ILOヘルプデスク・児童労働に関するQ&A

質問

1. 就業の最低年齢は、なぜ15歳か14歳と定義されているのでしょうか。 世界的に16歳と定めた場合、どうなるのでしょうか。

2. サプライヤーが児童労働を使用していないことを証明する書類はありますか?

児童労働を防止し、子どもたちの就学を保証する企業の政策

3. 会社が児童労働を防止するためにできることは何ですか?

4. 会社が児童労働防止のために採り得る奨励策として何がありますか?また、子どもが学校に通えるよう会社としてどのようなことができるのでしょうか? 

5. 1314歳の子どもたちが工場で働いている姿を見ました。彼らを送り出すための技能訓練施設を探しますが、なかなか見つかりません。最短距離の施設でも、ここから6時間のところにあります。そのような場合、ILOからどのようなアドバイスをもらえますか?

6. 取引先で、10歳くらいの子どもがコーヒーを出したり、生産現場での簡単な組み立て作業をしているのを見ました。取引先の人に、どう伝えるべきでしょうか。


具体的な国・地域の児童労働の現状

7. ある国の児童労働の現状についてどこで情報を得ることができますか。

8. 児童労働に関するILOの条約は、「開発途上国」の基準をどう定めていますか?

9. ラテンアメリカの児童労働の状況について、また児童労働の防止、撤廃に向けた企業の取組みについて教えてください。

出生証明書と労働者の年齢を確認する証明書

10. 国によっては出生届けがないか、偽造されています。労働者の年齢を確認する適切な方法はありますか。

22. もし公的証明書で本人が18歳であることを示しているものの、実は、それは偽造された証明書をであり、実際は18歳未満である場合、企業はその労働者は18歳未満とみなすべきか、又は偽の証明書を正式なものとして扱うべきでしょうか?

少女の結婚と児童労働

12. 当該国の法令で、12歳の既婚の少女を成人とみなし、就労年齢にあると定められている場合、これは児童労働にあたりますか?農業部門の仕事に関する質問です。


見習い制度と児童労働

13. 18歳未満(14歳以上)の見習い労働者は夜業に就くことは出来るのでしょうか。もし政府の若年雇用対策に基づく見習い制度であれば、企業は17歳の労働者を夜勤に雇用することはできますか?

14. 児童労働の基準をサプライヤーに説明をする場合に備え、職業訓練制度について言及する際のアドバイスはありますか?

15. 18歳未満のインターン、研修生、勤労学生に適用される保護は、18歳以上のインターン、研修生、学生にも適用されるのですか?


児童労働と若年雇用

16. 当社は18歳未満の雇用をしていません。しかし、当社が操業している国では、18歳未満の者も働く権利があるとされています。当社の姿勢は差別に関するILO条約に違反するのでしょうか。当社の採るべき姿勢を教えて下さい。

17. 年少者(16歳以上、18歳未満)の労働時間や残業時間についての国際労働基準はありますか?

Q1. 就業の最低年齢は、なぜ15歳か14歳と定義されているのでしょうか。世界的に16歳と定めた場合、どうなるのでしょうか。

A1 企業は法律で定められた最低年齢を尊重する必要があり、通常15歳とされています。しかし、国によっては14歳や16歳と定めている国もあります。もし国の法令により、最低年齢が先進国において15歳未満、または開発途上国で14歳未満と定められている場合、企業はその規定を適用しなくてはなりません。【参照】(1973年の「最低年齢」条約(第138号)2条) 当該仕事が、危険有害な業務(児童の健康、安全若しくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務)と考えられる場合、就業の最低年齢は18歳が適用されなければなりません。【参照】(1999年の「最悪の形態の児童労働」条約(第182号)3d) また、当該仕事の固有要件として、18歳以上が求められている場合、最低年齢を18歳と定めることもあります。

そのほか考えられる状況として、16歳を最低年齢と定めることが差別待遇とみなされることもあります。職場における差別とは、すべての「差別、除外または優先で、雇用や職業における機会または待遇の均等を破ったり害したりする結果となるもの」をいいます。【参照】1958年の「差別待遇(雇用及び職業)」条約(第111号)1条(1)人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身に基いて行われるすべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの。

適切な労働条件の下で若者に雇用の機会を与えることは、雇用の機会から全く排除することよりも、最悪の形態を含む児童労働を撤廃するための効果的な取組みとなり得ます。企業は、最低年齢から16歳までの間の若者に、危険有害ではない、ディーセントな雇用機会を与えることで、若年雇用促進において重要な役割を果たすことができます。当該政府の雇用政策や目的を考慮しながら、雇用機会の増進及び、雇用水準の向上に努めることが奨励されています。多くの国で、若年雇用の促進は中心的な政策目的となっています。詳しくは「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」第16項をご覧ください。 

Q2. サプライヤーが児童労働を使用していないことを証明する書類はありますか?

