ILOヘルプデスク・児童労働に関するQ&A

質問

1.会社が児童労働を防止するためできることは何ですか?

2.児童労働に関するILO条約において、発展途上国の定義は何ですか?

3.会社が児童労働防止のために採り得る奨励策として何がありますか?また、子どもが学校に通えるよう会社としてどのようなことができるのでしょうか?

4.特定の国の児童労働の状況についてどこで情報を見つけられますか?

5.出生証明が存在しなかったり不正確であったりする国において労働者の年齢を確認する方法はありますか?

6.公的証明書に記載されている年齢と当該労働者が申告している年齢が異なる場合、どう対応すればよいですか?

7.当該国の法令が12歳の少女について結婚でき成人として労働できると規定している場合でも、当該労働は児童労働に該当するのでしょうか?

8.18歳未満(14歳は超えています。)の研修生が夜間時間帯に勤務することは許されますか?当該国政府が規定する研修生プログラムにのっとっているならば、若年者雇用を支援するために、17歳の研修生を夜間時間帯で雇用することはできますか?

9.当社は18歳未満の者を雇用しないこととしていますが、当社が操業している国では18歳未満の者も働く権利があるとされています。当社の姿勢は差別に関するILO条約に違反するものなのでしょうか?当社が採るべき姿勢を教えてください。

  

Q1 会社が児童労働を防止するためできることは何ですか?

A1 

そもそも児童労働とは一般的にどのようなものをいうのかが問題になります。児童労働とは、子どもから教育を受ける機会を奪い、その発達を阻害するようなあまりに早い年齢から、子どもに従事させる労働のことを指します。このため、18歳未満の者の労働がすべて児童労働に該当するわけではありません。児童労働に該当するか否かは、子どもの年齢、労働の類型及び労働条件を考慮して決まります。多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」(以下「多国籍企業宣言」といいます。)36項によれば、企業は、児童労働の効果的な撤廃を確実にするために、就業の最低年齢を尊重すべきであり、また、緊急に処理を要する事項として、自らの能力の枠内で、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するための即時かつ効果的な措置をとるべきであるとされています。

最低就業年齢は通常当該国の法制によって設定され、その規定は尊重されなければなりません。国際労働基準では、最低就業年齢は、一般的に義務教育を修了する年齢である、15歳以上とされています。発展途上国では、14歳以上と設定されているところがあります。ただ、学校教育に影響を与えない軽易な労働では、例外的に13歳から労働することが許されます。発展途上国における軽易な労働の最低就業年齢は12歳です。危険有害労働(年少者の健康、安全又は道徳を損なうおそれのある業務)では、発展途上国であるか否かを問わず、最低就業年齢は18歳を下回ってはならないとされています。

地理的に遠く離れたサプライチェーンを有する企業は特に児童労働について注意を払う必要があります。具体的には以下の行動をとることが考えられます。 
1)現地国の最低就労年齢を遵守し、それが不十分な場合は国際基準を参照する。

2)採用に当たり適切かつ検証可能な年齢確認手段を使用する。

3)全ての労働者について正確かつ最新の記録を保持する。

4)法定最低就労年齢に満たない子どもが働いているのを自社の職場で発見した場合は、その子どもを労働から引き離す。このような状況を別の職場や家庭で見つけた場合は、でき得る限りの範囲で、その子どもが労働から解放され、適切な対処や実効的な代替手段にたどりつくことができるよう支援する。

5)関係事業者と共に、児童労働撲滅のための対策を講じる。

6)児童労働に頼らなくても生計を立てられるように成人労働者の賃金を固定化する。

また、企業は、可能であれば、児童労働を撤廃し、仕事から解放された児童が質の高い教育及び社会的保護を受けられるよう支援するなど、下記のようなより幅広い地域社会の取組みに貢献できます。

1)他の企業、業界団体及び使用者団体と連携して、業界全体として問題に取り組むアプローチを開発し、労働組合、法執行機関、労働監督機関、その他との橋渡し役をする。

2)自治体、州又は国のレベルで自社を代表する使用者団体において、児童労働に関するタスクフォース又は委員会を設立し、参加する。

3)国のレベルで児童労働と闘うための重要な政策的及び制度的メカニズムの一環として、児童労働に対する国家行動計画の策定と実施を支持する。

4)当該企業の影響の及ぶ範囲内において、技能開発及び職業訓練の機会を提供することにより、かつての児童労働者のための予防及び再統合プログラムに参加する。

5)可能であれば、メディア・キャンペーンを含む国内的及び国際的プログラムに参加し、また、自治体及び国の機関、労働者団体及びその他の利害関係者と連携する。

 

Q2 児童労働に関するILO条約において、発展途上国の定義は何ですか?

