ジェンダー

ILOは、1919年の創設以来、すべての働く男女の権利の促進およびジェンダー平等の達成に深く関わってきました。ジェンダー平等に対するILOのビジョンは、ILOの掲げる4つの戦略目標と呼応したものであり、それは基本的人権としてのみならず、「ディーセント・ワークをすべての人に」というグローバルな目標にとって本質的なものです。こうしたビジョンは、関連する国際労働条約や、ILOの最高政策決定機関であるILO総会で採択された数々の決議に言明されているジェンダー平等に関するILOのマンデートに根ざしたものです。

ILOのジェンダー平等とその主流化政策には、2つのアプローチがあります。1つは男女双方が持つ特定のニーズを体系的に分析し、ILOの全事業の中にそれらを取り込むこと、2つめは男女が開発に参加できるよう、そして男女がそこから等しく恩恵を得られるように、目的に合った介入をしてゆくことです。

Gender, Equality and Diversity Branch (GED)
ジェンダー・平等・多様性部(GED)は国際労働事務局の労働条件・平等局(WORKQUALITY)の部局の一つで、仕事の世界での平等の促進と多様性の尊重を担当しています。

GEDの専門分野は、仕事の世界における男女の機会均等と平等な取扱い、そしてジェンダー、人種、民族、先住民のアイデンティティ、障害による差別の撤廃に関わる問題に焦点を当てています。GEDは加盟国政労使に対して、職場の包摂性の向上を含む政策提言、ツールの提供、指導、技術援助を行い、政策、プログラム、機関がジェンダーに配慮することを担保しています。

GEDは「ILOジェンダー平等のための行動計画」を作成しました。これは1999年のジェンダー平等政策を稼動させるための結果重視型ツールであり、国際労働事務局の活動の指針です。
GEDは本部の統括責任者と現地の上級専門家、ジェンダーに関連する全ての部局や事務所で構成される、ILOグローバルジェンダーネットワークを管轄しています。

GEDはジェンダー平等や女性のエンパワーメント、さらには障害者のディーセントワーク、先住民や部族の権利を促進するための国連の機関間のイニシアチブに参加しています。GEDは市民社会グループや学術機関とも連携しています。


【出版物の紹介】
2017年9月の国連総会で発足したEPICは、ILO、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)、経済協力開発機構(OECD)が主導する多様なステークホルダーのパートナーシップです。EPICは同一価値労働同一賃金をも規定している、「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」(SDGs)の達成に貢献することを目指しています。EPICは、この課題はそれぞれの単独の力で解決できる問題ではなく、また多様なステークホルダーの横断的な専門知識の交流によって取組みが加速していくという認識の下に設立されました。
日本語の冊子については、こちら よりご覧ください。
最新版『Global wage report 2018/19(世界賃金報告2018/19年版・英語) 』は、世界136カ国のデータをもとにした2017年の世界の賃金上昇率が2008年以降最も低く、物価上昇率を調整した実質ベースで、世界金融危機前の水準を遙かに下回る1.8%(2016年2.4%)に留まったことを示しています。主要20カ国・地域(G20)の中でも、日本など先進国の伸びは2016年の0.9%が2017年には0.4%に低下した一方で、新興・途上国は2016年の4.9%から2017年の4.3%の間で変動を見せています。「男女賃金格差の背景」の副題を掲げる本書はまた、世界の賃金労働者の8割程度に相当する約70カ国のデータを用いて、要素別加重という、より正確な革新的方法で男女賃金格差を算出し、依然として世界平均で女性の収入は男性の8割近いことを示しています。
  • A quantum leap for gender equality: For a better future of work for all(男女平等に向けた飛躍的進歩:より良い仕事の未来を全ての人に(英語)』は、ILO創立100周年記念事業 の一つとして2013年から展開されていた「働く女性100周年記念イニシアチブ 」を通じて得られた研究成果、データ、識見の集大成となっています。仕事の世界における男女平等を巡る論点を概説すると共に、男女平等に必要な変化を起こすために求められる大胆な措置を提案しています。

職場における男女平等に向けたILOの貢献を回顧

 1919年    
1919年の創設以来、女性労働者の権利は社会正義を促進するというILOの使命にとって極めて重要なものでした。同年、「母性保護条約」(第3号)が採択され、これは初回ILO総会で採択された条約の1つでした。 



1951-1958年
「同一報酬条約」(第100号)は、同一価値労働に対して男女が同一の賃金を得る権利を規定しました。これは、ILOの歴史と世界の女性の権利のためにも画期的な出来事でした。「差別待遇(雇用および職業)条約」(第111号)は、同一賃金条約を更に発展させ、より広範な差別を網羅するものへと進展しました。




1979-1981年
1979年の国連の女子差別撤廃条約(CEDAW)の採択に至るまでの数年間、平等な賃金と平等な権利を求める抗議のうねりが起こりました。「女性の権利章典」として知られるこの女子差別撤廃条約は、ILO基準への言及を含んでいます。2年後、ILOは更に「家族的責任を有する労働者条約」(第156号)を採択しました。これは男女双方の労働者に対する平等な機会と処遇の確保を目指したものです。



1998年
1998年に採択された「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」は、加盟国が当該条約を批准していなくとも、4つの分野の労働における基本的権利に関する原則を尊重し、促進する義務を負うことを規定するものです。4分野のうちの1つは、雇用および職業における差別の撤廃に関するものです。



2000年
「母性保護条約」(第183号)は、最新の母性保護に関する国際労働基準です。健康保護、出産休暇と給付、雇用の保護、非差別および哺乳など広範囲な項目を扱っています。





2008年
「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」は、ILOが採択した原則および政策に関する主要声明の1つです。グローバル時代におけるILOの使命の現代的ビジョンを表明し、横断的課題として男女平等と非差別を含んでいます。




2013年
ILOは、過去90年間で主要な男女平等条約(第100、111、156、183号)および「家事労働者条約」(第189号)など、働く女性に関する他の多くの条約を採択してきました。しかし、未だ長い道のりです。2013年ILO総会で、マラウィのジョイス・バンダ大統領は代表団に対し、女性は「社会で正当な地位を占める」時期にある、と言明しました。