A2 ILOは、企業に対して証明書の発行をしておりません。児童労働撤廃に向けたILOの取組みは、バイヤー、サプライヤー、労使団体や地域社会間が連携して実施する体系的な取組です。

児童労働を防止し、子どもたちの就学を保証する企業の政策

Q3. 会社が児童労働を防止するためにできることは何ですか?

A3 一般的に児童労働とは、子どもから教育を受ける機会を奪い、その発達を阻害するようなあまりに早い年齢から、子どもに従事させる労働のことを指します。

企業は、児童労働の効果的な撤廃を確実にするために、就業の最低年齢を尊重すべきであり、また、緊急に処理を要する事項として、でき得る限りの範囲で、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するための即時かつ効果的な措置をとるべきであるとされています。

最低就業年齢は通常当該国の法制によって設定され、その規定は尊重されなければなりません。国際労働基準では、最低就業年齢は、一般的に義務教育を修了する年齢である、15歳以上とされています。ただ、訓練という観点で行うものや、軽易な労働では、例外的に学校教育に影響を与えない13歳から労働することが許されます。

開発途上国においては、一般的に14歳が規定とされ、軽易な労働の最低就業年齢は12歳です。しかし、ブラジル、中国、ケニアなどの国々では、それぞれのイニシアチブにおいて最低年齢を16歳と定めています。

危険有害労働(年少者の健康、安全又は道徳を損なうおそれのある業務)では、発展途上国であるか否かを問わず、最低就業年齢は18歳を下回ってはならないとされています。最悪の形態の児童労働撤廃への取組みは、ほかの形態の児童労働を正当化するために利用されるべきではありません。

最悪の形態の児童労働を撤廃するための取組みは、特に少女や年少の子どもたちのニーズに配慮したものでなければなりません。

18歳未満によるすべての仕事が児童労働ではありません。年齢や、仕事の種類、労働条件によって異なります。児童労働と若年労働を混同してはいけません。最低就業年齢の観点から、若年者にはディーセントな仕事が紹介されるべきですが、まだ危険有害な仕事や、最悪の形態の児童労働からは保護をされるべき年齢です。また、軽易な労働には柔軟性があり、もし関係する政府機関により認可、監視されていれば、就学児童である13歳(あるいは12歳)から従事することができます。

地理的に遠く離れたサプライチェーンを有する企業は特に児童労働について注意を払う必要があります。取組みの一環として、ILOの評価や、児童労働の問題が発生しやすい部門を注視した研究を、企業の操業国で行わなければなりません。

具体的には以下の行動をとることが考えられます。

  • 現地国の最低就労年齢を遵守し、それが不十分な場合は国際基準を参照する。
  • 採用に当たり適切かつ検証可能な年齢確認手段を使用する。
  • 全ての労働者について正確かつ最新の記録を保持する。
  • 法定最低就労年齢に満たない子どもが働いているのを自社の職場で発見した場合は、その子どもを労働から引き離す。
  • このような状況を別の職場や家庭で見つけた場合は、でき得る限りの範囲で、その子どもが労働から解放され、適切な対処や実効的な代替手段にたどりつくことができるよう支援する。
  • 児童労働撤廃に向けた取組みを下請け業者、サプライヤー、関係事業者と共に、児童労働撲滅のための対策を講じる。
  • 研修や奨励策を実施するなど、関係事業者の児童労働撤廃に向けた取組みの能力構築を図る。
  • 児童労働に頼らなくても生計を立てられるように成人労働者の賃金を固定化する。

また、企業は、児童労働を撤廃し、仕事から解放された児童が質の高い教育及び社会的保護を受けられるよう支援するなど、より幅広い地域社会の取組みに、可能な限り、次のように貢献できます。

