ILO事務局長声明:女性に対する暴力撤廃の国際デー

女性に対する暴力を職場から追放する時は今

声明 | 2015/11/25

 2015年の「女性に対する暴力撤廃の国際デー(11月25日)」に際して発表した以下の英文声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を含み、幅広く採択された目標であるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は暴力の環境下では存在できないとして、ILOが来年、政労使の専門家会合を開いて仕事の世界における暴力に関する今後の活動の方向性を検討する予定であることなどに言及した上で、女性に特に影響が大きい、職場における暴力の存在を許す差別の文化に立ち向かい、行動を起こすことを仕事の世界のすべての関係者に向けて呼びかけました。

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 11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際してILOが発信するのは、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は暴力の環境下では存在し得ないとの明確なメッセージです。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を含み、幅広く採択された目標であるディーセント・ワークとは、男女が自由、尊厳、安全が保障された状況下で働けることを意味します。

 職場における性差に基づく暴力からの解放は、あらゆる暴力形態がそうであるように、権利と安寧のみならず、効率性の問題でもあります。職場における暴力はしばしば女性に不均等に大きな影響を与えています。このような暴力は不平等を支え、それによってすべての人が秘める開発潜在力を損なうことになります。それは性差に基づく暴力と男女間の不平等が存在する限り、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が掲げる諸目標は手の届かない夢であり続けると思われるからです。

 ILOは創立100周年に向けた記念事業の一つである「働く女性100周年イニシアチブ」の中で性差に基づく暴力の問題を取り上げており、2016年には政府、労働者、使用者の専門家を招いて仕事の世界における暴力に関する会合を開き、今後の活動の基礎を敷設する予定です。

 「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に際し、私たちは仕事の世界のすべての関係者に対し、職場に暴力がはびこることを許す差別の文化、そして女性に特に影響を与えている環境に立ち向かい、行動を起こすよう促すものであります。社会対話や労働協約、法的枠組みから仕事の世界における暴力の発生に関する男女別統計の体系的な収集に至るまで、そのための手段は既に存在しています。

 得られるあらゆる手段を、しかも上手に活用しましょう。女性に対する暴力を職場から追放する機は十分に熟しているのです。