グリーン経済のグローバル・パートナーシップ

グリーン経済のグローバル・パートナーシップ:新たな経済パラダイムを呼びかけ

記者発表 | 2014/03/05

 3月4~5日にアラブ首長国連邦のドゥバイで開かれた「グリーン経済に関する行動のためのパートナーシップ(PAGE)」の初の世界会議には世界66カ国から大臣27人を含む450人以上の参加者があり、グリーン経済に関する各国の見解が幅広く紹介されました。ILOを含む国連4機関が参加するPAGEは、低炭素かつ資源効率的で包摂的な経済へと向かう各国の移行を支援する国連の主導するイニシアチブですが、2013年2月の発足以来、既に1,100万ドル以上の任意拠出を受けて各国の活動支援に当たっています。モンゴルとペルーに加え、新たにブルキナファソ、モーリシャス、セネガルが受益国に加わりました。

 ILO、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)というPAGE創設機関を代表して挨拶したILOのペーター・ポッシェン企業局長は、事業をグリーン化し、産業を資源効率的にし、持続可能な貿易のための機会を捉えることを民間セクターに呼びかけつつ、人間の福利と同時に環境を改善する財政政策の改革などを含む政府の計画や政策の包括的な変更に下支えされて初めてグリーン経済への移行が起こり得ることに注意を喚起しました。また、移行がもたらす可能性がある重要な利益の一つとして、「より多くのより良い仕事の創出」を挙げた上で、グリーン・ジョブ促進の際には、「既存の仕事を向上させる機会が看過される傾向」があることを指摘して、グリーン・ジョブにとっては質が決定的に重要なことを強調し、とりわけ若者、そして女性などを取り残さないような社会的包摂への配慮を基礎としたグリーン経済戦略を求めました。

 議長集約に示されるように、会議は各国と国際社会の間にグリーン経済の橋をかける第一歩となりました。会議では、鉄鋼産業の排熱を海水脱塩に利用して循環型経済を促進しているデュバイからの報告に示されるように、グリーン産業政策は産業のグリーン化とグリーンな製造・サービス業の新たな創出の両方に取り組み、国家の全体的なグリーン経済移行促進戦略の一部とすべきことが提唱されました。貿易に関しては、貿易のグリーン化は人間らしく働きがいのある仕事と資源効率的な生産方法を生み出し、競争力を増し、新たな貿易機会を創出することによって社会開発を促進する証拠が示されました。また、認証や持続可能性基準、グリーン・イノベーションなどの利用はいずれもグリーン経済を指向する企業活動の根拠の構築に寄与するものの、政府はグリーン経済への移行に際し、貿易が自国の天然資源に与える影響を検討する必要があることが強調されました。グリーン経済指標を政策策定に用いる方法を示したUNEPの作業文書が発表されたグリーン経済の測定方法を扱った分科会も人気を集めました。金融・財政政策に関しては、投資家向けのインセンティブ把握に努めている南アフリカのように、政府による民間セクターのグリーン投資促進が成功するには、長期的なビジョンと政治的公約を示す明確なルールの設定、グリーン投資を巡る不確実性及びリスクの削減といった要素が決定的に重要であることが指摘されました。

 2012年6月にリオデジャネイロで開かれた国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、持続可能な開発と貧困撲滅の文脈でグリーン経済に対する支持が表明されましたが、第1回PAGE会議はリオ+20以降の進展状況を検討する初の機会の一つを各国に提供しました。会議の成果は現在国連で進行中の2015年以降の開発課題に関する話し合いや今年6月にナイロビで開かれる第1回国連環境総会などの国際的な話し合いの場にも貢献することが期待されます。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。