ILOヘルプデスク 労働時間に関するQ&A

質問

  1. 労働時間に関するILOの規定はどのようなものがありますか?
  2. 116号勧告12項(2)の参照すべき期間(reference periods)とはどのような意味ですか?
  3. シフト制(交替制)労働の労働時間に関する規定はどのようになっていますか?
  4. 農業労働における労働時間規制はILO条約の中にありますか?
  5. 当社としては労働時間規制を遵守したいのですが、移民労働者を主とする労働者は帰国前にできる限りお金を稼ぎたいためにもっと働きたいと常に要求してきます。さらなる仕事を求めるため他の職場を探そうとしているような状況です。当社にとってはまさに板挟みの状況ですが、何かよい解決策はありませんか?
  6. 義務的な時間外労働は強制労働に当たりますか?
  7. 超過労働について当該国の権限ある当局が何ら規制を実施していない場合、超過労働制限のため指針となるものはありますか?
  8. 休憩時間に関する基準はありますか?
  9. 宗教的少数者は一般的な休日とは違う日に休日を享受する権利を有しますか?
  10. 有給休暇に関する国際労働基準の条項はどのようなものがありますか?
  11. 新入労働者に対して三週間より短い有給休暇しか認めていない国の法制にはどのように対処すればよいのでしょうか(有給休暇の日数が年次に従って増えていく仕組みになっています。)?
  12. 疾病休暇と有給休暇はどのような関係にありますか?
  13. 公の休日や慣習上の休日との関係で有給休暇はどのように計算すればよいのでしょうか?

 

Q1 労働時間に関するILOの規定はどのようなものがありますか?

A1 発展途上国において操業する多国籍企業は、労働時間も含めて、当該国政府の政策枠組みの中で、できる限りよい労働条件を提供することが奨励されています。これらの条件は当該企業の経済的地位の影響を受けます(多国籍企業宣言34項 参照)。

 

多国籍企業は、賃金減少を招かないようその操業現場の状況や当該国の実情を考慮した上で、通常の労働時間を48時間から40時間に漸次減らしていくことが奨励されています(第116号「労働時間の短縮に関する勧告」1項、2項及び4項 参照)。

 

Q2 第116号勧告12項(2)の参照すべき期間(reference periods)とはどのような意味ですか?

A2 質問にある期間とは、平均労働時間を算定する期間の最長限度のことであり、各週の労働時間をより柔軟に設定するための基礎となります。

 

Q3 シフト制(交替制)労働の労働時間に関する規定はどのようになっていますか?

A3 関連する国際労働基準は、通常の労働時間を一日について8時間、一週間当たり48時間(第1号「労働時間条約」2条 参照 など)又は40時間(第47号「労働時間を1週40時間に短縮することに関する条約」1条(a) 参照)と規定しています。

 

シフト制勤務の場合、一日について8時間を超え又は一週間について48時間を超えて働くことも許されますが、三週以下の一期間内における労働時間の平均が一日8時間かつ一週48時間を超えないことが前提になります(1号条約2条(c))。各シフトで24時間勤務をすることは国際労働基準の基本原則と調和するものではありません。

 

Q4 農業労働における労働時間規制はILO条約の中にありますか?

A4 国際労働基準の中にはないため、各国の法制や規制に任されています。それゆえに、当該国の法制や操業を予定している国の団体協約を確認することが大切です。

 

Q5 当社としては労働時間規制を遵守したいのですが、移民労働者を主とする労働者は帰国前にできる限りお金を稼ぎたいためにもっと働きたいと常に要求してきます。さらなる仕事を求めるため他の職場を探そうとしているような状況です。当社にとってはまさに板挟みの状況ですが、何かよい解決策はありませんか?

A5 労働者との対話を通じて、彼ら彼女らがさらなる労働を求めている真の動機をつかみ、それに応じた解決策を検討することが考えられます。このような対話を通じて、長時間労働がもたらす安全上や健康上の危険に関する企業側の懸念を労働者に伝えることもできます。

 

Q6 義務的な時間外労働は強制労働に当たりますか?

A6 強制労働A9の回答を参照してください。

 

Q7 超過労働について当該国の権限ある当局が何ら規制を実施していない場合、超過労働制限のため指針となるものはありますか?