A2 経済及び教育施設が十分に発達していない加盟国のことを指します(第138号条約2条4項)。この定義に自国が該当し、最低就労年齢を15歳ではなく14歳とするかどうかは当該国が決めることになっています。ただ、実際は、多くの発展途上国がこの定義にある「発展途上国」に自国は当たらないと決定し、最低年齢を15歳又は16歳としていることに注意が必要です。

 

Q3 会社が児童労働防止のために採り得る奨励策として何がありますか?また、子どもが学校に通えるよう会社としてどのようなことができるのでしょうか? 

A3 大きくいって3つの方法があります。 第一に、経済支援策があります。児童労働の原因は貧困です。子どもを学校に通わせることができるようディーセントな賃金を支払うことが最も重要な奨励策になります。他にも、奨学金の提供なが考えられます。 第二に、従業員に対して子どもを学校に通わせることの大切さを周知させることが大切です。第三に、関係労使団体と協働して、児童労働の撲滅に取り組むことが考えられます。 

Q4 特定の国の児童労働の状況についてどこで情報を見つけられますか?

A4 まず、新しいILOデータベースであるNORMLEXにおいて、当該国がどのような条約を批准しているかを確認できます。次に、世界レベル、国・産業部門レベルにおける児童労働の範囲、特徴、決定要素に関する情報はILOSIMPOCによって提供されています。他にも、各国の労使団体が当該国における児童労働に関する情報提供を行っていることがあります。 


Q5 出生証明が存在しなかったり不正確であったりする国において労働者の年齢を確認する方法はありますか?

A5 以下の方法が考えられます。 

1)プライバシーに配慮しつつ、雇用前に健康診断を実施する。

2)複数の書類を交互に参照して誤りの存在を見抜く。

3)さらなる情報を得るため、最低就労年齢に満たない年齢である疑いのある者に対して面談を実施する。

4)学校の在籍証明を確認する。 

当該労働者自身が自分の正確な年齢を分からない場合もありますが、当該地域の指標となるもの、例えば干支や大きな出来事と関連付けることで、その人の生まれた年を特定できることがあります。
 

Q6 公的証明書に記載されている年齢と当該労働者が申告している年齢が異なる場合、どう対応すればよいですか?

A6 公的証明書に記載された年齢が誤りであると信じるに足りる理由があるときは、当該証明書を雇用するに当たっての年齢を確定するための基礎とすることはできません。このような誤った公的証明書の年齢記載は児童労働の免責事由になりません。企業としては、現地の公的機関に問題があることを伝え、連携して、事態を是正するよう対応することが考えられます。 

Q7 当該国の法令が12歳の少女について結婚でき成人として労働できると規定している場合でも、当該労働は児童労働に該当するのでしょうか?

A7 質問にあるような当該国の法令の規定は、当該少女に与える児童労働の害悪を何ら減らすものではありません。企業は、当該国の法令に従うだけでなく、関連する国際基準を尊重することが要請されます(多国籍企業宣言)。

Q8 18歳未満(14歳は超えています。)の研修生が夜間時間帯に勤務することは許されますか?当該国政府が規定する研修生プログラムならば、若年者雇用を支援するために、17歳の研修生を夜間時間帯で雇用することはできますか? 

A8 当該国の法令が18歳未満の夜間の勤務を禁止している場合、それは守らなければなりません。当該国に適用可能な法令がない場合、国際労働基準が指針になります。同基準は、18歳未満の夜間勤務従事を一般的に禁止していますが、例外的に、16歳及び17歳については、以下の場合に限り、研修生プログラムの一環として夜間勤務をすることが許されます。

  • プログラムが適格な当局によって公認されていること
  • 二つの労働期間の間に最低13時間の連続した休憩時間が認められること
  • 夜間労働に従事するに先立ち、仕事に関し適切で明確な指導・訓練があること
  • 夜間労働を含めて、研修生を保護・監督するための対策が講じられていること   

16歳未満の若者はたとえ研修生であっても夜間労働は一切できません。 

Q9 当社は18歳未満の者を雇用しないこととしていますが、当社が操業している国では18歳未満の者も働く権利があるとされています。当社の姿勢は差別に関するILO条約に違反するものなのでしょうか?当社が採るべき姿勢を教えてください。

A9 若年雇用の増加を阻害することから、年齢に基づく差別は問題視されています。当該国の法令に設定された最低就業年齢を尊重すべきです。ただ、その年齢が、先進国における15歳、発展途上国における14歳という基準未満である場合は、会社としては、最低年齢15歳以上、例外的に発展途上国では14歳以上という基準(第138号条約)のほうを適用すべきです。18歳未満という基準は、危険有害労働に当たる場合、その他最悪の形態の児童労働に当たる場合(第182号条約)、当該仕事の本質的要請として18歳以上であることが求められる場合を除いては、差別に該当すると考えられます。

 

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