世界の先住民の国際デー

先住民の人々も有するディーセント・ワークの権利

声明 | 2015/08/09

 ガイ・ライダーILO事務局長は2015年の「世界の先住民の国際デー(8月9日)」に際し、先住民の人々の健康と福祉を確保する上でのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の役割を強調する以下の英文声明を発表し、先住民の人々の視認性を高め、その懸念、ニーズ、希望に注意を払う革新的な新たな取り組みの必要性を唱えました。

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 2015年の「世界の先住民の国際デー(8月9日)」は、「2015年以降の政策課題:先住民の健康と福祉の確保」に焦点を当てています。2015年以降の政策課題は絶えず疎外と排除にさらされている集団に属する人々の権利を確保・保護し、そのニーズに応える強力な手段を提供することになると期待されます。

 先住民はしばしば、そのような疎外と排除にとても弱いものの、仕事の世界では活発で、伝統的な職業及び慣行を新たな所得創出源と組み合わせることもますます多くなり、様々な生計活動に従事しています。また、企業や協同組合の創設といった商業活動の資産として自らの伝統的な技能や知識に頼ることもできます。

 しかしながら、先住民は共通して差別と搾取を経験しています。先住民女性は性と民族性という二重の不利な条件に直面しています。この状況を変えることはずいぶん前から求められてきたものの、いまだに達成されていません。

 先住民にはディーセント・ワークの権利があり、ディーセント・ワークは先住民の健康と福祉を確保する鍵を握っています。

 伝統的な生計戦略がますます圧迫される中、先住民は雇用機会を探すようになっていますが、しばしば主としてインフォーマル(非公式)経済の不安定で保護されていない仕事に行き着くことになっています。この就労に係わる権利と仕事の尊厳の否定は個人個人の結果を越えて、先住民共同体全体の発展と安寧にも幅広く影響を与えています。

 先住民にとってのより良い未来、公正な未来を達成するには、先住民の視認性を高め、その懸念、ニーズ、希望に注意を払う新しい革新的な手法が要請されます。前進の基盤は、先住民の文化、伝統、生活様式の尊重に置かなくてはなりません。先住民の生活・労働条件の向上を意図した政策措置の設計及び実行において先住民の発言に耳を傾けるよう確保することが基本です。

 2015年以降の開発課題と2014年に開かれた先住民族世界会議のフォローアップ活動は、先住民が権利を尊重され、社会的な保護の土台の対象に含まれ、尊厳をもって働けるよう確保するための私たちの取り組みをステップアップさせる重要な枠組みを提供しています。

 ILOの国際労働基準はこの目的に向けた貴重な手引きを提供します。これには、手工業、農村及び地域社会を基盤とする産業、生活経済、先住民の伝統的な活動を先住民の文化の保存並びに経済的自立及び発展の重要な要素と特定する「1989年の先住民及び種族民条約(第169号)」が含まれます。この他に関連する基準として、「2012年の社会的な保護の土台勧告(第202号)」、2015年6月のILO総会で採択された「インフォーマルからフォーマル経済への移行勧告(第204号)」などがあります。

 ILOは先住民の人々が包摂的かつ持続可能な開発プロセスの中でディーセント・ワークの機会を享受できるよう確保するために、政府及び労使団体と共に、先住民と協力して、そして国連ファミリーの一員として活動する用意があります。

 ILOの「先住民及び種族民条約(第169号)」は2014年に採択25周年を迎えました。昨年11月に開かれた第169号条約の歴史を振り返るセミナーに向けたメッセージ動画でライダー事務局長は先住民の権利を確保する上での第169号条約の影響力に光を当てると共に実施面での重要なギャップを指摘しました(英語)。