  • 他の企業、業界団体及び使用者団体と連携して、業界全体として問題に取り組むアプローチを開発し、労働組合、法執行機関、労働監督機関、その他との橋渡し役をする。
  • 自治体、州又は国のレベルで自社を代表する使用者団体において、児童労働に関するタスクフォース又は委員会を設立し、参加する。国のレベルで児童労働と闘うための重要な政策的及び制度的メカニズムの一環として、児童労働に対する国家行動計画の策定と実施を支持する。
  • 当該企業の影響の及ぶ範囲内において、技能開発及び職業訓練の機会を提供することにより、元児童労働者のための予防及び再統合プログラムに参加する。
  • 可能な限り、メディア・キャンペーンを含む国内的及び国際的プログラムに参加し、また、自治体及び国の機関、労働者団体及びその他の利害関係者と連携する。

Q4. 会社が児童労働防止のために採り得る奨励策として何がありますか?また、子どもが学校に通えるよう会社としてどのようなことができるのでしょうか? 

A4 大きくいって3つの方法があります。 第一に、経済支援策があります。第二に、従業員に対して子どもを学校に通わせることの大切さを周知させることが大切です。第三に、関係労使団体と協働して、児童労働の撲滅に取り組むことが考えられます。

<児童労働の根本原因-貧困問題に取り組む>

もっとも重要な奨励策は、成人労働者にディーセントな賃金を支払い、子どもたちを学校に送り出すことができるようにすることです。企業は法律で定められた最低賃金の支払いを確保しなければなりません。また、最低賃金が十分ではない国では、それ以上の賃金の支払いを考慮しなければなりません。しかし、労働者の技能・生産性の向上を図ることなく賃金を上げることはできない企業もあるでしょう。ほかにも、次のような経済的支援策も考えられます。

  • 従業員の子どもに対する学費
  • ある教育水準に達した従業員の子どもへの特別手当
  • 若年の子どもが学校に行かず、働くことを防ぐため、親の職場やその近隣に託児所を設立する。
  • 子どもたちに職場ではなく、宿題や遊ぶ場所を与えるために、放課後のリクリエーション施設を提供する。
児童労働への取り組みは世界的な目標ですが、児童労働防止に向けた取組みとしての企業に対する奨励策は、国情によって異なります。奨励策は、企業と労働者双方の需要を満たすよう策定されなければなりません。適切な支援策の構築については、労働者、労働者代表との協議が最も効果的でしょう。

 
<啓発活動>

教育の価値に関する意識啓発について、企業は大きな役割を果たすことができます。一般的に、経済的支援は、子どもたちを仕事から学校へ向かわせるという、意図した効果をもたらすとされています。

<取組みへの参加>

児童労働問題は、一企業で行うよりも協力して取り組むことで、最も効果が高まります。各国の労使団体から、その地域ではどのような奨励策が最も効果的であるか助言や指導を得られるかもしれません。また、企業は労使団体と協力する中で、先に提示された提案の多くは、一社の取り組みとしては財政的に実現が不可能であったとしても、複数の企業が共同で取り組むことで、経済的支援策の提供が可能となるかもしれません。

さらに、企業が協力して活動することは、政府に児童労働撲滅に向けた取組みを促す際に、非常に効果があります。企業が政府に求める取り組みは次のとおりです。

  • 無償の義務教育の制度化
  • 教師のための研修機会
  • 教室の増設
  • とりわけ農村部に、資格を持つ教員を増員
  • 農村部に暮らす退学者や脆弱な子どもに、ノンフォーマル教育機会を提供するための基金の設立;HIV/AIDS孤児のための奨学金制度
  • 元ストリートチルドレンの子どもへの技能訓練プログラム
  • 児童労働に関する法の効果的施行及び監視 

さらに、サプライチェーンを有する企業は、デューデリジェンスを実施し、児童労働が見つかった場合は、その撤廃に向けてサプライヤーと協力して取り組みましょう。

Q5. 1314歳の子どもたちが工場で働いている姿を見ました。彼らを送り出すための技能訓練施設を探しますが、なかなか見つかりません。最短距離の施設でも、ここから6時間のところにあります。そのような場合、ILOからどのようなアドバイスをもらえますか?

