児童労働

 

ILOの取組み

ILOは、条約の設定と技術協力プログラムの実施という2本の柱で、児童労働問題に取り組んでいます。

ILO条約については、1919年のILO設立当初から、工業、農業、漁業、鉱山など産業部門別に就業最低年齢を定めた国際基準の設定に取り組んできました。そして、1973年には、全産業を対象とする就業最低年齢を定めた第138号条約を採択しました。さらに、1999年には、「最悪の形態の児童労働」をなくすための取組みを直ちに始めることを定めた第182号条約を採択しました。

児童労働撤廃国際計画(IPEC)は、1992年に開始されたILOの技術協力プログラムです。「最悪の形態の児童労働」の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標にしています。IPECの活動は、政府、労働者団体、使用者団体、NGO、学校、メディアなど、多くの関係者のパートナーシップのもとで実施されています。

このほか、ILOは、2002年以降4年に1回、世界の児童労働の現状を伝える報告書を発行しています。

児童労働とは

法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童(就業最低年齢は原則15歳、健康・安全・道徳を損なう恐れのある労働については18歳)によって行われる労働。児童労働は、子どもに身体的、精神的、社会的または道徳的な悪影響を及ぼし、教育の機会を阻害します。 
ILOが定める就業最低年齢の国際基準については、こちら(第138号条約)

児童労働の現状(2016年)

  • 世界の児童労働者数(5~17歳):1億5200万人(うち7300万人が危険有害労働)
  • 男女別: 男子8800万人  女子6400万人
  • 地域別(人数、域内の子ども全体に占める割合):
アジア太平洋      6200万人(7.4%)
アフリカ                 7200万人(19.6%)
南北アメリカ       1000万人 (5.3%)
アラブ諸国             116万人 (2.9%)
ヨーロッパ・中央アジア 553万人(4.1%)
  • 経済部門別(人数、児童労働に占める割合):
農業    1億700万人(70.9%)
サービス業  2610万人(17.2%)
工業    1800万人(11.9%)

出典:"Global Estimates of Child Labour: Results and Trends 2012-2016"
ILO本部サイト 》 こちら

児童労働者数(黄)と児童労働による危険有害労働者数(赤)の2000年以降の推移と2025年までの予測 

児童労働の原因


世界中で、多くの子どもたちが児童労働に陥る原因としては、以下のようなものが挙げられます。
• 貧困
• 教育機会の欠如(近くに通える学校がない、通学手段がない、制服代・文房具代・昼食代を払えない、不十分なカリキュラム、教員の不足、親が教育を受けていないため子どもを学校に通わせようとしない、など)
• 児童労働を当然視する地域社会、また無関心
• 差別
• 武力紛争や自然災害、HIV/エイズなどによる社会の混乱(子ども兵士、孤児、など)
• 農村部から都市への移住によるスラム化
• 不適切な法律の施行、など

最悪の形態の児童労働とは

児童労働の中でも「最悪の形態の児童労働」は、ILOの182号条約(1999年)によって、以下のように定められています。第182号条約はこちら
  ①人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働
  ②売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供
  ③薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供
  ④児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働

SDGs 8.7 において、18歳未満の児童による最悪の形態の児童労働を2025年までに撲滅することをめざしています。

児童による危険有害労働とは


最悪の形態の児童労働の一つで、第182号条約の第3条(d)項により、「児童の健康、安全もしくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」と規定されています。

児童による危険有害労働は、最悪の形態の児童労働の中で最多数を占め、2016年時点では、世界で7200万人を超える子どもたち(5~17歳)が、農業、工業、建設、製造業、サービス業、ホテル・飲食業、家事労働、などの危険有害業務で働いていたとされています。

2016年~ 5-14歳:11000万人、15-17歳:3700万人
危険有害労働、5-14歳:3500万人、15-17歳:3700万人


                               
なお、各国政府が、禁止すべき児童による危険有害業務の種類を決定するにあたっては、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上で、特にILOの第190号勧告(1999年)第3項の規定(以下a ~e)を考慮し、国内法令又は権限のある機関によって決めることとされています。
(a) 肉体的、心理的または性的な虐待
(b) 坑内、水中、危険な高所又は限られた空間
(c) 危険な機械等の使用、重い荷物の運搬
(d) 危険有害な物質、熱、騒音、振動等、不健康な環境
(e) 長時間労働、夜間労働、外出の不当な制限等、困難な条件