第103回ILO総会

国際労働法による遺棄された船員の保護と船員の死亡または長期障害発生に対する金銭的な保証の提供を支持

記者発表 | 2014/06/11

 ジュネーブで開かれている第103回ILO総会は、6月11日に、今年4月に開かれた特別三者委員会で採択された「2006年の海上の労働に関する条約」の改正を賛成443票、反対1票、棄権26票で承認しました(日本は政労使共に賛成)。ILOと国際海事機関(IMO)との間で設立された合同作業部会における10年近い検討を経て、条約に定められる手続きに基づき、批准国政府並びに理事会の任命した船舶所有者及び船員の代表400人以上が出席して開かれた委員会で4月11日にほぼ全会一致(1政府のみ棄権)で採択された改正は、海上の労働に関する条約の第2.5規則(送還)及び第4.2規則(船舶所有者の責任)を実施する規範部分を改正し、1)遺棄された船員の保護及び2)職業上の負傷、疾病、危害を原因とする船員の長期障害または死亡時の補償のための金銭的な保証の提供を船舶所有者に義務づけています。

 ILOの船員の遺棄データベースには2014年3月現在、159件の遺棄事件が記録されていますが、中には2006年に発生していまだに解決に至っていないものもあります。船舶所有者の破産などで航海中に遺棄された船員の多くが食糧や水の供給、医療、帰国の手段も得られずに、しばしば数カ月にわたって賃金の支払いもないままに遺棄された船上で暮らすことを余儀なくされています。ガイ・ライダーILO事務局長は、発効したならば、このような場合の船員とその家族の福祉を確保することになる今回の総会の決定は「船員の労働・生活条件の改善を確実に助けるものになろう」と喜びを表明しています。クレオパトラ・ドゥンビア=ヘンリーILO国際労働基準局長も、総会はこの改正を承認することによって、「海上の労働に関する条約の規定を強化しただけでなく、ILOの条約が関係する産業部門のニーズに合ったものであり続けるよう確保するために更新を容易にするという重要な新しい手法を承認した」と評価しています。

 条約の規定に従い、批准国からの相当の異議が表明されない限り、今回の改正は2017年早々に発効することが見込まれます。発効に伴い、各船舶は船上で働く船員を保護する金銭的な保証の存在を立証する証明書その他の文書を船上に備え付けておく必要が生じ、この保護を提供できなかった船舶は寄港先で拘留される可能性があります。2006年の海上の労働に関する条約の批准国は現在、日本を含む61カ国に達し、その合計船腹量は世界全体の船腹量の8割を上回っています。

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 以上は国際労働基準局によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。