A5 もし良い通学先や職業訓練施設が不足している場合の好事例としては、子どもたちが就業年齢に達するまで、賃金を支払い続けること、その後、適切な仕事(18歳未満の場合は危険有害でない仕事)に再雇用することが挙げられます。法の規制に基づく見習い研修制度を採用することも、選択肢のひとつとなり得ます。

この問題に対応する際に、就労のための最低年齢、軽易の仕事に関する規定や、18歳未満には禁止されている有害な仕事のリストなど、当該国のの法律を理解することが重要です。

そのほかの例としては、企業が子どもの両親や成人年齢の家族を採用し、結果的に世帯収入を増加させ、子どもたちが働かなくてもよくなりました。この場合の子どもたちは、家族と一緒に暮らしています。このことは、児童労働に代わる手段が在るという理解を深める上で、大きな強みになります。もし工場が両親に、適切な賃金を支払う仕事を提供することができれば、子どもに労働を強いる可能性は低減し、親たちが工場の人事担当者と毎日、毎週のミーティングをすることで、協力関係が高まります。(学校や職業訓練施設に出席しているかどうかも、この時に監督されています。)この事業は、少なくとも短期間は工場の事業経費を増やすことになるため、バイヤーもこれに伴う費用分担を考慮する必要があります。(元児童労働者への環境改善支援も含む。)

最後に、サプライチェーンでの防止策強化も重要です。そうしなければ問題は再発をしてしまいます。そのため改善策を講じることがとても重要なのです。

Q6. 取引先で、10歳くらいの子どもがコーヒーを出したり、生産現場での簡単な組み立て作業をしているのを見ました。取引先の人に、どう伝えるべきでしょうか。

A6 当該企業の影響の及び範囲内において、自社のみならず、それ以上に影響を及ぼすことができます。企業は児童労働を減らすための取組みを、利害関係者に促進、支援することもできます。またその他の団体と連携して、意識啓発を図ることもできます。さらに、子どもたちのための教育施設を改善するため、より広範囲のプログラムを支援することもできます。

児童労働がビジネスの現場において重要な問題になっているという認識が高まっているため、取引先には、問題が起きてからではなく、先を見据えた事前の行動をとることが重要であることを指摘されたいと思います。積極的に解決策を模索することは、企業がメディアからの悪評、政府の罰金、バイヤーからの指摘を回避することにつながります。さらには、子どもたちを仕事から離す取組みには時間と計画-注意深く対策を講じること-が必要となります。

具体的な国・地域の児童労働の現状

Q7. ある国の児童労働の現状についてどこで情報を得ることができますか。

A7 ILOのデータベース(NORMLEX)は、各国の条約批准状況を示しています。国別情報(Country Profile)や、ILOの監視機構制度による各国へのコメントもあります。また各国の法制度についてもリンク先が表示されています。

児童労働に関する統計調査(SIMPOC)は、世界、国、部門レベルでの児童労働の状況、特徴、要因について示しています。

さらに各国労使団体は、当該国の児童労働問題に関する有用な情報源です。

Q8. 児童労働に関するILOの条約は、「開発途上国」の基準をどう定めていますか?

A8 経済及び教育施設が十分に発達していない加盟国のことを指します。【参照】(第138号条約24項)。この定義に自国が該当し、最低就労年齢を15歳ではなく14歳とするかどうかは当該国が決めることになっています。

多くの開発途上国はこの定義に当たらないとし、最低年齢を15歳又は16歳としていることを留意しておかなければなりません。

18歳未満による危険有害な仕事は禁止されています。それは、国の発展の度合いにかかわらず、子どもの身体、精神、心理、精神性の発展を害するような仕事に就くことは出来ません。

Q9. ラテンアメリカの児童労働の状況について、また児童労働の防止、撤廃に向けた企業の取組みについて教えてください。

A9 各地域についての情報は、児童労働撤廃国際計画(IPEC)の地域別解説と取組みに関するCountries Dashboardをご参照ください。

出生証明書と労働者の年齢を確認する証明書

Q10. 国によっては出生届けがないか、偽造されています。労働者の年齢を確認する適切な方法はありますか。

A10 労働者の年齢を確認するために、使用者は、子どもや若者の労働者のみならず、職業訓練や説明を受けている者の出生登録証や生年月日が分かる正式な書類も、可能な限り保管し、関係機関に提示できるようにして下さい。

