ILO事務局長声明:世界統計デー

持続可能なディーセント・ワークと開発に向かう道を照らす統計

声明 | 2015/10/20

 5年毎に巡ってくる10月20日の世界統計デーは2015年で2回目を迎えます。「より良いデータ、より良い暮らし」を標語とするこの日を記念して、ガイ・ライダーILO事務局長は、9月に国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にも鑑み、統計の重要性を強調する以下の英文声明を発表しました。

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 2015年で第2回を迎える世界統計デー(10月20日)は、「一国の進歩を測定する、信頼がおけて適時の統計と指標を生成する国家の持続可能な統計能力の本質的重要性」を認めて国連総会が決定した「より良いデータ、より良い暮らし」を標語に掲げています。

 仕事の世界における実効性ある政策策定にとっては、しっかりとしたデータ収集が極めて重要です。信頼のおける統計なしには政策策定に携わる人々は暗闇で手探りで活動しているようなものです。同様に、労使団体その他の利害関係者も政策の方向性に影響を与えようとするその努力の裏付けとして良い統計を必要としています。世界は9月に、2030年までに達成すべき政策課題として、挑戦的で野心的な「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。この日を祝うのに今こそふさわしい時期はありません。アジェンダは人々の安寧の主要な側面を扱う17のゴールと169のターゲットで構成されており、これは2016年に採択される予定の同じ目的のための指標集合によってモニタリングが行われます。このアジェンダの達成は公的統計に大きな課題を提示しています。

 ミレニアム開発目標のプロセスに続くこの2030年までの政策課題は再び先進国・途上国の双方における各国、地域、そしてグローバルなレベルでの統計制度の向上を要請することでしょう。これが提示するまたとない機会を私たちは逃してはなりません。

 これはいわゆる「データ革命」の考えを受け入れることを意味します。より良い統計図を得るために到達範囲を幅広くする必要があるでしょう。政策策定者を導くため、データをより良く捕捉し、データの生成者と解析者の技能を引き上げ、統計の力を増進するために新たに登場しつつある科学技術を最大限活用する方法について革新的な考え方が必要です。

 世界統計デーに際し、ILOは労働統計、そしてディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)統計を生成している世界中多くの機関、とりわけ各国の統計機関や労働担当省庁が達成した大きな前進を賞賛するものであります。

 ILOはとりわけ国際労働統計家会議を通じた国際基準の設定によって、証拠を基盤とした政策の裏付けとなる確固とした労働統計の入手可能性確保に向けて長く努力してきました。この責任は絶えざる改善に向けた努力を要請しています。2010年に第1回世界統計デーを迎えて以来、私たちは仕事の中核的な測定における重要な基準を新たに採択することによって前進を遂げ、多くのデータベースを一つの統合データベースILOSTATにまとめてその拡充を図り、世界中すべての地域で能力強化に向けて努力してきました。現在、私たちは2030アジェンダのモニタリング指標を確定する作業においてカギを握る役割を演じています。

 昨年の国連総会における公的統計基本原則の承認は記念碑的な成果ですが、ILOはこれに沿ってオープンデータ方針を推進し、国連諸機関その他国際統計システムにおける主要な関係者との統計調整努力を支援しています。

 ILOはグローバルなパートナーシップに参加してこのデータ革命を支え、各国がこの新しいシステムを機能させるために必要とする資源・資金の動員に向けた努力に加わる用意があります。

 労働市場のより良いデータはより良い暮らしにつながるより良い仕事の創出を導くとの明確な信念を持ってILOは10月20日の世界統計デーを迎えるものであります。