労働者としての権利を保護する適切に規定された法的枠組みの下で見習い研修生を従業員のように扱っていること、◇実効性のあるパートナーシップを獲得し、良質の見習い研修制度を構築するために、使用者、労働組合、研修機関、政府機関の役割が規定されていること、◇官民の費用分担による適切な財源及び見習い研修生の公正な報酬が確保されていること、◇幅広い職業について若い男女に「学びながら稼ぐ」機会が提供されていること、などの要素を示しました。そして、教室と職場研修を接合することによって機能する見習い研修制度は、労働市場で求められている技能が教育制度から生み出された技能に適合しないといった問題を回避できると語りました。さらに、9月中旬に開かれた主要20カ国・地域(G20)の労働・雇用大臣会合で共有された各国の雇用行動計画の多くで見習い研修を含む研修が目立つ位置を占めていたことに元気づけられたとの感想を述べました。

 ILOはスイス開発協力庁と協力して見習い研修制度の構築に関する情報と政策助言に対する関心の高まりに対処しています。また、中小企業の労働条件と生産性の向上を目指して実践的な訓練と工場内カウンセリングを提供する「競争力と責任ある企業を支える(SCORE)計画」に対してもスイスから支援を受けています。ILOは国際レベルでは国際使用者連盟(IOE)の発案事業である「グローバル見習い研修ネットワーク」の立ち上げを支え、地域レベルでは欧州の労働組合と使用者団体の積極的な関与を得て2013年に欧州連合(EU)が立ち上げた欧州見習い研修同盟に対する支援を提供しています。

 現在、世界全体で7,000万人以上の若者が失業していると見られますが、これには就労も就学も訓練受講もしていないニートの若者は算入されていません。今後毎年労働市場に新たに加わる主として若者に対処するだけでも約4,000万人分の仕事を緊急に創出する必要があります。ライダー事務局長は、「私たちはもっと多くの仕事を創出する必要があり、新しく創出された仕事に向けて若者を準備する必要があることを知っている」として、「これは道徳的な論拠、社会正義の基本事項であり、経済成長と生産性にとって決定的に重要」と訴えました。

見習い研修を検討すべき五つの理由

アクスマンILO技能開発制度上級専門家

 ライダーILO事務局長が9月16日の基調講演の中で、ILOが「良質の見習い研修制度の促進」を最優先事項に掲げていると紹介したのに合わせて作成した同日付の投稿記事で、ドイツ出身のミハエル・アクスマンILO技能開発制度上級専門家は、18歳の時に地元の銀行で見習い研修を行う決定をしたことを職歴上の人生最良の選択の一つだったと振り返り、次の五つの理由を挙げて、若者に見習い研修機会の活用を呼びかけています。

  1. 貴重な職務スキル学習の機会
  2. 給与をもらう機会
  3. 独立する機会
  4. 職業人生のジャンプスタート
  5. 仕事の世界の扉を開く

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 以上は次の英文記者発表及びブログ記事の抄訳です。