2015年国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デー(5月17日)に際し、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの労働者は職場における平等な権利と給付を享受する資格があると説く事務局長

声明 | 2015/05/17

 5月17日の国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーに際して発表した以下の英文声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、フォーチュン誌による企業ランキング上位500社の9割近くが性的指向や性同一性に基づく差別を禁止していることなどを挙げて、多様性の促進が企業活動にとって意味をなすことがますます明らかになってきている現状を指摘し、LGBTと総称される同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの労働者は職場における差別から自由な権利を等しく有すると説いています。

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 ILOに付託された任務には、仕事の世界における差別の禁止と平等が含まれています。これは働くすべての男女が等しく尊重され、平等な昇進の機会を有する多様な職場の促進を意味します。LGBTと総称される同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー(性同一性障害等生来の性と自らの性別意識が同一でない人々)の労働者もまた、職場における差別から自由な権利を等しく有しています。

 さらにまた、多様性の促進が企業活動にとって意味をなすことがますます明らかになってきています。あらゆる形態の差別的な行動様式がそうであるように、性的指向や性同一性に基づく偏見はその仕事に最もふさわしい候補者の採用や昇進を妨げる可能性があります。職場における多様な人材が持ち込む様々な物事の進め方や考え方は刷新を推進し、収益性を高める可能性があります。かつてないほどに市場が国境を越えて広がるグローバル化の時代において、多様な人材は標的とする市場をより良く映し出すものとなる可能性があります。

 したがって、世界で最も成功している大手企業の多くがLGBTに関するものを含む多様性戦略を前進させていることは驚くべきことではありません。実際、フォーチュン誌による企業ランキング上位500社の9割近くが性的指向や性同一性に基づく差別を禁止しており、うち6割程度が給付対象を自社従業員の同性パートナーにも広げています。

 職場その他における性的指向や性同一性に基づく差別を禁止する法の制定に向かう国が増えています。例えば同性婚、つまり市民パートナーシップの場合の社会的保護の拡大などのように、特に職場に関係していない場合でも、仕事の世界に影響があるかも知れない、取り組む必要のある措置が存在します。

 疑いなく進歩は見られるものの、この国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーを迎えるに当たり、行うべきことはまだ多いことをILOは明確に理解しています。LGBTの労働者が受け入れられ、不名誉な烙印や差別、嫌がらせ、暴力を恐れることなく働けるような職場を促進することをILOは約しています。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とは、すべての人の権利の尊重を意味しているのです。