ILOヘルプデスク・差別と平等に関するQ&A

質問


  1. 雇用や職業における差別とはどのような意味なのでしょうか?
  2. 雇用における禁じられた差別にはどのようなものがありますか?
  3. 差別に当たらない区別というものは存在しますか?
  4. 会社が身体上の頑健さを必要とする仕事の求人をしたいがために、高齢者、身長の低い人々、女性及び障害者の応募を受けたくない場合、差別に関するILO条約に違反することになりますか?
  5. 採用活動目的での会社によるポリグラフ検査の実施は国際労働基準や国際人権基準に違反しますか?
  6. 会社がその操業地域において先住民を採用し優先的に処遇することは差別に当たりますか?
  7. 職場において差別はどのようなところで起こり得ますか?
  8. 多様性(ダイバーシティ)のある職場の利点は何ですか?
  9. 職場における平等と良きビジネスパフォーマンスの間に関連性があることは実証されていますか?
  10. 特に人事施策の中に、職場における差別撤廃原則をどう組み入れればよいのでしょうか?
  11. 職場における差別の撤廃に関して労働者はどのような役割を果たしますか?
  12. 各国の差別禁止法制は差別禁止のための国際労働基準とどのような関係に立ちますか?
  13. 性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラスメント)は差別とどのように関係しますか?
  14. 同一価値労働同一賃金とはどのような意味ですか?

     

Q1 雇用や職業における差別とはどのような意味なのでしょうか?

A1 雇用や職業における差別とは、個人の人種、皮膚の色、宗教、性別、政治的意見、国民的出身、社会的出身及びその他従事する当該労働と何ら関係のない行状を理由として、特定個人を労働市場又は事業場において従属的な立場又は不利な立場に置くことにつながる言動を指します。直接的な差別だけでなく間接的な差別もあり、潜在化した差別も問題となっています。

 

Q2 雇用における禁じられた差別にはどのようなものがありますか?

A2 第111号条約(参照)など様々な国際労働基準により特定され禁じられている差別としては以下のようなものがあります。

 

  • 人種や皮膚の色に基づく差別
  • 性別による差別
  • 宗教による差別
  • 政治的意見に基づく差別
  • 国民的出身による差別
  • 社会的出身による差別
  • 年齢による差別
  • HIV/エイズによる差別
  • 性的指向に基づく差別(性的少数者に対する差別など)
  • 家族の世話をしなければならない人(例:子の世話をする必要のある人)への差別 
  • 労働組合加入や組合活動を理由とする差別
  • その他の差別

 

労働者は当該労働に従事するための能力のみに基づいて選抜されるべきです。

 

Q3 差別に当たらない区別というものは存在しますか?

A3 技能や努力に基づく区別は正当化されます。教育期間や労働時間の違いを反映した報酬の不均衡も容認されます。歴史的・構造的差別を是正するための政府の取組みの遵守は差別を構成しません。

 

Q4 会社が身体上の頑健さを必要とする仕事の求人をしたいがために、高齢者、身長の低い人々、女性及び障害者の応募を受けたくない場合、差別に関するILO条約に違反することになりますか?

A4 固有の要件に基づく特定の業務についての区別、除外又は優先は、差別待遇とみなしてはならないとされています(第111号条約12 参照)。しかし、このような当該仕事の本質的要請に基づく区別であるかどうかを判断することは難しいことである上に、例えば科学技術の発達に伴う女性の就労可能な仕事の拡大などの状況の変化もあるため、このような例外は制限的に解釈される必要があります。

 

Q5 採用活動目的での会社によるポリグラフ検査の実施は国際労働基準や国際人権基準に違反しますか?

A5 ILOの労働者の個人情報保護に関する規則は、ポリグラフ、うそ発見器及びその他同種の検査手段は使用されるべきでないと定めています。

 

Q6 会社がその操業地域において先住民を採用し優先的に処遇することは差別に当たりますか?

A6 機会と処遇の平等を拡張しようとする政府の政策を企業が遵守することは差別を構成しません。第169号「独立国における先住民及び種族民に関する条約」2条2(参照)は、政府に対して先住民の人々が権利や機会の平等を享受し社会的・経済的格差を是正できるよう支援することを促しています。

 

Q7 職場において差別はどのようなところで起こり得ますか?

