第103回ILO総会

ヨルダン首相総会演説:ILOとの強いパートナーシップを讃え、自国が直面している複雑な課題を強調

記者発表 | 2014/06/09

 6月9日に第103回ILO総会特別演説を行ったヨルダンのアブドッラー・アル=ヌスール首相は、ILOの基本的な原則及び基準を固く信奉してきた結果として共同の活動やプロジェクトを通じて強化され続けているILOとの間の「長きにわたる強いパートナーシップ」が「注目すべき成果」を達成していることに対する誇りを表明しました。また、今年末までに人口の25%以上を占めると見られる隣国シリアから戦火を逃れて流入する人々が自国の既に乏しい財源、基盤構造、サービス提供、社会組織、経済を厳しく圧迫していることを明らかにしてこの金銭的な負担に対する援助の増大を国際社会に求めました。

 ガイ・ライダーILO事務局長が首相の歓迎演説で、複雑な地域に戦略的に立地するヨルダンが「持続可能で包摂的な成長を念頭に、社会正義を支持しつつ改革と安定性の均衡を保ち、財政規律を実行しようと努力している」点に触れたように、同国は2006年にアラブ地域では初めて、国内でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を目指すディーセント・ワーク国別計画を採用しました。2012年から開始された現行の3カ年計画の下、ILOは政府及び労使と協力して、◇より良い労働条件の促進、職場における差別禁止と権利平等、◇社会の最も脆弱な集団に対する最低限の社会保障の拡大、そして推定12~14%の失業率に相当する600万人の失業者中半分近くが19歳未満であるといった状況に鑑み、◇若者の就業に重点を置いた就業機会の拡大に取り組んでいます。このような中でのシリアからの多数の難民の流入はとりわけ労働市場に打撃を与えており、受入コミュニティーでヨルダン人の就職支援を増加させる必要性が生じたのに加え、求職者間の競争激化と賃金引き下げ圧力の二つの点でインフォーマル労働市場で働くヨルダン人も影響を受けており、したがって既に高い失業率と困難な経済状態に直面しているコミュニティーにおいて「社会的緊張」が生まれていることや約7割を難民の子どもが占める「児童労働の問題」が大幅に増加していることを首相は説明しました。ILOは2014年1月にシリア難民の潜在労働力をヨルダンの労働力全体の約8.4%と推定していますが、難民危機への対応活動の一環として、ヨルダンの政府及び国際機関と協力して既に労働市場に対する影響緩和や受入コミュニティーの生計支援に取り組んでいます。

 アル=ヌスール首相は、このような圧力はあるものの、ヨルダンは民衆の自由の向上、民主的な制度の強化、新たな選挙・政党法の制定、地方政府の能力強化、政府機能の分権などに加え、労働、社会保障、雇用の分野にも取り組む改革を推進していることを紹介しました。さらに、10年以上前に大胆な教育改革を採用し、職業・技術訓練の設計という顕著な役割を民間部門に与えることによって労働力の生産性向上に乗り出したことに触れ、「経済成長は労働力の生産性向上に左右される」との信念を披露しました。アラブ諸国に広がった労働関連のストライキや抗議運動に応えて、政府は2011年5月に国家雇用戦略の中心に雇用とディーセント・ワークを据える決定を下しています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。