ILO統治機構

第107回ILO総会

第107回ILO総会予告動画(英語)

 日本を含む187の加盟国から政府、使用者、労働者の代表が出席して開かれるILOの年次総会。今総会では、持続可能な開発目標とILOの開発協力のあり方や社会対話と三者構成原則、労働時間といった事項に関する検討に加え、仕事の世界における暴力と嫌がらせ(ハラスメント)に関する新たな基準の設定に向けた議論が開始されます。

 5月30日には、2019年の100周年記念ILO総会に提出される独立報告書の作成を任務として、仕事の世界に関する掘り下げた議論を行っている「仕事の未来世界委員会」の活動に関する説明会が開かれます。6月7日に開かれる仕事の世界サミットは、昨年行われた「2017年の平和と強靱性のための雇用とディーセント・ワーク勧告(第205号)」の採択を受けて、平和と強靱性のためのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のテーマを取り上げます。児童労働反対世界デーの6月12日には今年の総会は終了しているため、約1週間前倒しした6月4日に、今年のテーマである「安全で健康的な世代」と「児童労働に反対するグローバル・マーチ」20周年に光を当てるイベントが開かれます。マーチを主導したノーベル平和賞受賞者のカイラシュ・サティアルティ氏の出席が予定されています。

 議題は以下の八つです。

  1. 理事会議長及び事務局長の報告
     2016/17年の前事業年度のILOの活動報告(Report I(A))とILO創立100周年記念イニシアチブの一つである働く女性の問題を取り上げた事務局長報告(Report I(B))、2017年の総会以後1年間における理事会の業務報告(Report I(C))、アラブ被占領地の労働者の状況に関する事務局長報告付録(Appendix)の計4冊の議題資料をもとに審議が行われます。活動状況の詳細はディーセント・ワーク成果アプリを通じて見ることもできます。
     
  2. 事業計画・予算その他の問題
     ILOの事業計画は2暦年制となっており、今年は予算審議年でないため、2017年12月31日締めの財務報告と監査済連結財務諸表(Financial report)、2019年予算の分担金率、ILO行政審判所の審判員構成といった承認・決定が必要な財務・総務事項が検討されます(Report II)。
     
  3. 条約・勧告の適用に関する情報と報告
     条約勧告適用専門家委員会の構成やILOの基準関連活動を記した一般報告に加え、批准国から送付された条約適用状況に関する報告書を検討した上で、専門家委員会がまとめた見解が国・条約別に記されている『一般報告及び特定国に関する見解(Report III(Part A) & Corrigendum)』及び労働時間をテーマとする総合調査報告(Report III(Part B) & Corrigendum)の2冊の議題資料が提出されており、基準適用委員会でこれに基づく審議が行われます。
     日本についてA部では、1947年の労働監督条約(第81号)1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)1951年の同一報酬条約(第100号)1960年の放射線からの保護に関する条約(第115号)1964年の雇用政策条約(第122号)1981年の家族的責任を有する労働者条約(第156号)1983年の職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)の8条約の適用状況に関連して、消防職員及び刑務所職員の団結権、国家行政に関与しない公務員の団体交渉権、男女同一価値労働同一報酬に関する法制、家族的責任に関連した長時間労働、労働監督官数、雇用動向と積極的労働市場措置、障害者の雇用促進、福島第一原子力発電所における除染・廃炉作業に従事する労働者の問題などに関する見解が記載されています。
     『将来に向けた人間らしく働きがいのある労働時間の確保』と題するB部は、労働時間分野の9条約、1議定書、6勧告を対象とした調査に対する加盟国からの回答内容を中心にまとめています。11章構成の最初の5章で、労働時間、週休、年次有給休暇、夜間労働、パートタイム労働といった対象基準に係わる国内法制等をそれぞれまとめた後、フレックスタイムなどの労働時間編成(第6章)、ゼロ時間契約などの新たな問題(第7章)、社会対話と団体交渉の役割(第8章)、労働時間に関する国内法規の遵守を確保するために講じられている措置(第9章)、関連基準の潜在力を発揮させる方法(第10章)について、加盟国から寄せられた情報を紹介し、委員会としての結論及び前途に向けた提案(第11章)を示しています。対象となっている基準は次の通りです。1919年の労働時間(工業)条約(第1号)1921年の週休(工業)条約(第14号)1930年の労働時間(商業・事務所)条約(第30号)1935年の40時間制条約(第47号)1948年の夜業(婦人)条約(改正)(第89号)同条約の1990年の議定書1957年の週休(商業及び事務所)条約(第106号)1970年の有給休暇条約(改正)(第132号)1990年の夜業条約(第171号)1994年のパートタイム労働条約(第175号)1921年の婦人夜業(農業)勧告(第13号)1954年の有給休暇勧告(第98号)1957年の週休(商業及び事務所)勧告(第103号)1962年の労働時間短縮勧告(第116号)1990年の夜業勧告(第178号)1994年のパートタイム労働勧告(第182号)
     この分野の条約の批准国数は多くなく、日本も全く批准していません。一部の政府より出された労働時間関連基準の整理統合または改正提案及びILO内で進行中の労働時間分野におけるディーセント・ワークの前進に向けたさらなる手引きの策定に向けた動きを受けて、委員会は、新たな基準を検討する際には、労働者の安全と健康保護や私生活・家庭生活と勤労生活の妥当なバランスの維持を考慮に入れるべきことなどを提案しています。
     
