ILOヘルプデスク 結社の自由と団結権に関するQ&A
質問
- 結社の自由及び団体交渉権に関する主要な国際労働基準は何がありますか?
- なぜ結社の自由は重要なのですか?
- 結社の自由を尊重するため会社は何ができますか?
- 会社がコンサルタント会社と契約し、そのアドバイスを受けて、労働者に対し職場における労働組合承認を支持する投票をしないよう働きかけた場合、コンサルタント会社はILO基準や多国籍企業宣言に反しますか?
- 労働者及び使用者は「組織を結成する権利を自由に行使できる」とはどのような意味ですか?
- 結社の自由に関して、どのような行為が干渉を構成するのでしょうか?
- どのような行為が反組合的な差別待遇を構成するのでしょうか?
- 会社は労働者の代表を解雇することができますか?
- 会社に初級従業員用と上級従業員用の2つの労働組合が存在している場合、当該会社は、初級従業員用組合に対しては初級従業員の組合加入及び組合費の賃金からの控除を強制し、上級従業員用組合に対してはそのような強制をしないことができますか?
- 使用者は労働組合や労働者の代表者に勤務時間中に構内で会議を開くことを許さなければならないのですか?
- 移民労働者の労働組合加入が禁止されているなど、当該国の法制が結社の自由を制限しているとき会社としては何ができますか?
- 結社の自由を保護するための政府の責務としてはどのようなものがありますか?
Q1 結社の自由及び団体交渉権に関する主要な国際労働基準は何がありますか?
A1 第87号条約及び第98号条約があります。他にこれらの自由・権利に関する
国際基準としては、第135号「企業における労働者代表に与えられる保護及び便宜に関する条約」、第143号「企業における労働者代表に与えられる保護及び便宜に関する勧告」、第163号「団体交渉の促進に関する勧告」があります。
Q2 なぜ結社の自由は重要なのですか?
A2 結社の自由は、労使双方の市民としての自由や仕事における全ての原則・権利を実現するために大変重要なものです。労使対話を通じて双方が問題をより的確に理解し解決することにもつながります。会社や社会全体にとって有益な結果となります。
Q3 結社の自由を尊重するため会社は何ができますか?
A3 以下のようなことができます。
- 労働組合の結成・加入に対して干渉しないこと
- 反組合的な差別待遇をしないこと
- 労働組合の代表の活動に対して干渉しないこと
〔職場において〕
- 国内法に従い、脅迫又は報復のおそれなくして、自らの選択により労働組合を組織し加入できるという全ての労働者の権利を尊重する。
- 雇用への応募及び昇進決定、解雇又は異動の決定等の分野において、労働組合の組織、組合員資格、組合活動の観点からの差別が行われないような政策と手続を導入する。
- 実効性のある団体交渉の発展を助けるため、労働者代表に適切な施設を提供する。
〔会社が操業するコミュニティーにおいて〕
- 当該国を代表する使用者団体の役割及び機能を考慮する。
- 特に労働組合の承認及び団体交渉のための適切な制度的及び法律的枠組みのない国においては、労使関係における風土を改善するための対策を講じる。
Q4 会社がコンサルタント会社と契約し、そのアドバイスを受けて、労働者に対し職場における労働組合承認を支持する投票をしないよう働きかけた場合、コンサルタント会社はILO基準や多国籍企業宣言に反しますか?
A4 労働者は事前の許可を受けることなく自らが選択した労働者組織を設立し加入する自由を有します(第87号約2条)。また、労働者は、反組合的な差別待遇からの保護(第98号条約1条)や干渉からの保護(同条約2条1)を享受しています。
多国籍企業宣言43項は、多国籍企業又はそこで雇用されている労働者を代表する団体は、その設立、任務遂行又は管理に関して、相互が直接に又は代理人もしくは構成員を通じて行う干渉に対して十分な保護を受けるべきであると規定しています。それゆえに、多国籍企業と契約を結んだ代理店もまた労働組合結成に対して干渉を控えるよう要請されます。
Q5 労働者及び使用者は「組織を結成する権利を自由に行使できる」とはどのような意味ですか?
A5 労働者や使用者が自分たち自身の選択に基づき組織を自由かつ自発的に結成しこれに参加する権利の尊重、及びその組織が完全なる自由の下に干渉を受けることなく活動を実施する権利を有することを意味します。
Q6 結社の自由に関して、どのような行為が干渉を構成するのでしょうか?
A6 干渉とは、労働者団体を使用者又は使用者団体の支配の下に置くため、使用者若しくは使用者団体に支配される労働者団体の設立を促進し、又は労働者団体に対して経理上の援助その他の援助をする行為を指します。第98号条約は干渉からの保護を含んでいます。
干渉からの保護は雇入れから退職に至るまで雇用関係のあらゆる段階に適用されます。
Q7 どのような行為が反組合的な差別待遇を構成するのでしょうか?
A7 反組合的な差別待遇は労働組合からの脱退・不参加を雇用条件とすることを含みます。労働組合加入やその活動参加を理由とする解雇や不利益を与える行為もまた反組合的な差別待遇に含まれます。第98号条約は反組合的な差別待遇からの保護を含んでいます。
Q8 会社は労働者の代表を解雇することができますか?
A8 法や団体協約等に適合した組合活動や代表としての活動を理由として解雇することはできません。ただ、組合活動を嫌って解雇することを防ぐための手続上の防止策があることを前提として、その他の正当事由に基づき解雇することは許されます。
Q9 会社に初級従業員用と上級従業員用の2つの労働組合が存在している場合、当該会社は、初級従業員用組合に対しては初級従業員の組合加入及び組合費の賃金からの控除を強制し、上級従業員用組合に対してはそのような強制をしないことができますか?
A9 複数労働組合並立制のもとでは、質問のように初級従業員用組合にのみユニオン・ショップを適用し、給与から組合費を天引きして徴収するなど、組合間で差異が生じる対応をとることは許されます。
Q10 使用者は労働組合や労働者の代表者に勤務時間中に構内で会議を開くことを許さなければならないのですか?
A10 国際労働基準は労働者が会議に使用できるよう施設を供与することを使用者に対して奨励しています。そのような会議は会社の通常の操業を妨害すべきでなく、使用者は勤務時間外に会議を行うよう求めることもできます。
Q11 移民労働者の労働組合加入が禁止されているなど、当該国の法制が結社の自由を制限しているとき会社としては何ができますか?
A11 大きく分けて2つの行動が可能であり、第一に、当該国の法制のもとで許されている労働者の権利を最大限活用するようサプライヤーに奨励・支援すること、第二に、他の使用者と連携して当該国政府に対し関連する国際労働基準に適合するよう法改正を促すことが考えられます(第87号条約2条)。
Q12 結社の自由を保護するための政府の責務としてはどのようなものがありますか?
A12 政府は、法的及び制度的枠組みが存在し適切に機能することに関して責任を負っています。また、労使双方の互いの尊重と協働を促すことについても支援すべきです。
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