船員の身分証明書

2003年の船員の身分証明書条約(改正)(第185号)改正特別三者構成海事委員会

 1958年の船員の身分証明書条約(第108号)を改正し、これに代わるものとして2003年に採択された船員の身分証明書条約(改正)(第185号)は、船員が陸上の福利・医療施設の利用や休暇のための上陸、船舶の運航に関連しての移動に関わり、一時的に外国の領域に入国する際の便宜を図るために、船員の身分証明書に関する統一した国際的要件を規定しています。条約は指紋を基礎とする生体認証(バイオメトリクス)テンプレートなどを含む身分証明書(ID)モデル、ID電子データベースの内容、ID発行の要件並びに推奨される手続き及び実務といった詳細を定めていますが、国境保安や身分証明書に係わる技術は条約採択後相当に進歩し、条約が基礎とする科学技術は既に時代遅れになり、条約実施のための製品は入手が難しい状態になっています。

 2015年2月に開かれた専門家会議では、こういった事情に配慮し、IC旅券で用いられている現行技術に合わせるよう、身分証明書モデルを示す条約附属書の改正を提案しました。この提案は同年3月に開かれた第323回理事会に提出され、その承認を得て、2016年の第105回総会でこの改正議題が審議されることになりました。理事会はまた、審議のための改正案をまとめる事前会合の開催を決定しました。

 政府代表32人、船舶所有者・船員代表各16人で構成されるこの委員会では、専門家会議の議論に基づき事務局の準備した背景資料を元に審議を行い、総会に提出される改正案として、現行の二次元バーコードによる指紋テンプレートに代えて、機械読取式旅券のユニバーサル規格となっている国際民間航空機関(ICAO)文書第9303号の規格に則った、顔写真画像データを内蔵した非接触式チップを用いる機械読取式電子身分証明書とするよう、附属書I「船員身分証明書の様式」、附属書II「電子的なデータベース」、附属書III「船員身分証明書の発給に関する要件並びに勧告される手続及び慣行」の改正提案が採択されました。また、現行規定に基づき発行されている身分証明書の効力に影響を与えないため、この改正が総会で採択されてから1年の後に発効することや発効日前に第185号条約を批准している国に改正採択後6カ月間、自国について改正が効力を持たない旨宣言する機会を与えることなどを提案する「第185号条約の実施並びに経過措置を含む、その附属書の改正提案の発効に関する決議」、そして船員が休暇のための上陸や通過に係わる困難を経験し続けていることに懸念を表明し、船員の上陸や福利施設の利用、通過に対して便宜を図る措置の実施やそのような手続きの調和化などを求める「船員の通過及び休暇のための上陸の利用の簡易化に関する決議」も採択されました。


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2003年の船員の身分証明書条約(改正)(第185号)改正特別三者構成海事委員会