A7 差別は採用段階、就労段階及び退職段階で起こり得ます。企業レベルでは以下のようなところで起こり得ます。

  • 採用
  • 報酬
  • 福利厚生
  • 労働時間及び休息
  • 有給休暇
  • 母性保護
  • 在職期間の保障
  • 業務の割当て
  • 業績評価及び昇進
  • 研修の機会
  • 昇格の見込み
  • 労働安全衛生
  • 雇用の終了

 

Q8 多様性(ダイバーシティ)のある職場の利点は何ですか?

A8 そのような職場はグローバル化時代における顧客の多様な期待やニーズに対応することができます。また、当該組織における長年の労働慣行を見直し、より良いものとするための、きっかけにもなります。

 

Q9 職場における平等と良きビジネスパフォーマンスの間に関連性があることは実証されていますか?

A9 そのような関連性があることは広く受けいれられています。特に職場における平等を推進することで差別を受けていた人々がやる気を起こすなどして職場の生産性向上に多大な貢献をします。

 

Q10 特に人事施策の中に、職場における差別撤廃原則をどう組み入れればよいのでしょうか?

A10 以下のような施策が考えられます。

  • トップが範を示す。最高責任者が平等な雇用に対する責任を自覚し、自ら見本を示したとき、それは他の幹部や従業員に対する強いシグナルとなる。
  • 当該企業内で差別が生じていないか、自己評価質問表を用いるなどして、点検する。
  • 差別撤廃及び機会の平等のための明確な手続を定めた企業の方針を設定し、それを対内的及び対外的に発信する。
  • 特に採用・選考担当者、幹部、経営者らに対して差別への注意を促し対策をとるよう研修を実施する。
  • 既成観念を見直すよう意識啓発を支援する。
  • 目標達成度を評価できるようなゴールや特定期間を設定する。
  • 何が達成されたのか正確に把握できるよう進捗状況を確認する。
  • 特定の労働者集団に処遇や昇進に関して不利益が及ばないよう機構改革や業務の配点見直しを行う。これにはワークライフバランスの確保も含まれる。
  • 能力開発のための機会の平等を確保する。
  • 差別が確認された場合、従業員の苦情に対処し、支援を与える。
  • コミュニティーの中で機会均等の風土を確立するための努力を促す。

 

Q11 職場における差別の撤廃に関して労働者はどのような役割を果たしますか?

A11 労働者は、自分たちの代表を通じて、差別と闘うための経営陣の強力な同志となることができます。労働者の自由な意思により選出された代表らと協働する組織をつくり上げ、優先的に取り組む分野や戦略などを決めることにより、差別撤廃の目標達成に向けて労働者が献身する体制をつくることができます。

 

Q12 各国の差別禁止法制は差別禁止のための国際労働基準とどのような関係に立ちますか?

A12 これまで述べてきた指針は国際労働基準によるものです。差別禁止・平等実現施策を発展させていくときに、各国の差別禁止に関する法制を参照することも有用です。

 

Q13 性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラスメント)は差別とどのように関係しますか?

A13   性別に基づく差別は性的嫌がらせを含む関係にあります。性的嫌がらせを構成する可能性のある行為は以下のものを含みます。

  • 容姿、体格、年齢、家族状況等に関する侮辱、不適切な発言、冗談、ほのめかし、意見
  • 尊厳を傷つけるような性的暗示を伴う威圧的態度や父性的言動
  • 明示の有無や脅迫の有無を問わず、相手が望まない招待や要求をすること
  • 身体に触れることや抱擁、締め付け、襲撃といったような不必要な身体的接触

性的差別は酌量の余地のない特に有害な差別形態です。

 

Q14 同一価値労働同一賃金とはどのような意味ですか?

A14 雇用や職業における差別禁止の原則は同一価値労働を行っている男性と女性の間で同等の賃金が支払われるべきであるとの原則を含んでいます(第100号条約 参照)。同一価値労働同一賃金の原則とは、報酬の率や類型は労働者の性別によってではなく従事した労働の客観的評価に基づいて定められるべきであるとの原則です。

 

同一価値労働同一賃金の原則は女性労働者及び男性労働者にとって基本的な権利であるにもかかわらず、女性がパートタイム労働者など賃金の低い雇用形態に集中していたり昇進が困難な状況に置かれているなど、性別による賃金格差は根強いものがあります。

 

   

 


本部サイトはこちら