共同記者発表:パートナーシップ

ILO、OECD、WTO、IMF、世界銀行のトップがドイツ首相と会談/ILOとドイツが趣意宣言に署名

記者発表 | 2014/05/13

ILO、OECD、WTO、IMF、世界銀行のトップがドイツ首相と会談

ジム・ヨン・キム世界銀行総裁、ロベルト・アゼベドWTO事務局長、クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事、アンゲラ・メルケル独首相、アンヘル・グリアOECD事務総長、ガイ・ライダーILO事務局長(写真左から)

 ガイ・ライダーILO事務局長、経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁、世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長は、5月13日にベルリンでアンゲラ・メルケル独首相と会談し、世界経済の見通しと今後の課題について意見交換を行いました。これに関連して出された共同記者発表文は、経済活動の世界的な強化を認めつつも、力強く持続可能な成長路線にはほど遠いとし、非常に高い失業水準、相当規模の産出ギャップ、低い投資水準、不平等の拡大、新興国経済の減速がなおも成長展望に影響を与え、労働市場の不満足な動きへの取り組みが依然として多くの国で基本的な課題になっていることを指摘しています。そして、このような現状に鑑み、成長の確保と適度な速度での財政強化に向けた努力の継続を各国政府に呼びかけています。

 また、国際経済政策の分野で共通の手法を用いて協力し合ったことが全体的に危機の影響を緩和し、新たな成長の展望を育成したとして、投資の底上げや保健制度・労働市場の改革などを目指した構造的な措置、貿易障壁の削減、気候変動と天然資源の保護、2015年以降の開発課題の策定などの分野において今も続いている協力活動が歓迎されました。ILOに関係する分野としては、すべての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を目指すILOのディーセント・ワーク課題や2009年のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)、OECDの「若者のための行動計画」やジェンダー・イニシアチブを参考に、雇用を増す努力と手を携えて健全なマクロ経済政策を展開することを唱え、2012年のILO総会で採択された、若者の失業問題に改めて注力し、ただちに取り組むことを求める決議に言及し、安全で良い労働条件、現実的な展望、個々人に開かれた職業教育の機会の創出を目標として、若者失業者の削減に向けた戦略及び即時の行動を高い政策優先事項として実行することを求めています。

ILOとドイツが趣意宣言に署名

ガイ・ライダーILO事務局長(写真左)とゲルト・ミュラー独経済協力・開発相

 ILOは2007年にドイツの経済協力・開発省と「開発協力の社会的側面を強化することによって、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人に実現することを目指すディーセント・ワーク課題その他の国際的に合意された開発目標と共にミレニアム開発目標の達成及び貧困削減を成功させるために必要なあらゆること」を協力体制の枠内で実行することを約する共同宣言を発表していますが、メルケル首相との会談のために同国を訪れていたライダー事務局長とゲルト・ミュラー経済協力・開発相は5月13日にこれを基礎とする新たな共同趣意宣言を発表しました。

 新たな宣言は、「公正で社会的に均衡の取れたグローバル化の確保」を国際社会が直面している中心的な課題とし、2015年以降の持続可能な開発のための国際的な枠組みを決定するプロセスは環境基準のみならず持続可能性基準、とりわけ社会・労働基準にもっと焦点を当てる必要があると唱えています。そして、ILOのディーセント・ワーク課題の実行を、途上国及びグローバル・サプライチェーン(国際供給網)で労働・社会基準が実現される方法を改善する上での必要不可欠な部分に位置づけています。宣言は、以上の理由からILOとドイツ経済協力・開発省はグローバル・サプライチェーン全体にわたる労働基準の向上、労働条件及び生産性の改善に向けて協力し合い、中・長期的には2015年以降の持続可能な開発課題に寄与することを謳っています。さらに、男女平等、政労使三者構成原則、社会的パートナーの関与を横断的な関心事項に位置づけ、協力計画の設計及び実行に際してはこれらを十分考慮に入れることを約しています。また、事業計画の設計及び実行が関連する労働基準の完全な適用に寄与するよう確保することによってILOの基準設定と技術協力活動の統合を追求すべきことも記しています。

 宣言は今後の協力の重点を次の4点に置いています。活動の具体的な内容はさらなる話し合いを通じて年内に固める予定です。