ILO新刊:学校から仕事への移行

学校からディーセント・ワークへの移行の困難に直面しているヨルダンの若者の実態を示すILO新刊

記者発表 | 2014/07/21

 ILOはマスターカード財団の資金協力を得て実行している「若者のための仕事(Work4Youth)プロジェクト」の一環として、世界28カ国で学校から仕事への移行について調査しています。対象国の一つであるヨルダンの調査結果がこのたび発表になり、開かれた教育機会にもかかわらず、この国では若者労働力人口が非常に少ないことが判明しました。

 5月8日に開かれたワークショップで発表された報告書『Labour market transitions of young women and men in Jordan(ヨルダンにおける若者男女の労働市場への移行・英語)』によれば、移行がスムーズにいく若者がいる一方で、無職の若者の55.8%が1年以上にわたって就職活動を続けており、満足のいく安定した仕事が見つかるまで約3年かかる場合もあることが示されています。15~29歳の若者5,405人を対象に行った調査からは、労働力に加わっていない若者が6割に上ることが明らかになっています。とりわけ女性の場合は、全体の3分の1が就職も就学もしていません。ヨルダンの若者の失業率は他のアラブ諸国より若干低いとはいえ、調査時点(2012~13年)で世界平均のほぼ2倍の24.1%に達し、特に女性は男性(18.7%)の2倍の41.8%になっています。男性の場合は学歴が上がると失業率は低下するのに対し、女性の場合は学歴にかかわらず失業率が4割を下回ることはありません。若者の大半が、正式な契約が取り交わされ、社会的な給付が備わったフォーマルな仕事に就いているものの、平均を下回る賃金で、労働時間が長いインフォーマルな仕事に就いている若者も多く存在します。

 報告書は若者の学校から仕事への移行の円滑化に向けた政府の努力を評価しつつも、失業や技能ミスマッチ、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の不足といった問題に対する取り組みを強化する必要性を指摘しています。

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 以上はILOアラブ総局によるアンマン発英文記者発表の抄訳です。また、ILOが国際青少年育成財団と協力してヨルダンで展開している自動車修理工場における見習い研修事業の活動を紹介する広報動画も作成されています。