ILO事務局長声明:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デー

命を救い、貧困を緩和し、成長を後押しする、すべての人を対象とした保健医療

声明 | 2015/12/12

 2015年現在、低所得国に暮らす人を中心に世界人口の9割以上に保健制度が適用されておらず、皆国民医療保健・介護制度の恩恵を受けている高齢者は全体の5.6%に過ぎません。この許容できない現実を前に、ガイ・ライダーILO事務局長は、2015年の「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デー(12月12日)」に際して発表した以下の英文声明で、保健は雇用機会の源泉でもあることを強調し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジをすべての人に実現しようと訴えています。

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 すべての人を対象とした保健医療制度の必要性を訴える12月12日のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・デーに際して私たちが認識させられるのは、誰もがどこでも経済的に苦労せずに良質の保健医療を受けられるよう確保するにはまだ多くのことを行う必要があるという点です。

 2015年現在、低所得国に暮らす人を中心に世界人口の9割以上に保健制度が適用されておらず、世界の農村人口の半分以上が必要な保健医療を受けられない状態にあります。全国民に適用される保健医療・介護制度の恩恵を受けているのは世界の高齢者人口のほんの一握り(5.6%)に過ぎません。

 保健制度の不備が数百万人の成人男女・子どもの予防可能な苦痛と死を招いているという許容できない現実があります。これはまた、自分または家族の治療費を支払わなくてはならない状況が生じた際に、無数の人々を貧困に追いやっています。しかしながら、こういった人々が求めているのは、社会保障の権利、保健の権利、そして差別を受けることなく必要な治療を受けられる公平な機会といった、誰もが得られるべきものに他なりません。

 適切に設計された、全国民を対象とする保健制度は各国の社会的な保護の土台と共に、健康障害がもたらす負担を緩和します。保健制度の適用はまた、短期的・長期的障害、家族の世話、疾病を理由として妨げられた児童の教育・社会的発達に基づく逸失収入年数などの疾病及び障害の間接費用を減らす働きがあります。すべての人を対象にした保健医療制度は明らかに、貧困削減において相当の役割を演じられる可能性があります。

 タイからコロンビアやルワンダに至る多くの国が、国民所得が比較的低い場合でさえもすべての人を対象とした保健医療制度を徐々に整備できる政策選択を行うことは可能であることをこれまでにもそして現在も示しています。

 こういった国では、すべての人を対象とした保健制度への支出と経済的福祉の関係性がはっきりと確立されています。健康向上と貧困削減における即時の成果は別として、健康な労働者は生産性が高く、疾病罹患率や死亡率が低ければ労働供給量は増えることを私たちは知っています。

 その上、保健は雇用機会の源泉です。ILOの推計では、世界全体で約1,030万人の保健医療労働者が不足しています。この不足を埋めることによって関連部門における経済活動が刺激され、人間らしく働きがいのある仕事が提供される可能性が秘められています。

 すべての人を対象とした保健医療制度は数百万人の暮らしを向上させ、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標達成に大いに貢献することでしょう。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジをすべての人に実現しようではありませんか。