ILO事務局長声明:2014年国際女性の日(3月8日)

男女平等に向けて努力するすべての人々と力を合わせることを約すILO事務局長

声明 | 2014/03/06

 3月8日の「国際女性の日」に際し、ガイ・ライダーILO事務局長は、平等と差別禁止の原則がほとんどの国の法律に組み込まれたことなど著しい進展がある一方で、女性の労働力率増加に向けた歩みが不均等であることなど、しばしば深いギャップが頑固に残っている現状を指摘して一層の取り組みを求め、男女平等に向けて努力しているすべての人々と力を合わせることを約す以下のような英文声明を発表しました。

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 仕事の世界における男女平等と女性の地位に関する現状評価を行うには今はふさわしい時機です。

 得られる情報は良い状況と悪い状況の両方を示しています。

 国内法制の分野ではほとんどの国で平等と差別禁止の原則が組み込まれ、著しい進展があります。多くの政府が女性差別に取り組む積極的労働市場政策を採用し、機会均等・平等待遇の運動を実行する労使団体もますますその数を増してきています。ガラスの天井を突破し、上昇を遂げた女性たちも何人も存在します。

 同時に、しばしば奥深い格差もしつこく残っています。先般発表したILOの定期刊行物『Global employment trends(世界の雇用情勢)』の2014年版は、女性の労働力率増加の歩みにはばらつきがあることを示しています。先進国経済では、中期的に軟調と予想される景気回復から受ける利益が、女性は男性よりも少なくなると予想されています(2013年には男女共に8.6%と推定される失業率が、2018年に男性は7.6%に低下すると予想されるのに対して、女性は8.2%と低下幅が少ない)。女性の労働力率は2013年に北アフリカではわずか25%で、中東では20%にも達していません。

 性別職業分離と男女賃金格差も依然として見られます。女性はインフォーマル(非公式)経済、不安定労働、低賃金職に不均等に多く存在し、例えば、東南アジア・太平洋では2013年に自営業者や寄与的家族従業者といった脆弱な就業形態にある人が女性は就業者全体の63.1%であるのに対し、男性は56%となっています。フォーマル(公式)経済では、才能のある人々は多数存在するにもかかわらず、意思決定ができる地位における女性の割合は相変わらず低いままです。

 男女が仕事と家庭責任を両立させることを支援するサービス(とりわけ、国が資金を拠出する良質の保育サービス)は、多くの人々にとって手に入らないか利用できないものとなっています。このような家族の世話についての責任はいまだに圧倒的に女性や少女が負担しています。その上、大多数の女性が良質の母子保健医療その他の母性保護措置を利用できる機会を有しておらず、実質的に性と生殖に係わる役割によって不利な立場に置かれています。女性にとってのリスクと機会はしばしばその肌の色、宗教、社会的出自、技能水準に左右されます。女性は均一の集団を構成しているわけではなく、したがって、労働市場における様々な集団の状況と共に、それぞれの集団と女性一般がそれぞれの男性集団と比べてどういう状況にあるか、両方を見ていくことも大事です。

 女性と少女の権利は男性の下に置かれることが多く、経済や社会に対するその貢献はしばしば過小評価され、女性が男性と比較して感じる不平等は時に変わりようがないものと見られています。

 驚くことではありませんが、その仕事はまた、単に目に見えないのです(例えば、閉じられた扉の向こうで働いている家事労働者の場合などのように物理的な意味で)。あるいは、単にデータ上に存在せず、これが不平等を永続させる要因になっています。

 今こそ事態を改善すべき時です。

 ますます相互に結びつくグローバル経済、急速に変化する労働市場、人の移動の影響、権利及び基準の普遍性に対する挑戦の文脈において、こういった問題に取り組み続けることが特に重要です。

 ILOは今後の活動の資料として用いる共有資源の形成に向けて堅固な情報基盤を確立するために自らの取り組みを新たにしているところです。根拠を基盤とした主張を裏付ける堅固な知識を伴うことによって、男女平等に関する政策や宣言が、さらに多くの働く女性の生活を改善するような変化の動因と化す展望がはるかに大きく開けることでしょう。そしてこれはまた、家族や地域社会の強化、そして最終的には企業と経済の強化を意味することを私たちは知っているのです。

 今日の国際女性の日に際し、私たちは仕事の世界における女性の貴重かつ不可欠な貢献を認め、男女平等に向けて努力するすべての人々と力を合わせるものであります。この目標に向けた着実な歩みを確かなものとするために活動を相互に強め合うよう確保することはまた、私たち共通の課題なのです。