A7 第116号勧告5項は、一週間当たりの通常労働時間が48時間を超えた場合は労働者の賃金を減らすことなく労働時間をその水準まで短縮するための措置をすみやかに執るべきであると規定しています。

 

Q8 休憩時間に関する基準はありますか?

A8 国際労働基準は休憩時間に関してごく少数の規定を有するのみです。休憩時間とは、使用されている者が使用者の指揮に服していない時間のことを指します(第30号「商業及び事務所における労働時間の規律に関する条約」2条 参照) 。使用者は制度として労働時間の中に含まれない休憩時間を明示的に定めるべきです。与えられる休憩時間については差別がないようにしなければなりません(第111号「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」13項(参照)、及び同勧告2項(b)(ⅵ)参照)。家族の世話をする責任のある労働者に対しては、使用者は休息時間に関してより柔軟な対応を考える必要があります(第165号「男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する勧告」18項(b) 参照)。

 

Q9 宗教的少数者は一般的な休日とは違う日に休日を享受する権利を有しますか?

A9 休日は当該国又は地方の伝統・慣行により休日とされている日とできる限り一致させるべきです(第14号工業的企業に於ける週休の適用に関する条約2条(3)等)が、宗教上の少数派の伝統及び慣行もまたできる限り尊重されるべきです(第106号「商業及び事務所における週休に関する条約」6条(4) 参照)。

 

Q10 有給休暇に関する国際労働基準の条項はどのようなものがありますか?

A10 「多国籍宣言」は、特に有給休暇に関して言及していません。ただ、多国籍企業に対して、少なくとも当該国における類似の使用者が労働者に供する給付を提供するよう促しており(同宣言33項)、比較可能な労働者が存在しない場合は、当該国政府の政策枠組みや当該労働者及びその家族の経済的状態を考慮して、できる限りよい給付や労働条件を提供することを促しています(同宣言34項)。

 

132号「年次有給休暇に関する条約」(1970年の改正条約)3条(3)(参照)は、休暇は、いかなる場合にも、一年の勤務につき三労働週を下回ってはならないと明記しています。これは、労働週の長さによりますが、15日ないし18日に相当します。この規定は全ての労働者に適用されます。有給休暇が付与されるには最低限の勤務期間が必要であると定めることは可能ですが、この最低限の勤務期間が6箇月を超えることは許されません(同条約5条(2))。暦年等で1年より少ない業務従事期間の労働者にもそれに応じた有給休暇が認められるべきです(同条約4条)。

 

Q11 新入労働者に対して三週間より短い有給休暇しか認めていない国の法制にはどのように対処すればよいのでしょうか(有給休暇の日数が年次に従って増えていく仕組みになっています。)?

A11 A10で上記したとおり、有給休暇が付与されるには最低限の勤務期間が必要であると定めることは可能であるものの(この最低限の勤務期間が6箇月を超えることは許されません)、有給休暇が付与される場合一年の勤務につき最低三労働週の有給休暇を与えなければならず、この三週間という最低限度規制は年次を問わず全ての労働者に対して適用されます。

 

Q12 疾病休暇と有給休暇はどのような関係にありますか?

A12 条約によれば、疾病、負傷又は出産を理由とする欠勤は勤務期間の一部として計算されるべきです(第132号条約5条(4参照)。疾病又は負傷中の期間は一般的に有給休暇の一部を使用しているものとして計算されるべきではありませんが、一定の裁量は残されています(同条約6条(2))。最低限度である三週間を超えて有給休暇が認められている場合は、規定の三週間の休暇があらゆる年度のあらゆる労働者に適用されている場合に限り、疾病による欠勤を有給休暇の一部を使用しているとして計算することが許されます。

 

Q13 公の休日や慣習上の休日との関係で有給休暇はどのように計算すればよいのでしょうか?

A13  公の休日や慣習上の休日は一年について最低三週間必要な年次有給休暇の一部として計算されるべきではありません(第132 号条約6条(1))。最低限度である三週間を超えて有給休暇が認められている場合は、規定の三週間の休暇があらゆる年度のあらゆる労働者に適用されている限り、公の休日や慣習上の休日又は疾病休暇を有給休暇の一部として計算することは許されます。

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