年齢を証明する出生証明書がない場合や、偽造書類が容易に提出される場合、次のようなアドバイスができます。

  •  就業前の健康診断は、本人の実年齢の把握や、身体的適性も分かります。本人のプライバシーの権利の尊重には常に配慮しなければなりません。
  • 複数の文書や供述書の照合は偽造文書の特定に役立ちます。
  • 最低年齢に満たないと思われる労働者や求職者に対して、さらなる情報を得るため、使用者は面接が出来ます。
  • 就学証明は有用な情報源となり得ます。

労働者本人が生年月日を知らない場合は、その国の指標、たとえば干支や、大きな歴史的出来事(独立記念日、戦争の始まりや終戦の日、重要な記念日など)が役に立つことがあります。面接の際に、その地域の重要な出来事と関連づけることで、年齢を特定できることもあります。

Q11. もし公的証明書で本人が18歳であることを示しているものの、実は、それは偽造された証明書をであり、実際は18歳未満である場合、企業はその労働者は18歳未満とみなすべきか、又は偽の証明書を正式なものとして扱うべきでしょうか?

A11 1973年に採択された「最低年齢条約」を補完する「最低年齢に関する勧告」(第146号)16条(a)によれば、公的機関が出生登録制度を管理し、出生証明書の発給も行うよう明記されています。つまり、公的機関は正しい誕生日を明記した出生登録制度を設けるよう述べられています。

もし企業が証明書に記載された年齢に誤りがあると思う場合、それを採用の判断基準として利用してはいけません。その国の公的機関によるものだとしても、偽造証明書は最低年齢を下回る子どもの雇用への免責事由になりません。もし権限のある機関がこの問題に対して配慮が不十分な場合、企業は、児童労働問題に取り組む現地の機関と連携して、当局に対し信頼できる出生証明書の必要性について認識を促すことが考えられます。

少女の結婚と児童労働

Q12. 当該国の法令で、12歳の既婚の少女を成人とみなし、就労年齢にあると定められている場合、これは児童労働にあたりますか?農業部門の仕事に関する質問です。

A12   12歳の少女が既婚者であり、その国の法律では成人とみなされるとしても、児童労働が少女に与える悪影響が弱まることはありません。第138号条約によれば、14歳という例外を除いて、就業が認められるための最低年齢を15歳と定めています。第182号条約は、18歳未満の子どもの危険有害な業務、その他最悪の形態の児童労働を禁止しています。最悪の形態の児童労働撤廃のための取り組みには、特に少女への配慮が求められます。

ILO多国籍企業及び社会政策に関する 原則の三者宣言」は、企業が、現地の慣習を十分考慮し国内法や規制を尊重するだけでなく、関連する国際基準も尊重することを奨励しています。児童労働に関して、MNE宣言は、児童労働の効果的な撤廃と、緊急の課題として最悪の形態の児童労働禁止・撤廃に向けた早急かつ効果的な対策に、企業は出来る限り寄与することを求めています。

児童労働は、子どもたちから教育を受ける権利を奪うものです。最悪の形態の児童労働は、あまりに幼少期に行うことで子どもの身体、社会、心理、精神的発達を損なうものです。

見習い制度と児童労働

Q13  18歳未満(14歳以上)の見習い労働者は夜業に就くことは出来るのでしょうか。もし政府の若年雇用対策に基づく見習い制度であれば、企業は17歳の労働者を夜勤に雇用することはできますか?

A13   当該国の法令で18歳未満の子どもによる夜業が禁止されている場合は、それを守らなければなりません。適用可能な法令がない場合、次のようなことがビジネスへの指針となります。

国際労働基準は、一般的に18歳未満による夜業を禁止しています。しかし次のような場合に限り、見習い制度の一環として16-17歳の子どもの夜業が例外として認められています。

  • 研修制度が権限のある機関により公認されていること。
  • 若者に対しては次の勤務との間に13時間以上の連続休息時間を与えられる。
  • 若者は、夜業に従事するに先立ち、仕事に関する適切で明確な訓練・指導を受ける。
  • 夜業を含む研修制度の労働条件を保護、監督するための対策が講じられている。
  • 16歳以下の若者の夜業は、たとえ研修だとしても禁止されています。

規定は二つの懸案事項の調整について言及しています。体が成長過程にある若者は、夜業をすることで、事故や、夜道の通勤で危険な目に遭いやすい事が挙げられる一方で、多くの仕事は夜業を伴うことが多いため、完全に夜業を伴う見習い制度や職業訓練の機会を禁止した場合、若者にとって重要な就労の機会を否定することになりかねません。

Q14 児童労働の基準をサプライヤーに説明をする場合に備え、職業訓練制度について言及する際のアドバイスはありますか?

