第103回ILO総会

第103回国際労働総会副議長就任にあたっての 桜田高明ILO理事のコメント

第103回ILO総会に対する期待を語る桜田副議長(英語)

 5月28日、使用者側代表のアルゼンチンのフネス・デ・リハオ氏が、使用者ベンチから十数年振りに総会議長に、そして私が労働側の副議長に選出されました。日本の労働側理事としては、中嶋滋前理事に続く栄誉であり、精一杯その職責を果たしていく所存です。

 事務局長報告では、ILOだけが持つ三者構成主義に基づく社会対話で、労働の世界における様々な困難を突破していくというガイ・ライダー氏の意気込みを感じました。ライダー事務局長は、今年で70周年を迎えるフィラデルフィア宣言の精神を今一度私たちすべてが再確認し、労働の世界のあらゆる不条理、不合理に立ち向かおうと呼びかけました。また、特に重要な課題として移民労働に焦点を当てました。

 今次総会の3つの技術議題、ならびに監視機構の強化を目指す基準適用委員会に与えられた責務は、ディーセント・ワークの実現に向けた道筋とその具体的な実行策の策定です。実りある議論が行われることを期待しますが、単に体裁よい成果文書の採択に終始することなく、世界中から集う政労使が今まさに起きている困難を直視し、痛みを共感し、等しく当事者意識を共有し、その解決に力合わせができるかどうか、こうした共通認識を醸成することが最も重要であります。二度の大戦の痛みと反省に立ったフィラデルフィア宣言の精神を絶対に風化させてはならないと考えます。

 最後に今回の議題の1つであるインフォーマル経済、あるいは事務局長報告にあった移民労働は、日本では比較的馴染みの薄いテーマかもしれません。しかし、わが国も国際社会の一員として、対岸の火事として傍観するだけでは済まされない課題です。今後、国内の三者でもしっかり議論していくきっかけとなれば幸いと考えます。

桜田副議長による第103回ILO総会閉会演説(英語)