女性に対する暴力撤廃の国際デー

ILO事務局長声明-1人の女性に対する暴力は全体の平和にとっての脅威である

声明 | 2016/11/25

 2016年の「女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)」に際して発表した以下の英文声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、「女性に対する暴力に終止符を打つことは、女性の基本的な権利を保障し、私たち皆を偏見、女性嫌悪、不平等の束縛から解き放つこと」と訴え、2018年のILO総会で仕事の世界における暴力に関する初の国際労働基準を巡る審議が開始されることを紹介した上で、「仕事の世界から暴力が根絶されるまでILOは活動を続ける」と説いています。

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 女性が職場で嫌がらせや屈辱的な仕打ち、暴行を受けた場合、「全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」というILOの目標の概念そのものが危険にさらされ、職場の自由は損なわれます。女性が肉体と精神に傷を負って出勤してくる時、私たちは皆、断固とした態度を取らなくてはなりません。

 11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、私たちが明確に理解すべきことは、男女平等は仕事の世界における暴力を撤廃する手段であり、男女平等が目標であるという点です。

 「弱い」女性の保護を求める伝統的な取り組みは、女性に被害者の役割を負わせます。これに代えて、そのような暴力の基盤にある男女間の不平等な力関係と固定的な男女観を変えることに焦点を当てようではありませんか。

 今年10月に開かれた「仕事の世界における男女に対する暴力に関するILO政労使専門家会合」で最近指摘されたように、状況は明確です。

  • 暴力や嫌がらせは、女性が労働市場、とりわけ男性主体の産業部門や職務に参入し、そこに留まる妨げになる可能性がある。
  • 労働者、とりわけ女性労働者は、仕事や昇進と引換に、仕事を維持するために、あるいは自分の賃金を手に入れるために性的サービスを提供したり、嫌がらせに耐えることを期待される時、危険な状態に陥る。
  • 低賃金職、とりわけサプライチェーン(供給網)の下層に占める女性の割合は不均等に大きく、女性はあまりにもしばしば、差別、性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラスメント)、その他の形態の職場内暴力や嫌がらせを受けている。
  • 男性であろうと女性であろうと、暴力や嫌がらせを「仕事の一部」と考えることはできない。

 ILOは現在、職場における暴力や嫌がらせの被害者に女性が不均等に多い理由、そしてその予防・保護の方法に関する理解を深めるために調査研究を行っています。さらに、世界の政府、使用者、労働者は、2018年6月のILO総会で第一次討議が行われる、仕事の世界における男女に対する暴力及び嫌がらせに関する初の国際労働基準に向けた準備を進めています。

 女性に対する暴力に終止符を打つことは、女性の基本的な権利を保障し、私たち皆を偏見、女性嫌悪、不平等の束縛から解き放つことを意味します。この道はハッキリしており、ILOは仕事の世界から暴力が完全に消滅するまで活動を続ける所存です。