技術協力

開発協力とパートナーシップ

開発協力

ILOの開発協力の歴史は半世紀を超え、現在、かつてないほどに活動領域を拡大し、120の開発パートナーによる支援のもと、100か国以上で600件を超えるプログラムやプロジェクトを実施しています。

開発協力は、ILOの基準設定機関としての役割と世界中の働く人々とを結ぶ架け橋を築きます。ディーセント・ワーク・アジェンダの実現に向けてILO加盟国政労使を支援するために重要な手段を与えることが求められています。言い換えれば、ILOは開発協力を通じて、首尾一貫した社会政策を整備し、持続可能な開発を実現するために、政労使の技術・組織・制度上の能力を育成します。

プログラムやプロジェクトの財源は、ILOの通常予算または開発パートナーからの任意拠出金によって賄われます。任意拠出金はILOの自己資金を補完するもので、国別活動やグローバル活動に配分されます。2016年、ILOは2億4,296万米ドルの任意拠出金を受け取りました。過去数年において、任意拠出金はILOの資金総額の約43%を占めています。

ILOの開発協力の優先事項は次の通りです。
  • ドナーコミュニティ、多国間システム、社会的パートナー、市民社会団体、民間企業、南南・三角協力プログラム、およびその他の開発アクターとの提携および関係構築
  • あらゆるレベルにおける多国間システムの開発努力の必要に応じた促進および主導
  • 通常予算による活動を補完・強化するための、任意拠出や通常予算補足勘定(RBSA)による資金調達
  • SDGsの達成を支えるディーセント・ワーク・アジェンダを推進するための官民連携(PPP)の構築
  • 開発協力戦略に沿った任意拠出資金運用における調整、支援、および監督
  • ILOの開発協力プログラムとその資金調達に関する情報の透明性の確保

ディーセント・ワークとSDGs

世界の労働年齢人口の増加ペースに合わせるためには、2030年までに6億以上の新規雇用を生み出す必要があると推定されています。これは1年あたり約4,000万件の雇用に相当します。また、働いてはいるものの、自分と家族を1日あたり2米ドル未満の貧困から脱出させるのに足る収入を得られない7億8,000万の人々の労働条件も改善しなければなりません。

持続可能な開発の達成におけるディーセント・ワークの重要性は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことを目指す目標8によって強調されています。

ILO開発協力ハイライト

  1. 児童労働

    過去10年間にわたり、ILOの支援のもと、60を超える国々が、自国の法的枠組み(約200の法律)をILOの児童労働条約に合わせて修正しました。ILOの専門家委員会は、第138号および第182号条約の適用に関する定期的な検討において、改善を示すコメントの数が2004年から7倍に増えたと指摘しています。
    国レベルでは、ILOは児童労働への取り組みを目的とする200件を超えるプロジェクトを実施しています。

    成果例:

    • 過去15年間に、世界中の約110か国において100万人近くの子どもたちが、ILOプロジェクトによって児童労働から抜け出したか、児童労働に新たに従事することを免れました。
    • 児童労働に従事している子どもの総数が、2000年の2億4,600万人から、2017年には1億5,200万人と、30%減少しました。

  2. 雇用集約型投資

    雇用集約型投資は、インフラ開発と、雇用創出、貧困削減、および現地の経済的・社会的発展とを結びつけます。

    成果例:

    • 東ティモール:2012年3月から、ILOのR4Dプログラムは就業日数611,000日分の直接短期雇用を創出しました。これにより、地元経済に約400万米ドルの現金がもたらされました。
    • ネパール:2014年3月から、ILOはネパールの人口の半分以上が暮らす33地区で現地インフラ開発を支援しました。2015年4月の地震の後、その対象範囲に新たに3地区が追加されました。
    • ソマリア:ILOが重要な役割を果たしているローカルガバナンスとサービス提供の分散化に関する国連合同事業により、就業日数136,500日分の雇用が創出され、最も弱い立場にある人々が恩恵を得ました。ソマリア難民帰還者を対象としたプロジェクトとユース・フォー・チェンジ(変化を担う若者たち)イニシアチブは、就業日数約43,000日分の雇用を生み出しました。

  1. 社会的保護

    ILOは2つの方法で、各国と協力して社会的保護の拡大に努めています。一つめは、各国の社会的保護の土台(社会的保護基盤)、すなわち必要不可欠なヘルスケアと所得保障への普遍的アクセスを確保する、基本的な社会保障制度の迅速な実施を進めることです。そしてもう一つは、より高い水準の恩恵を漸進的にできるだけ多くの人々に提供するために、既存の社会的保護制度を改善することです。

    成果例:
    過去10年間に、ILOは以下の策定を支援してきました。

    • 136か国の社会的保護の土台
    • 34か国の国家社会的保護戦略
    • 30か国の医療保障制度
    • 21か国の児童手当制度
    • 20か国の出産給付制度
    • 20か国の失業保険制度
    • 31か国の公共雇用計画
    • 43か国の老齢年金制度

  2. ベターワーク(より良い仕事)

    ベターワーク(2009年に始動したILO/国際金融公社(IFC)プログラム)は、60社以上の世界的な衣料品ブランドと1,500の工場との関与のもと、300万人を超える工場労働者の労働条件を改善してきました。

    成果例:

    • ヨルダン:移民労働者の代表が業界全体の団体協約に参加できるようになりました。工場では、労働安全・衛生条件の順守が50%改善され、適正な最低賃金および手当の支払いが100%改善されました。ヨルダンプログラムは23のブランドと小売業者の関与のもと、77工場の65,000人の労働者に裨益しました。
    • カンボジア:550,000人もの労働者が家族に仕送りを行い、受け取った家族がこれを年少の家族の教育や医療費に充てたことにより、プログラムの影響が拡大しました。カンボジアプログラムは49のブランドと小売業者の関与のもと、550工場に裨益しました。
    • レソト:ベターワークに参加した工場のすべてで、HIV/AIDS感染者への差別がなくなりました。
    • ベトナム:ベターワークに参加した工場の65%で総売上が増加し、62%で生産能力が拡大し、60%で雇用者数が増加しました。ベトナムプログラムは57のブランドと小売業者の関与のもと、502工場の691,000人の労働者に裨益しました。

パートナーシップ

ILOは、すべての人々のためのディーセント・ワークを推進するという使命を果たすために、政府、労働者・使用者団体をはじめ様々なパートナーと協力しています。ディーセント・ワークを実現するためには、仕事の世界のさまざまな主体との連携が不可欠です。多くのパートナーが力を合わせることによって、多様で補完的な知見や技術、そして様々な資源を持ち寄ることができます。