部門別会合

金融部門に対するデジタル化の影響技術会合

 銀行、保険業、金融仲介業といった金融サービスを提供する産業部門は従来から科学技術を取り入れてきたものの、近年の適用のペースは前代未聞です。自動化、業務の専門化と分散を特徴とするデジタル変革は、電子マネー決済システムなどの新たな支払い手段を生み出し、ビッグテック企業などの情報技術(IT)企業や小売企業などの新たなサービス提供者の金融市場参入を招いています。新技術はまた、金融機関が莫大なデータを処理・利用し、そこから価値を生み出すことを、より容易にしています。

 人工知能(AI)や計算能力、暗号化技術の進歩によって円滑化されたビッグデータの活用を進める金融技術(フィンテック)企業の登場は科学技術で可能になったモバイル・オンライン・プラットフォームを活用し、顧客にますます直接サービスを提供するといった形で金融サービスの提供の仕方を変革しています。フィンテックの景観は多様性に富んでいますが、金融市場の民主化、金融機関離れを促進し、公式の金融機関が到達できていなかった人々にサービスを提供し、より透明な情報を確保できる能力といった点を中心に、そのビジネスモデルにはある程度の共通性があります。公式の金融機関はこういった規制の枠外で、同じ程度の安全網を備えずに金融サービスを提供する、この種の機関との競争にますますさらされるようになってきています。

 こういった技術進歩に加え、金融部門はまた、グローバル化や金融サービスに対する需要に影響を与えている人口構造の変化といった大きな趨勢の影響も受けており、金融労働市場とその作業組織、雇用構造には大きな変化が訪れています。反復的な定型業務は機械に委ねられ、職務内容はより高い技能を必要とするものに移行しつつあります。人の精神的な業務に置き換わるAI化の進展は業務の交換、補完、拡大を招いており、これに沿った雇用政策と関連技能の育成が求められています。

 このような変化に鑑みて開催される標記の会合では、関連産業部門の労使代表各8人と関心のある政府代表が参加して、世界的な趨勢、金融部門のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を前進させる政策・方針、戦略、好事例に特に焦点を当てて、この部門の仕事の未来に対するデジタル化の影響に係わる課題と機会について話し合いを行います。

 討議のたたき台として準備された論点文書は、金融部門の全体像を示す第1章「金融サービス部門」、グローバル化や人口構造、環境の持続可能性、技術発展といった金融部門を取り巻く主な趨勢を紹介する第2章「金融部門デジタル化環境のメガトレンド」、雇用、技能・生涯学習、社会的保護・労働条件、就労に関わる基本的な原則と権利、社会対話といったディーセント・ワークの構成要素の観点から金融部門の状況をまとめた第3章「金融部門デジタル化の文脈におけるディーセント・ワークを巡る機会と課題」、デジタル化やデータ保護・監督、責任ある企業行動を育む上での科学技術の役割といった新たな動向に対応する規制上の課題を指摘する第4章「デジタル化された金融サービス部門の規制問題」といった4章構成で、金融部門のデジタル化を巡る最近の動きをまとめています。


詳しくは会合のウェブサイト(英語)へ---->
金融部門に対するデジタル化の影響技術会合