労働安全衛生世界デー

ILO事務局長声明-若年労働者の安全と健康に投資を

声明 | 2018/04/28

 2018年の労働安全衛生世界デー(4月28日)では、持続可能な開発目標の二つのターゲット(児童労働撲滅のターゲット8.7と安全・安心な労働環境の促進のターゲット8.8)の達成に向けて、「安全で健康的な世代」の旗印の下、児童労働反対世界デー(6月12日)と合わせた共同キャンペーンを実施します。

 若者が業務災害に遭う確率は上の世代の1.4倍に上ると見られます。2017年9月にシンガポールで開かれた第21回労働安全衛生世界会議では、ILOの「安全で健康的な労働者世代の構築(SafeYouth@Work)プロジェクト」の一環として若者の労働安全衛生に関する話し合いが行われました。ジュネーブのILO本部で開かれた世界デーのイベントでは、この話し合いを受けてまとめられた若者の労働安全衛生に関する行動計画が発表されました。ガイ・ライダーILO事務局長はイベントにおける以下の英文挨拶でこのような経緯を説明し、若年労働者に安全な職場の形成に向けた行動を呼びかけました。

 世界デー関連広報資料として、ジュネーブのILO本部で開かれた「安全で健康的な世代」写真展の写真の一部を用いたスライドショーや、「労働安全衛生:なぜ若者のリスクは高いのか」と題する図解物語「InfoStories」が制作されています。InfoStoriesは写真、動画、図表などを駆使して、若者特有のリスク要因から対策に至るまで、このテーマを分かりやすく解説しています。また、世界デー前日にILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に投稿した記事で、ヤレド・ブロッホILO労働安全衛生上級広報官は、中南米出張で出会った若者労使の労働安全衛生に対する取り組みを紹介することによって次世代労働安全衛生の構築に対する希望を表明しています。インドネシアからは同国の労働安全衛生若者チャンピオンの活動を紹介する広報記事が届いています。

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ジュネーブのILO本部で開かれた労働安全衛生世界デー・イベント模様(英語)

 皆様ようこそいらっしゃいました。

 ILOの100周年が足早に近づいています。そして、「仕事の未来世界委員会」の議論に資する仕事の未来に関する会話が展開される中、ますます若者に焦点が当てられる状況を見ても大して驚くべきことではありません。結局のところ、次の100年のILOの活動を導くのは今日、そして明日の若者なのであり、とりわけ若者のために、そして若者と共に「どのような仕事の未来を希望するのか」と私たちは自問しているのです。

 国連の持続可能な開発目標が既に明らかにしたこととして、私たちが望む仕事の未来とは、子どもや若者が安全で健康に育つ機会を与えられ、学校に行く機会が確保され、労働市場に参加する年齢に達した時には、その健康や福祉、そして発展に害にならないだけでなく、実際に積極的に支えるような仕事に従事する機会が与えられるような未来であるということです。

 こういった目標は明確ですが、私たちが自分たちで設定した課題の大きさを明らかにする数字が存在します。覚えておいていただきたいのですが、世界全体で1億5,200万人の学校に通っているべき子どもが働いており、そのうち約半分が危険で有害な仕事に従事しています。労働市場に加わる年齢に達した若者については、労働災害に遭う確率が上の世代の1.4倍に達することが、得られるデータから示されています。

 児童労働の撤廃はもちろん、全てのILO加盟国が尊重することに同意した基本的な原則及び権利です。同時に、労働安全衛生を取り上げたILO条約は40本以上あり、多くの加盟国がこれを1本以上は批准しています。ILOは100年近く児童労働と労働安全衛生の問題に熱心に取り組み、多くの重要な成果を達成していますが、本日私はILOの基幹的事業計画の二つである「児童労働・強制労働撤廃国際計画(IPEC+)」と「労働安全衛生グローバル予防活動」が、「安全で健康的な世代」の旗印の下で力を合わせたキャンペーンにおいて、その重要な活動を継続すると発表できることを喜ばしく思うものであります。

 労働安全衛生世界デーと児童労働反対世界デーは、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保するため即時のかつ効果的な措置をとり、2025年までにあらゆる形態の児童労働に終止符を打つことを目指すターゲット8.7と、2030年までに全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進することを目指すターゲット8.8という持続可能な開発目標の二つのターゲットの達成に向けた統合的な取り組みを通じて行動を加速化することを目指すこの共同キャンペーンの一部に位置づけられます。

 このターゲットの達成には、革新的な取り組み、改めての公約、協調的行動、そして重要なこととして、若者の関与が求められることでしょう。昨年9月にシンガポールで開かれた第21回労働安全衛生世界会議において、ILOの「安全で健康的な労働者世代の構築(SafeYouth@Work)プロジェクト」は世界中から若者労働者と若手企業家からなる125人の若者チャンピオンを集結させましたが、これは若者の職場における安全及び健康の改善並びに予防文化の構築に関する世界規模の会話に弾みをつけるきっかけになりました。シンガポールで私は何人かの若者チャンピオンと話をする機会に恵まれ、若者世代にそのような予防文化を構築する方法に関し、考えを聞くことができました。

 国連の青少年問題特使と共に(ちなみに、この方は仕事の未来世界委員会の委員でもありますが)、私たちは労働安全衛生の利害関係者に向けて若年労働者の安全と健康に関する行動を起こし、この問題に投資するよう呼びかけました。この行動の呼びかけは、11月にブエノスアイレスで開かれた第4回児童労働撤廃世界会議や、一連の世界規模の協議の場でも繰り返し表明され、若者は政策策定に携わる人々などと協働し、安全で健康的な労働者世代の構築に向けて努力することを約しました。この取り組みの頂点をなすものとして、本日発表される「若者のための労働安全衛生行動計画」がまとめられました。若者を労働安全衛生に関する解決策探求の一部とすべきことを明確にするこの行動計画は、若者が情報を与えられ、その声に耳を澄ましてもらえるよう確保する助けになります。世界中の若者が既に「安全と健康を誓う世代」に対する支持を示し、声を発しています。

 では、フィリピンからの2人の若者チャンピオンを含み、若者からの声を聞くこととしましょう。