パートナーシップ:脆弱諸国

ILOが脆弱国グループg7+と協力協定締結

記者発表 | 2014/03/20

 過去10年間にILOは紛争の影響を受けた38カ国以上の脆弱な国々で活動を展開してきました。3月13~27日の日程でジュネーブのILO本部で開催されている第320回ILO理事会では、このような脆弱国におけるILOの技術協力のあり方が検討されており、それに関連して3月20日には脆弱国の代表が参加して脆弱国におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について話し合うハイレベル・パネル討議が開かれました。ILOは同日、次の開発段階に現在移行中である紛争経験国の自主的な集まりであるg7+グループと協力覚書を締結しました。

 ガイ・ライダーILO事務局長とg7+事務局のエルデル・ダ・コスタ事務局長が署名した覚書は、g7+が掲げる「脆弱国における関与のためのニューディール」に対するILOの支援を表明するものです。ニューディールに含まれる平和構築・国家構築目標の中の雇用と生計及び公正なサービス提供の2項目に特に重点を置き、とりわけ共同の事業計画やプロジェクトを通じて政府と密接な協力を保ちつつ、g7+諸国を取り巻く特定の状況にILOの関与のあり方を適合させるよう努めていくことになります。脆弱諸国における雇用創出、技能開発、社会的保護と社会的安全網(ソーシャルセーフティーネット)に関する事例研究や調査研究に特に注意が払われます。g7+諸国同士の協力や南南・三角協力に重点を置いて、g7+諸国が互いにそして他の途上国や後発開発途上国との間で行う仲間同士の学習を円滑化する努力も払われます。開発パートナーとg7+諸国との間で調整が図られるテーマとして、国際労働力移動に係わる政策や脆弱国の難民その他の市民の社会・経済的再統合の問題も取り上げられます。国内、地域、国際的な労働市場統計の作成と提供といった活動も予定されています。

 アフガニスタン、東チモールなど過去にILOが活動を展開してきた18の国々で構成されるg7+の主たる目的は、経験を共有し、互いに学び合い、紛争被災国との関わり方に対する改革を国際社会に提言することです。

 ILOは自然災害や紛争から立ち直りつつある脆弱な国々で雇用を創出し、より高い強靱性が達成されるよう支援を提供しています。例えば、2010年1月に発生した大地震で壊滅的な被害を受けたハイチではなおも復興活動が続いていますが、ILOの経営者訓練によって誕生した起業家はがれきをリサイクルして建材を生産する企業を立ち上げました。パネル討議に合わせて、ハイチにおけるILOの活動を紹介する広報動画が作成されました。

* * *

 以上はパートナーシップ・現地業務支援局によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。

関連動画(英語)