ILO統治機構

第327回ILO理事会

 年3回開かれるILO理事会は、任期3年の正理事56名(政府側28名、使用者側14名、労働者側14名)及び副理事66名(政府側28名、使用者側19名、労働者側19名)で構成されています。日本からは、2014~17年の使用者側正理事として日本経済団体連合会(経団連)の松井博志国際協力本部参事、労働者側正理事として連合の桜田高明国際顧問が選出されています。日本政府は、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、ロシア、英国、米国と共に、十大産業国として常任理事となっています。

 第105回ILO総会直後に開かれた今理事会は、2016~17年の議長として、在ジュネーブ国際機関ドイツ政府代表部のウルリッヒ・ザイデンバーガー臨時代理大使を選出しました。弁護士であるザイデンバーガー大使は、外務省で長く外交キャリアを積み、ニューヨークの国連本部における政府代表部に勤務した経験もあります。使用者側副議長には、デンマーク使用者連盟のヤアアン・ラネスト国際部長、労働者側副議長には、ベルギーのリュック・コルトベック・キリスト教労組連盟名誉会長がそれぞれ再任されました。両副議長はそれぞれのグループのスポークスマンも務めます。

 理事会は日本やベラルーシなどの案件を含む結社の自由委員会の報告書に加え、ペルーにおける先住民及び種族民条約(第169号)、ポルトガルにおける強制労働条約(第29号)及び差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)のそれぞれの適用状況に関する報告書を検討しました。公務員の労働基本権制約に関して日本労働組合総連合会(連合)及び全国労働組合総連合(全労連)が申し立てている日本の案件(第2177号及び第2183号案件)に関しては、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の賃下げ違憲訴訟などの裁判の推移を報告し、地方公務員の賃下げ圧力などに関する懸念を表明する全労連からの報告を受けて10回目の中間報告が出されました。委員会は、2002年の申立提起時点から相当の時間が経過したにもかかわらず、何ら具体的な措置が講じられていないことを深く遺憾とし、公務員の労働基本権の確保に向けて関係する社会的パートナーとの協議を遅滞なく進捗させるよう求める従来の要求を繰り返し、必要な改正法案が速やかに国会に提出されることへの期待を表明し、人事院勧告制度の機能など関連情報を引き続き提供するよう求めています。

 結社の自由委員会とは、結社の自由の問題に関する申立てを審査する理事会の委員会で年3回開催されます。委員は政府側、使用者側、労働者側各6人のILO理事(正副3人ずつ)と独立した個人である委員長の計19人で構成されています。一身上の都合によって委員長が欠席したため、例外的に日本の寺本隆信政府側委員が急遽委員長を務めました。委員会の過去の決定は国際労働基準データベースNORMLEXでご覧になれます。


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第327回ILO理事会