第103回ILO総会

インフォーマル経済に関する議論が一歩前進

記者発表 | 2014/06/12

 インフォーマル(非公式)経済からフォーマル(公式)経済への移行の円滑化に関する基準策定に向けた第1次討議を行った第103回ILO総会は、世界の労働力の約4割が従事していると見られる「インフォーマル経済」は仕事の世界にとっての大きな課題を表すとの結論に達し、来年5~6月に開かれる第104回総会で勧告の採択を目指して第2次討議を行うことを決定しました。

 「インフォーマル経済」とは、いわゆる非正規雇用のように「官民を問わず経済のあらゆる部門で実行される可能性があるインフォーマルな仕事と、法律上または実際上、公式の取り決めが十分にまたは全く適用されていない経済単位や労働者によるあらゆる経済活動」を指すものとされています。世界中でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成に向けた歩みに深刻な影響を与えているインフォーマルな仕事の幅広く複雑な現実を初めて概観した第1次討議の結果として総会で採択された結論は、インフォーマル経済は就労に係わる基本的な原則と権利を含む労働者の権利、社会的保護、まともな労働条件、包摂的な開発、法の統治にとって大きな課題を提示し、持続可能な企業、公正な競争、政府の歳入に悪影響を与えていると指摘しています。

 総会では、ほとんどの人が望んでインフォーマル経済に加わるわけではなく、フォーマル経済に機会がない結果としてインフォーマル経済を選んでいることが強調され、インフォーマル経済の一部の労働者及び経済単位はフォーマル経済への移行が円滑化されたならば、企業家として開花する大きな潜在力を秘めていると論じられました。そして、インフォーマル経済の非常な多様性と国毎に状況が異なることを認めた上で、各国はインフォーマル経済からフォーマル経済への移行を可能にする適切な措置を緊急に講じるよう求められました。

 総会でこの議題を審議した委員会の委員長を務めたヴァージル・シーフィールド南アフリカ政府代表は、インフォーマル経済からフォーマル経済への移行に向けた大きな進展がない限り、「包摂的で持続可能な開発の達成に向けた我々の取り組みは成功しないだろう」と指摘しています。労働者側副委員長を務めたプラメン・ディミトロフ・ブルガリア労働者代表は、インフォーマル経済で働く人々の暮らしの現実を認識し、世界中すべての労働者にまともな労働条件、したがってより良い生活の質と尊厳を確保するために努力を続けることを呼びかけています。使用者側副委員長を務めたアレクサンダー・フリムポン・ガーナ使用者代表は、今回の総会での討議が「論争のある事項について解決を見つける上での社会対話の力を証明することになった」と評価し、フォーマル化の最善の道として、「企業の存続可能性を高める事業開発の手段」を挙げています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。