ILO統治機構

第328回ILO理事会

ライダーILO事務局長再選演説(英語・12分9秒)

 年3回開かれる理事会の定期会合。政府側28人、労使各側14人の計56人の正理事と、政府側28人、労使各側19人の計66人の副理事で構成。議題は以下の分野別部会に分けて審議されました。

  • 結社の自由委員会報告や事務局長報告などの報告事項、憲章上の義務を含む国際労働機関及び事務局の機能に係わる事項、緊急の問題などを処理する制度機構部会
  • 雇用・社会的保護部門、多国籍企業部門、社会対話部門、開発協力部門の4分野から成る政策開発部会
  • 法務部門と国際労働基準・人権部門の2分野から成る法務・国際労働基準部会
  • 計画・財政・管理部門、人事部門、監査・監督部門の3分野から成る計画・財政・管理部会
  • 2008年の総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」に基づき理事会・総会の機能改善を検討する場として当面開催される理事会・総会機能作業部会

 今会期では、ガイ・ライダーILO事務局長の再選や国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に対するILOの貢献、雇用・社会分野の世界的な主な課題、労働者の権利、事務局の活動など様々な事項について決定が下されました。主な成果は以下の通りです。

 理事会ではILOが最近焦点を当てている重要な問題が複数取り上げられました。社会的保護の土台の構築・拡大持続可能な企業の振興に関する戦略についてはさらなる実施を事務局長に求め、移民労働者などについての公正な人材斡旋・募集難民その他移動を強いられた人々の労働市場へのアクセスといった分野におけるILOの今後の活動を導く一連の原則を承認しました。2016年の第105回ILO総会で採択されたグローバル・サプライチェーン(世界的供給網)におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に関する決議フォローアップする討議を行い、行動計画の策定を進めました。貿易協定における労働関連規定についての話し合いの結果、引き続き支援を求める政労使に対する技術支援の提供と情報の収集・分析を行い、関連する国際機関などとのパートナーシップを育み、持続可能な開発のためのディーセント・ワーク、投資、貿易に関する活動報告を理事会に定期的に提出することが決定されました。

 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に関連しての持続可能な開発のためのディーセント・ワークに関する議論では、国連のハイレベル政治フォーラムで行われるアジェンダの年次レビューに対するILOからの貢献を政労使で話し合う場として2017~19年の理事会の3月会期を用いることが提案されました。さらに、2017年3月には「変動する世界の中での貧困根絶・繁栄促進」におけるディーセント・ワークの側面に関するハイレベル討議を行うこと、2018年の第107回ILO総会の議題に持続可能な開発目標を支える効果的なILOの開発協力に関する討議を含むことが決定されました。2018年の総会議題に関しては、理事会は他に、2008年の「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」のフォローアップ手続きに基づく四つの戦略目標の反復討議のサイクルを決定し、仕事の世界における男女に対する暴力と嫌がらせの分野における新たな国際労働基準策定のための枠組みを定めました。

 2017年11月にアルゼンチンで開かれることになっている第4回児童労働世界会議の準備状況に関する報告もあり、アルゼンチン政府から出された、会議で大人の強制労働の問題も取り上げるとの提案は歓迎されました。

 労働者の権利に関しては、民主化を進めるミャンマーとILOの関わりカタールベネズエラグアテマラにおける国際労働基準適用上の問題に関する報告が行われました。結社の自由委員会では結社の自由の侵害に関して提起されている26カ国32件の申し立てが取り上げられました。

 内部事項としては、理事会は2018~21年のILOの戦略計画を承認し、事務局の業績をより良く評価する成果主義枠組みに特に重点を置いて、その手引きに従って2019年のILO創立100周年に至る100周年記念イニシアチブの具体的な内容を定めることになる2018/19年、そして2020/21年の2事業年度の事業計画・予算案を策定するよう事務局長に要望しました。

 今理事会では、2016年3月の第326回理事会で決定された選挙手続きに則り、ILO事務局長の選挙が行われました。2016年7月15日に立候補の届出が締め切られ、唯一の候補者であったガイ・ライダー現事務局長に対し、10月31日の候補者ヒアリングを経て、11月7日に信任投票が行われ、正理事56票中54票の得票で再選が決まりました。事務局長の2期目5年間の任期は2017年10月1日から始まります。


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