  4. 一般討議-持続可能な開発目標を支えるILOの効果的な開発協力
     ILOの開発(技術)協力のあり方は既に何度か総会の議題になっていますが、国連による2015年の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択をはじめ、最後に議論された2006年から国際環境は大きく変わっています。そこで、2018年以降のILOの開発協力戦略の手引きとなるような結論の採択を目指して包括的な話し合いが行われます。
     『2030年に向けて:持続可能な開発目標を支えるILOの効果的な開発協力』と題する討議資料(Report IV & Corrigendum)は、仕事の世界に影響を与えている世界的な趨勢を概説した上で(第1章)、ディーセント・ワークが2030アジェンダの中心を占めていることを説明し(第2章)、2030アジェンダを構成する持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた活動の財源選択肢(第3章)や様々なパートナーシップ・協力形態(第4章)について検討し、ILOの開発協力の枠組み(第5章)や達成された成果など(第6章)を紹介した後、今後の可能な道筋(第7章)と議論のポイント(第8章)を示しています。
     
  5. 2回討議手続きに基づく基準設定の第1次討議-仕事の世界における男女に対する暴力とハラスメント
     職場における暴力やハラスメントは、全ての人間が有する「自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び精神的発展を追求する権利」を促進するというILOの任務の根幹に係わる問題であるものの、これを直接取り上げた基準は存在しません。このディーセント・ワークと相容れず、許容できない問題に取り組む緊急の行動を求める声に応え、新たな基準の採択を目指す2回討議手続きの1回目の討議が行われます。
     『仕事の世界における男女に対する暴力とハラスメントに終止符を打つ』と題し、仕事の世界における暴力とハラスメントの現状を、その内容、関係者、発生場所、影響、推進要素、リスク要因、危険度が特に高い職種や集団などの切り口から解説し、国際・国内の取り組みをまとめた報告書(Report V(1))と、これに関する基準設定についての加盟国政労使の見解を記した報告書(Report V(2))の2冊の討議資料をもとに、2年越しの検討が開始されます。
     
  6. 2008年に採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」のフォローアップ手続きに基づく反復討議-社会対話と三者構成原則
     「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」のフォローアップ活動として、ディーセント・ワークを全ての人に実現することを目指すディーセント・ワーク課題の四つの戦略目標(雇用、社会的保護、社会対話、労働における基本的な権利・原則)について、活動計画の策定などを目指して一つずつ順番に討議を繰り返す反復討議が実施されています。社会対話のテーマが取り上げられるのは2013年に続き2回目ですが、2016年の総会決議を受けて開始された新しい反復サイクルの最初の1冊として準備された討議資料『社会対話と三者構成原則』(Report VI & Corrigendum)は4章構成を取り、社会対話に係わる世界的な趨勢と課題を概説した後(第1章)、より幅広く加盟国政労使による社会対話の現状を、好事例やギャップ、ニーズと共に紹介し(第2章)、2014~16年の行動計画に沿ってILOが実施した活動を記した上で(第3章)、討議ポイントの提案と共に、変化する仕事の世界における社会対話のあり方と社会対話を促進するILOの活動についての見解をまとめています(第4章)。
     
  7. 条約の廃止・勧告の撤回
     新たに発効した憲章規定に基づき、たとえ発効している条約でも所期の目的を失ったか、ILOの目的達成に当たりもはや有益な貢献をしていないことが明らかな場合、総会で廃止できるようになりました。これに基づき、次の6条約の廃止と3勧告の撤回が提案されています。1926年の移民監督条約(第21号)1936年の土民労働者募集条約(第50号)1939年の雇用契約(土民労働者)条約(第64号)1939年の刑罰(土民労働者)条約(第65号)1947年の雇用契約(土民労働者)条約(第86号)1955年の刑罰廃止(土民労働者)条約(第104号)1920年の労働時間(漁業)勧告(第7号)1939年の移民労働者勧告(第61号)1939年の移民労働者(各国間の協力)勧告(第62号)
     この議題に関連し、『6本の国際労働条約の廃止と3本の国際労働勧告の撤回』と題する、当該基準の現状と廃止・撤回提案に対する加盟国政労使の意見を尋ねるアンケートを掲載した報告書(Report VII(1))とアンケートに対する回答を掲載した報告書(Report VII(2))の2冊の討議資料が準備されています。
     
  8.  2018年4月に開かれた海上の労働に関する条約特別三者委員会の第3回会合は、条約規範部分の改正提案を検討し、海賊や武装強盗によって船舶が襲撃され捕虜になった間も船員の賃金その他の雇用関連資格が保護されるよう、船員の雇用契約に関する第2.1規則、賃金に関する第2.2規則、送還に関する第2.5規則の関連する規定の改正を承認しました。条約の規定に従い、今総会には、この改正提案(Provisional record 1C)が承認を求めて提出されます。

 総会のウェブサイト(英語)では討議資料、記者発表、討議議事録などを入手できます。本会議の模様は動画でも配信されます。会期中の最新の動きは次のハッシュタグを用いてソーシャルメディアで追うこともできます(英語#ILC2018、仏語#CITravail、西語#CITrabajo)。会期中には総会関連テーマに関し、インターネット経由で視聴し、直接質問もできるILOフェイスブック・ライブインタビュー「専門家に聞く」を毎日配信します。

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