ILO事務局長:雇用創出

グローバル経済における雇用創出に向けて公的資金のさらなる注入を呼びかけるライダーILO事務局長

記者発表 | 2014/07/28
ラホイ首相(右)と会談するライダー事務局長

 7月24~25日にILOがスペイン雇用・社会保障省及び経済協力開発機構(OECD)と共催してマドリードで開いた第2回公共雇用政策国際フォーラム出席のためにスペインを訪れたガイ・ライダーILO事務局長は、公共雇用政策やニューエコノミーなどのフォーラムに参加し、マリアノ・ラホイ首相、フェリペ六世国王、レベッカ・グリンスパン・イベロアメリカ事務局長(SEGIB)、ペドロ・サンチェス・スペイン社会労働党(PSOE)書記長などとも会談し、若者の失業問題や政府によるスト権侵害の問題で結社の自由委員会で検討されることになっている組合からの申し立てなどについて意見交換を行いました。

国王フェリペ六世(左)に謁見するライダー事務局長

 今年第1四半期のスペインの失業率は25.9%と、欧州第2の高さでしたが、先週発表された第2四半期の速報値では24.47%と、2年ぶりの低い水準になっています。訪問後に感想を求められたライダー事務局長は、この展開を歓迎しつつも、なおも500万人の失業者が存在する現状に注意を喚起して、必要なのは単なる仕事ではなく、人間らしく働きがいのあるディーセントな仕事であることを強調しました。さらに、15~24歳の若者の失業率が50%超と年長世代の2倍に達していることを示して、「スペインだけでなく世界中で若者は特に危機的状況にある」として、働いても学んでもいない若者が多いことにも触れ、「これまでで最も教育水準が高い世代であるにもかかわらず、各国は若者が求めている就業の機会を創出できていない」と指摘して、世界的に労働市場の回復が相対的に遅れていることの原因として「需要不足」を挙げ、現在世界中で進行中の弱い経済回復を強化する上で積極的労働市場政策が果たし得る重要な役割に光を当てました。事務局長は、労働市場機構が発達しているOECD諸国でさえ、2011年に積極的労働市場政策の促進に充てられた額は国内総生産(GDP)の0.6%程度に過ぎない状況を示して「十分な公的資金が雇用創出に注入されていない」単純な事実に注意を喚起して、この数字を2倍にするだけで欧州連合(EU)などの先進国では約400万人分の雇用を新規に創出できる可能性を指摘しました。

 ライダー事務局長はさらに、財政強化と弱い個人支出が生産の伸びにマイナスの影響を与えている一方で、所得不平等の拡大、良質の教育訓練に対する不十分な投資もまた労働市場に影響してきたことを指摘しました。そして、私たちが直面している課題は、「単に危機から回復する」ということだけではなく、「都市化の進行、科学技術の急速な変化、環境に対する脅威など、前途に横たわっているより長期的な構造的課題もまた仕事の世界に大きな影響を与えるものであり、注目するに値する」と結びました。

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 以上はマドリード発英文記者発表の抄訳です。