ILO事務局長と国際会議

景気回復の定着にもかかわらず仕事は世界的にますます不足

記者発表 | 2014/04/11

 4月7~13日の日程でワシントンDCで開催されている世界銀行と国際通貨基金(IMF)の春季会合において、ガイ・ライダーILO事務局長は、金融危機前の経済成長の傾向が続いていたら、世界全体で2億200万人に達したと推計される2013年の失業者数はこれより6,200万人は低かったと考えられ、成長が加速しない限り、この差は2018年までに7,500万人に拡大する見通しを示して失業問題を解決するには現下の経済成長ペースでは不十分なことを指摘しました。

 11日に開かれた、所得不平等のマクロ経済学を世界的な観点から論じるセミナーに参加した事務局長は、「世界経済はまだ、力強く持続可能で均衡の取れた成長の道に乗っていない」として、世界的な需要の弱さが雇用創出、賃金、回復をさらに抑えていることを指摘し、その一つの結果として、「途上国における貧困削減速度の低下」を挙げました。極度の貧困状態にある労働者の数は2013年に世界全体で前年比わずか2.7%減と、過去10年間で1、2を争う低い減少率を示し、過去20年にわたって賃金の伸びが生産性の伸びを下回ってきた複数の経済大国を含み、多くの国で労働分配率は低下し、所得不平等は拡大し続けています。危機前にはこの趨勢は個人世帯の無制限な借入によって覆い隠され、持続不能であることが証明された金融市場のイノベーションによって一時的に相殺されていましたが、こういった長期構造的な問題が今や需要に重くのしかかり、回復を遅らせています。

 ライダー事務局長は、低成長の罠に落ち込むのを避けるためには、基盤構造への投資、小企業支援、技能育成の促進、最低所得水準層を中心とした家計の購買力回復を「必要不可欠」とし、世界経済がもっと多くの仕事を創出する必要があることを説き、今年2月に開かれた主要20カ国・地域(G20)の財務大臣・中央銀行総裁会議で、今後5年間で国内総生産(GDP)を2%以上引き上げる目標が採択されたことを歓迎しつつ、持続可能な全面回復に必要な成長の底上げ、雇用創出が可能なように労働市場の需給両面に取り組む総合的な戦略を提唱しました。

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 以上はワシントン発英文記者発表の抄訳です。

インタビューに答えて仕事と成長を再び国際的な政策策定の中心に置くことを求めるILO事務局長(英語)