A14 国際労働基準では、職場や訓練施設、職業訓練学校で研修を行う子どもや若者のおかれている状況について、保護、監督する措置をとらなければならないと述べています。

とりわけ「同一賃金同一労働」の原則に留意し、公正な報酬と保護の支給に十分な注意を払う必要があります。

当該国の最低賃金に関する法令の適用範囲に、職業訓練制度は含まれていないことがよくあります。その場合、1970年の「最低賃金決定」条約(第131号)が参照できます。いずれにしても、通常は法令に明記されている、職業訓練の定義(訓練期間、内容、訓練期間中の休暇など)を参考にしてください。

Q15 18歳未満のインターン、研修生、勤労学生に適用される保護は、18歳以上のインターン、研修生、学生にも適用されるのですか?

A15 最低年齢条約の第3条(3)に述べられている特別な保護には、国内法令により認可された見習い研修制度における、年少者の健康、安全、道徳の保護が含まれています。これらの保護は、研修として危険有害な仕事に従事する16歳から18歳の年少者にも適用されます。

18歳以上のインターン、研修生、勤労学生は、同様の危険有害な仕事に従事する訓練を受けた成人と同じく、安全や福祉のための保護が適用されなければなりません。

児童労働と若年雇用

Q16.  当社は18歳未満の雇用をしていません。しかし、当社が操業している国では、18歳未満の者も働く権利があるとされています。当社の姿勢は差別に関するILO条約に違反するのでしょうか。当社の採るべき姿勢を教えて下さい。

A16   区別、疎外、好みなどの職場における差別とは、雇用の機会を無効にしたり、処遇について不平等な措置を取ることです。差別を受けるとは、仕事に必要不可欠ではない特徴のために、他の人と比べて好意的とは言い難い扱いを受けた場合、また同じ条件、待遇、基準の下で、人により不相応に厳しい結果が見られる場合です。年齢を理由とする差別は頻繁に起きているため、そのような差別に対する対策を進める必要があります。

若者に雇用機会を全く与えないよりも、むしろ適切な条件下で雇用の機会を創出することは、最悪の形態を含む児童労働の撤廃に向けた効果的な対策のひとつです。企業は、最低就業年齢から18歳までの若者に、危険有害ではないディーセントな雇用機会を与えることで、若者の雇用促進に重要な役割を果たすことができます。企業は、その国の雇用政策と目標を考慮して、雇用の機会と水準を向上させることが期待されています。多くの国で、若年雇用の促進が政策目標の中心となっています。

企業は、当該国の法令に設定された就業最低年齢を尊重しなければなりません。もし国内法の最低年齢が、先進国における15歳、開発途上国における14歳の基準を下回っているようであれば、企業としては15歳を最低年齢として、例外として開発途上国では14歳という基準を適用するべきです。

もし問題となる仕事が危険有害である場合、仕事が行われる状況が子どもの健康、安全、道徳を害する可能性がある、あるいはその他の最悪の形態の児童労働と考えられる場合は、18歳を最低年齢として適用します。また、当該仕事の固有要件として、18歳以上が求められている場合、18歳が最低年齢と定められることもあります。それらの場合を除いては、年齢に基づく制限は差別に該当すると考えられることがあります。

Q17 年少者(16歳以上、18歳未満)の労働時間や残業時間についての国際労働基準はありますか?

A17 18歳未満の若年労働者の労働条件を厳密に監督する対策が採られなければなりません。対策としては、つぎのような事が挙げられます。

  • 教育や訓練 (家事に必要な時間も含む)、一日のうちの休息や余暇の活動のための十分な時間を確保するために、1日、1週間の労働時間を厳しく制限し、残業を禁止する。
  • 緊急の場合を除き、最低12時間の連続した夜間休息と、通常の週休日の付与する。

有害な業務についての決定には、長時間労働など、とりわけ困難な労働条件の下で働いているかどうかが考慮の対象となるでしょう。危険有害な労働に従事することが認められる最低年齢は、18歳と定められています。


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