アジアにおける持続可能なサプライチェーン実現に向けて~責任ある企業行動のための国際協調の促進~(11/19)

近年、企業の間では、サプライチェーンリスクへの対応、並びに持続可能な開発に貢献する形での事業運営に対する需要が高まりを見せています。企業の社会的責任(CSR)と責任ある企業行動(RBC)への期待はグローバル・サプライチェーン全体に広がっており、企業責任、消費者の声、規制の増加、株主や投資家からの期待への対応の必要性が増しています。さらに、日EU経済連携協定では、貿易及び投資、持続可能な開発、企業の社会的責任の促進が盛り込まれ、国際的に認められたガイドラインや原則(OECD多国籍企業行動指針(日本語訳)(1)、ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(ILO多国籍企業宣言)(2)等)の重要性を指摘しており、上述の動きをますます後押ししています。

本イベントは、欧州連合(EU)の資金拠出により実施されている「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プログラムを通じて、グローバル・サプライチェーン上のCSRとRBCの促進を支援し、企業間の連携を促し、この分野で活発に活動する企業や機関の相互の情報交換を後押しする方法を議論することを目的としています。そして、アジアにおけるRBCとCSRの推進に向けた協調の可能性を探るため、専門的な知見に基づいて議論を行います。

本イベントは、責任あるビジネスと人権に関するフォーラム(RBHRフォーラム) (3)のサイドイベントとして2019年6月13日にOECD、EUと日本国政府によって共催されたイベントを踏まえて開催に至りました。これらのイベントでは、日EU経済連携協定に即して、相互の協力を推進してビジネスを支援することを目指しています。こうした取り組みの重要性は、2018年11月に開催された第5回日EU CSRワーキンググループ会議の一環として行われた「日EU CSRビジネスダイアログミーティング」(4)でも確認されています。そしてこの会合で、経済産業省と欧州委員会は、第3国でサプライチェーンリスクに関するセミナーを開催することに合意しました。アジアにおいて、RBCとCSRに関する政策や企業行動に関する国際的な基準への関心を高めることがその目的です。(5)

本イベントは、エレクトロニクス及び自動車部品業界のサプライチェーン上のRBCとCSRにかかる課題を例に取り上げつつ、あらゆる業界の企業、投資家の皆様の参加を歓迎致します。日本、欧州、アジアで活動する企業の、購買・調達、サプライヤー管理、総務、サステナビリティ・CSR、人事・労務、法務、リスク管理、経理・財務などを担当される役員、管理職、ご担当者の方々の参加を特にお待ちしております。

本イベントは、チャタムハウスルールの下、開催致します。ご参加登録は、こちらよりお願い致します。

本イベントに関するご質問は、以下の窓口までお問い合わせください。
OECD RBCセンター
ステファニー・ベヌティ : stephanie.venuti@oecd.org

国際労働機関(ILO)駐日事務所
篠原 祥子: shinohara@ilo.org

(1) OECD多国籍企業行動指針は、48か国の政府が企業に対して行う最も包括的なRBCに関する勧告です。国連ビジネスと人権に関する指導原則、ILO多国籍企業宣言等の企業行動に関するその他の主要文書と足並みを揃えた内容となっています。
(2) ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)は、社会政策と包摂的で責任ある持続可能なビジネス慣行に関して、企業に直接の指針を示したILOの文書です。この宣言の目標は、多国籍企業が経済的・社会的進歩及びすべての人へのディーセント・ワークの実現に対してなしうる積極的寄与を奨励し、その各種の活動がもたらす困難を最小にし、かつ解決することです。
(3) RBHRフォーラムは、責任ある企業行動とビジネスと人権に関する優先課題を話し合うマルチステークホルダーイベントで、バンコク・ビジネス人権週間にタイ政府、OECD、UNDP、ESCAP、ILOにより共催され、ビジネスと人権に関する国連ワーキンググループも参加する形で行われました。OECD RBCグローバルフォーラムもRBHRフォーラムの一環です。
(4) 第3回日EU CSRビジネスダイアログにおけるレポート“Responsible Global Sourcing: A Collaborative Approach to Achieve the SDGs: The challenges and the way forward”( こちら )をご参照ください。
(5) 2019年11月18日に開催される日EU CSRビジネスダイアログでの議論も参照します。



