アジアにおける責任あるバリューチェーン構築 ~ビジネス活動におけるディーセント・ワークの促進を通じて~

背景と目的

昨今のサプライチェーンにおける企業の人権尊重責任への要請の高まりを受け、本プロジェクトは、企業の国内関連法の遵守および労働に関する国際基準の尊重の実務を体系的に支援し、かつ構造的課題に対処するための政府・労働者・使用者(政労使)関係者の協力を推進することで、ディーセント・ワークの促進を図ります。企業レベルでの労使対話に基づく労働環境の改善と生産性向上、さらに責任ある企業行動を可能にする環境(Enabling environment)を企業とサプライチェーンを取り巻く政労使の多角的対話によって創出する「サプライチェーン協調アプローチ」を用います。

本プロジェクトは、多国籍企業宣言の実施を中心としたILO多国籍企業局の経験およびILO/IFCベターワークプログラム [1] の経験を活用します。

期待される結果と具体的活動内容

1. 良好な労使関係のビジネスモデルに基づく、企業のコンプライアンス強化と社会対話プロセスの確立

バングラデシュ、カンボジア、ベトナムにおいて、日本企業の海外取引先企業を含む企業に対するコンプライアンス評価、人権・労働環境改善に向けたアドバイスの提供、社会対話の促進、能力強化を実施します。また、日本企業および使用者団体と協力し、複数の産業において、人権デューディリジェンスを含めサプライチェーンにおける責任ある企業行動とディーセント・ワークを推進するための専門人材の育成、企業の取り組みを支援します。

2. 責任ある企業行動と生産的で持続可能な企業のための政労使による環境整備支援

投資受入国と本国の双方における知見向上と、関係者、特に政府、企業、労働者間の連携の強化、さらには企業支援を行う公共機関との連携による関係者への働きかけを通じて、より生産的で持続可能な企業経営を行える環境整備を支援します。

3. サプライチェーンを通じた責任ある労働慣行推進と受入国-本国政策協調のための実証証拠の具備

本プロジェクトを通じて得られた好事例およびサプライチェーンとディーセント・ワークの課題と機会の分析調査を踏まえ、責任ある企業行動を推進する受入国-本国双方におけるステークホルダーおよび一般社会における啓発を実施します。

参照:
[1]  ILO/IFCベターワーク: ILOと世界銀行グループの一つである国際金融公社(IFC)の共同プログラムであるベターワークは、グローバルなアパレル産業におけるさまざまなレベルの関係者と協力し、労働環境の改善と労働者の権利の尊重を促進し、企業の競争力を強化する包括的なプログラム。

対象国・産業:
  • バングラデシュ(繊維)
  • カンボジア(繊維)
  • ベトナム(繊維・電子機器)
  • 日本(繊維・電子機器等部品産業を含む製造業)
予算: 約7.5億円(6.8 百万米ドル)

実施パートナー: 実施各国政府・労使団体、日本貿易機構(JETRO)ジェトロ・アジア経済研究所(IDE-JETRO)

関連SDGs




プロジェクトに関するお問い合わせ:

小林有紀(プログラム・コーディネーター)
E-mail: kobayashi@ilo.org