労働安全衛生

世界労働安全衛生会議開幕:死亡労働災害のない世界は可能/労働災害の犠牲者は戦争の犠牲者よりも多いと説くILO事務局長

記者発表 | 2014/08/26

 8月27日までの4日間の日程で24日にフランクフルト(ドイツ)で開幕した第20回世界労働安全衛生会議の開会式において主催者らは、「死亡労働災害または重大労働災害のない世界は可能」と訴えました。この世界最大の労働衛生の大会はILOと国際社会保障協会(ISSA)が共催して3年ごとに開いています。20回目を迎える今回はドイツ社会事故保険(DGUV)が受入団体を務め、141カ国から4,000人近い労働衛生の専門家、政治家、科学者らが参加して、仕事をより安全で健康的にする方法について話し合いを行います。

 負傷者が出る労働災害は世界全体で1日当たり86万件発生し、毎年230万人が職場における事故や職業性疾病によって命を落とし、職業病や労働災害の間接的または直接的なコストは2.8兆ドルに上るとILOでは推計しています。ガイ・ライダーILO事務局長は、「このような数値は許容できない。にもかかわらず、このような日々の悲劇は世界のレーダーに現れない場合が多い」と説き、重大労働災害は第一に人間の悲劇であるものの経済や社会も高い代償を支払うことに注意を喚起して「まだやるべきことが多いのは明白」と訴えました。事務局長は、安全で健康な職場を享受できる権利は「基本的人権」であると唱え、この人権の尊重は義務であるだけでなく、持続可能な経済開発の条件であるとして、「予防は可能であり、必要であり、報われる」と主張しました。

 ISSAが最近行った研究からは、予防に対する投資は平均で投資額の2倍以上の見返りをもたらすことが示されていますが、仕事の世界が激変する中でとりわけ精神的及び人間工学的な重圧のために労働者の健康と福祉が依然として懸念事項になっています。そこで、ISSAのエロル・フランク・ストーベ会長は個人の安全、健康、福祉と結びついた新たな総合予防戦略の策定を呼びかけました。

 DGUVのヨアヒム・ブロイアー理事長は死亡労働災害または重大労働災害のない世界を目指す「ビジョン・ゼロ」は「実現可能」として、100年前に業務関連の死亡者数が年間1万人を数えたドイツで昨年は初めて死亡者数が500人を下回った事実を示して、この成功はドイツ以外でも再現できることが多数の国際協力例や経験から判明していることを紹介しました。

 世界会議組織委員会のヴァルター・アイヘンドルフ委員長は、労働安全問題に対する解決策は世界中で開発されつつあり、様々な国で実験や評価を経た最善事例が存在することを挙げて、世界会議では再びゼロから始めなくてはならない無駄を省くアイデアの交流ができることを指摘しました。

 翌26日にILOからの報告を行ったライダーILO事務局長は「職場におけるリスクに対する不寛容文化」を求めました。事務局長は、「エボラやそれが引き起こしている悲劇が日々、新聞の見出しを飾っているのは正しい」ものの、仕事に関連した死がそのような扱いを受けていないことを指摘して、「恒常的な意識の文化」を確立することを今後の課題に挙げました。そして、安全で健康な職場が確保されないということは、労働形態として許容できないことを意味するとして、安全と健康をILOのすべての活動の不可欠な一部とするつもりであることを明らかにしました。また、労働安全衛生の分野では根拠に基づく政策・事業計画の設計・実行のためのデータが不足していることに注意を喚起して、良質のデータの必要性を強調しました。一方で、元気づけられる兆候として、効率的な労働者保護の重要性が世界の政策課題の上位に上がりつつあることを挙げ、例として、2013年に開かれた主要20カ国・地域(G20)のサンクトペテルブルク・サミットでより安全な職場にG20がどうすれば寄与できるかに関してILOと検討するようG20雇用タスクフォースに指示が出されたことを紹介しました。

ライダーILO事務局長講演ハイライト(英語)

* * *

 以上は次の二つのフランクフルト発英文記者発表の抄訳です。