2015年以降の開発課題

国連総会ハイレベル会合:ディーセント・ワークは持続可能な開発のあらゆる側面に関連すると説く潘基文国連事務総長

記者発表 | 2014/05/23

 現在ニューヨークの国連本部で開かれている第68回国連総会の日程の一環として、5月23日に「2015年以降の開発課題における完全雇用とすべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を通じた貧困撲滅の達成」に関するハイレベル会合が開かれました。カメルーン、ベネズエラ、カナダなど30カ国以上の政府代表が出席したこの会合では、2015年以降の時代において貧困軽減のカギを握るのは、世界中の数百万人に上る失業者、不完全就業者、インフォーマルな就業者のために「良質で働きがいのある人間らしい仕事を創出することを目指した包摂的な成長の持続」との見解が示され、複数の代表から貧困と失業の根源に対する自国の取り組みが紹介されました。

 潘基文国連事務総長も「仕事がなくては貧困を消し去ることはできない」と説き、2015年以降の課題に関して行われた複数の国別・テーマ別協議から得られた明確なメッセージは「ディーセント・ワークによってもたらされる尊厳と尊重、つまり人間の尊厳」を求める声であったことを紹介しました。その上で、失業率は高止まりを続け、途上国の多くの労働者が依然としてほとんど保護を伴わない脆弱でインフォーマルな仕事に捕らわれており、影響が特に大きい女性には無報酬のケア労働という追加的な負担があり、若者の失業は世界中で警戒すべき水準に達していることなどに注意を喚起して、雇用を優先事項とした経済成長の達成に向けた手段として、1)誰も置き去りにしない包摂的な成長の確保、2)人への投資、3)持続可能な開発への投資、4)労働市場の実態に関するより多くのより良い情報の確保の4点を提案しました。事務総長は、雇用とディーセント・ワークは持続可能な開発のあらゆる側面と明確に結びついているとして、この会合がこの二つの要素を2015年以降の開発課題を巡る議論の中心に据える助けになることへの期待を述べました。

 続いて開かれたパネル討議には、アエネアス・チャピンガ・チュマILOアフリカ総局長も参加し、アフリカは世界金融危機のショックにも耐え、高い経済成長を達成しているものの、そのほとんどが「雇用なき成長」であることを紹介し、不平等の拡大、アフリカ諸国間における人の移動の高さ、脆弱な政府の特別のニーズ、若者の失業問題といった優先的に取り組むべき事項を示しました。

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 以上は次のニューヨーク発国連英文記者発表及び国連事務総長演説の抄訳です。