ILO統治機構

第331回理事会

 年3回開かれる理事会の定期会合。政府側28人、労使各側14人の計56人の正理事と、政府側28人、労使各側19人の計66人の副理事で構成。議題は以下の分野別部会に分けて審議されます。

  • 結社の自由委員会報告や事務局長報告などの報告事項、憲章上の義務を含む国際労働機関及び事務局の機能に係わる事項、緊急の問題などを処理する制度機構部会
  • 雇用・社会的保護部門、多国籍企業部門、社会対話部門、開発協力部門の4分野から成る政策開発部会
  • 法務部門と国際労働基準・人権部門の2分野から成る法務・国際労働基準部会
  • 計画・財政・管理部門、人事部門、監査・監督部門の3分野から成る計画・財政・管理部会
  • 戦略的政策部門やグローバル化の社会的側面作業部会など、戦略的に重要な事項に関する話し合いの場として必要に応じて開催されるハイレベル部会(今回は非開催)
  • 2008年の総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」に基づき理事会・総会の機能改善を検討する場として当面開催される理事会・総会機能作業部会

 今会期の主な達成事項は以下の通り。

 ILO憲章第26条に基づき、2014年の第103回ILO総会の複数の代表から提起された、カタール政府による「1930年の強制労働条約(第29号)」及び「1947年の労働監督条約(第81号)」不遵守についての苦情申立に関しては、理事会は数度にわたって審議してきましたが、労働法制について政府が行った最新の大幅な変更に鑑み、第331回理事会は3年間の包括的な技術協力計画の開始を承認して審議を終結させる決定を下しました。理事会は申し立てられた苦情が現場のすべての労働者に好ましい変化をもたらすというカタール政府の真の公約へと転換したことを歓迎しました。今理事会に提出された討議資料には、2018~20年の3年間の協力活動の戦略目標が記されています。

 理事会はまた、同じく憲章第26条に基づき、グアテマラに対して提起されている「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」不遵守の苦情申立に関しても問題解決に向けた政労使間の合意の達成といった好ましい展開を歓迎しました。

 一方で、ミャンマーの強制労働撤廃に向けた取り組みについては引き続き注視していくこととし、第87号条約等複数の条約不遵守の苦情が申し立てられているベネズエラについては今年末までに政労使円卓会議を制度化して社会対話を育むよう要請し、そのための視察団の派遣を決定し、2018年3月の理事会に提出されるその報告書を待って、審査委員会設置の是非を決定することとしました。

 また、ベネズエラやカンボジアなど27件の結社の自由の侵害に関する申立てを審議した結社の自由委員会の報告書を従来通り承認しました。

 ILOとたばこ産業の協力関係に関しては、複雑な議論を経て、「今会期で表明されたすべての見解を考慮に入れ、2018年3月の第332回理事会にたばこ産業のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)不足に取り組むILOの総合戦略を提出すること」を事務局長に指示しました。

 現在、国際標準化機構(ISO)ではISO 45001として労働安全衛生マネジメントシステムの規格化が進められています。ILOは既に2001年にこの分野における指針を策定しているため、2013年8月6日に協定を締結してISOでの作業に協力していくこととしました。しかし、協定の目的が達成されなかったため、理事会は過去4年間にわたる協定のパイロット実施期間における推移を点検し、協定を破棄することを決定しました

 この他に、ILO総会で採択された「平和と強靱性のための雇用とディーセント・ワーク」、「就労に係わる基本的な原則と権利に関する第2回反復討議」、「人間らしく働きがいのある生産的な雇用の創出と中小企業」のそれぞれに関する決議についてもフォローアップを確保する決定が行われました。許容できない労働形態からの労働者の保護労働監督を通じた職場における法令等遵守の促進イスラエル占領地に対する開発協力強化計画などに関する話し合いももたれました。

 理事会役員は任期1年で総会直後の6月の理事会で選出されますが、政府側副議長に選出されたペルーの在ジュネーブ国際機関常駐代表であったルイス・エンリケ・チャベス・バサゴイティア大使の異動に伴い、後任のクラウディオ・フリオ・デ・ラ・プエンテ・リベイロ大使がその任を引き継ぐこととなりました。理事会議長は現在、ベルギーのリュック・コルトベック・キリスト教労組連盟(ACV-CSC)名誉会長が務め、使用者側副議長は南アフリカのムトゥンジ・ムドゥワバ理事、労働者側スポークスパーソンは、オランダのカテレーネ・パスキエ理事が務めています。


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