ILO理事会

ILO理事会結社の自由委員会役員が語る:権利を保護し、生命を救う委員会の活動効果

記者発表 | 2014/03/26
理事会写真

 3月13~27日の日程でジュネーブのILO本部において開かれた第320回理事会では50近い議題が取り上げられました。ILOと民間部門との関わり、労働力移動三者構成技術会議など昨年後半開かれた諸会議・総会決議などのフォローアップ、なかなか批准が進まない2003年の船員の身分証明書条約(改正)(第185号)に係わる国際協力の提案、ハイチ、ソマリア、東チモールなどの脆弱な諸国におけるILOの技術協力のあり方などに関する審議が行われ、労働における基本的原則・権利関連条約未批准国からの年次報告書、ベターワーク(より良い仕事)計画などの技術協力計画の活動報告、バングラデシュにおける労働組合の権利、ベラルーシやベネズエラにおける結社の自由を巡る最新情勢などが報告されました。

 基準分野ではさらに、カタールにおける強制労働条約(第29号)の適用状況に関する申立て、グアテマラ及びフィジーにおける結社の自由及び団結権保護条約(第87号)、バーレーンにおける差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)のそれぞれの適用状況に関する苦情申立てを巡る最新の動きの報告も行われました。結社の自由委員会では、日本も関与するアンコール地域の遺跡保存修復事業における反組合的差別行為が問題になっているカンボジアの案件を含む32件の案件が取り上げられ、バス会社労働組合に対する当局と使用者の抑圧行為が問題になっているイランの案件と組合指導者及び組合員の殺害や脅迫などが申し立てられているペルーの案件について、その深刻さと事態の緊急性から理事会の注意が特に喚起されました。委員会ではその活動の影響力、視認性、作業方法に関する検討も行われ、委員会の勧告を受けて多くの進展があったことに満足の意が示される一方で、申立てに対する見解提供の要請に応じない政府も多いことに懸念が表明されました。作業方法や視認性の向上に科学技術が秘める潜在力の活用を考える委員会の提案を受けて行われた委員長と労使副委員長に対する以下のインタビュー動画において、委員会三役は結社の自由の保護において委員会がいかに有用であるかを説明しています。委員会の勧告には強制力がないため、政府への働きかけは道義的責任に重点を置いて外交的に行われますが、法の改正や死刑宣告を受けた組合活動家の減刑に成功するなど、文字通り命を救う事例もあり、申立て案件の80~85%が成功裏に解決が図られています。

 今理事会にはまた、昨年のILO総会で採択された決議に基づき、結社の自由を巡る状況や外国投資が労働条件に与えている影響を含む、ミャンマーにおけるILOの活動に係わる事項の最新事情を記した報告が提出されました。ミャンマーに駐在するスティーブ・マーシャルILO連絡官は、以下のインタビュー動画で、移行期にある国という言葉では表現できないほどにミャンマーでは何もかもが改革途上にあるとし、強制労働の違法性を明確化した政策の策定とその適用に対するILOの支援、徴兵が解かれた児童兵士の経済的再統合への支援、2012年の法の成立によって初めて保障された結社の自由によって既に1,000以上に膨れ上がった労働者団体と使用者が社会対話という未知の概念を実際に用いていくための機構整備など、同国のめまぐるしい変化とそこから生じた新たな需要に対応しているILOの活動を紹介しています。連絡官は、土地改革の過程で生じた小作人という新たな形態の強制労働の発生も見られるものの、政府は2015年までの強制労働撲滅に向けた公約の実現に向けて努力しており、人民の力も強まっている今、投資の役割は単体で良いものとなるよう努力するに留まらず、技能・経済基盤の構築を通じて社会の構築に資することと説いています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表及び関連動画の抄訳です。