プログラム
(日英同時通訳つき)

08:30 – 09:00 受付
09:00 – 09:30 開会挨拶:アジアにおけるRBCとCSRに関する日本と欧州の取り組み
  • 外務省
  • クリスティン・シュライバー(欧州委員会成長総局「企業と中小企業の競争力のためのプログラム(COSMEプログラム)」ディレクター)
開催趣旨:
  • クリスティーナ・テバー・レス(OECD 責任ある企業行動センター・センター長)
  • 田口晶子(国際労働機関(ILO)駐日代表)
09:30 – 11:00 ラウンドテーブル : OECDデュー・ディリジェンスアプローチを用いたサプライチェーンリスクへの対応~高リスク地域からの原材料調達の事例~(OECD)
日本と欧州の企業が世界をリードするエレクトロニクス及び自動車部品業界では、主に高リスク地域からの大規模な原材料調達が必要とされています。企業の対応は、「紛争鉱物」(スズ、タンタル、タングステン、金)関連のサプライチェーンリスクでは大幅な進展を見せた一方で、コバルト、リチウム、マイカ、天然ゴムなどのその他の原材料に関しては依然として課題が残り、人権、労働者の権利、環境なども含めたリスクを理解することが求められています。このセッションでは、紛争鉱物のみでなく全ての原材料に適用できるOECDのデュー・ディリジェンス・フレームワークと、企業がサプライチェーンのデュー・ディリジェンスを実施する上で利用できる各種のツールに関する理解を深め、関係者の連携を後押しすることを目的としています。

モデレーター:ラッシャッド・アベルソン(OECD 責任ある企業行動 センター・リーガルエキスパート)

11:00 – 11:15 休憩

11:15 – 12:15 ラウンドテーブル:アジアにおける多国籍企業のディーセント・ワークの推進(ILO)
国際的な投資、生産、貿易を考える上で、グローバル・サプライチェーンは一般的なものとなりました。途上国をはじめとする多くの国では、グローバル・サプライチェーンを通じて雇用創出と経済・社会開発の機会が生まれています。雇用や経済開発の分野におけるこうしたプラスの効果の一方で、サプライチェーン上のディーセント・ワークと良好な労働環境の促進については、引き続き課題が残っています。このセッションでは、アジアで事業を行う企業が競争力や生産性の向上と市場拡大を目指す上で、社会的責任ある労働慣行がどのように役立つかを示し、政府や国際機関、サプライチェーン上のサプライヤー等のステークホルダーと協調していくために企業がとるべきステップを模索します。

プレゼンター:フレディ・グアヤカン(ILO アジアにおける責任あるサプライチェーンプログラム・プログラムマネージャー)

12:15 – 12:30 閉会:「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プログラムを通じた今後の協調に向けて
  • フレディ・グアヤカン(ILO アジアにおける責任あるサプライチェーンプログラム・プログラムマネージャー)
  • ステファニー・ベヌティ(OECD 責任ある企業行動 センター・政策アドバイザー)
12:30 – 14:00 ランチ

登壇者:
  • 駐日オランダ王国大使館 経済・商務部公使 パール・ズウェトスロート氏(TBC)
  • 駐日ドイツ連邦共和国大使館 経済部一等書記官 ミリアム ・ハーフェレ氏
  • 電子情報技術産業協会(JEITA)ワシントンDC事務所副所長 アンダーセン 和子氏
  • 在欧日系ビジネス協議会(JBCE)CSR委員会委員長 木下 由香子氏
  • 真和総合法律事務所パートナー 責任ある企業行動及びサプライ・チェーン研究会
  • 弁護士(日本)法学修士(米・仏・独・伊)高橋 大祐氏
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所 新領域研究センター 法・制度研究グループ長 山田美和氏
  • 弁護士 大村 恵実氏
  • 第一生命保険株式会社 運用企画部部長兼責任投資推進部部長 銭谷 美幸氏
  • 帝人株式会社CSR企画推進部部長 大崎 修一氏
  • 日本ILO協議会 熊谷謙一氏