アジアにおける責任あるサプライチェーンの促進

 本プロジェクトは、アジアにおけるサプライチェーンに関わる企業が、国際的な文書に則って、人権、労働及び環境に関する基準を尊重するよう促すことを目的としています。日本はこの地域における主要な多国籍企業の本国であるため、本プロジェクトでは日本の多国籍企業の関与に特に焦点を当てます。そして、ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)を、プロジェクトにおける活動の枠組みとして利用します。

背景

過去数十年にわたって、グローバル・サプライチェーンは急速に拡大し、グローバル経済における投資、生産及び貿易に欠かせない要素となりました。こうしたサプライチェーンは、経済成長、雇用創出、貧困削減及び起業促進に寄与するほか、その多くはインフォーマル(非公式)経済からフォーマル(公式)経済への移行を促し、一部の国、そして全世界に対して機会をもたらしています。

2010年には、アジア全域の輸出の54%が、グローバル・バリューチェーンの取引に組み込まれました。EUの統計によると、アジアは全世界におけるグローバル・サプライチェーンの中間財輸出のうち、43%を占めています。そしてEU域内で購入される財やサービスの多くは、アジアで生産又は調達されたものです。したがって、アジアにおけるディーセントな労働条件に取り組み、責任ある企業行動(RBC)に基づくアプローチを促して責任あるサプライチェーンを支援することは、EUにとって重要な課題となっています。

ILOは日本では2014年から、政府及び労使団体と協力し、企業の社会的責任(CSR)の労働面に関して、数々の公開会議、セミナー、多国籍企業との対話型の議論を実施してきました。こうした対話により、日本と進出先のアジア諸国における多国籍企業の活動を基に、過去事例や好事例を議論する場が生まれています。また日本政府は、多くのアジアの国々で、「社会的責任ある労働慣行」に関するILOのプログラムに資金拠出しています。

プロジェクトの目的

投資家及び企業が責任ある行動を深く理解し、実際の事例につなげられるようにすることで、スマートで、持続可能かつ包摂的な成長を促進することを目的としています。
期待される成果
  • CSR及びRBCに関する、あらゆる関係主体、特定の業種及び公的機関における意識啓発と能力強化
  • CSR及びRBCに基づくアプローチと、国際的に合意された原則及びガイドラインに沿ったCSR及びRBCのイニシアチブ(最優良事例、事例調査、ツール、過去事例及び文書を含む)のさらなる展開と普及
  • 関連する国際的に合意された原則及びガイドラインに沿った、EUと日本との間でのCSR及びRBCの一貫性の向上
  • セクターレベルや健全な労使関係を含めて、現在のマルチステークホルダー・パートナーシップを、CSR及びRBCに関する国際的に合意された原則及びガイドラインに沿って発展及び(又は)強化
  • 国際的に合意されたCSR及びRBCの原則及びガイドラインに関係するあらゆる関連ステークホルダーを巻き込んだ情報交換の強化と継続
  • アジアで事業を行う企業の環境保護、ディーセントな労働条件及び人権の尊重に対する寄与の拡大と関連する規制枠組みとの一貫性の強化

多国籍企業宣言に関する詳細

多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)第5版(2017年)