第9代ILO事務局長フアン・ソマビア(チリ・1999~2012年)

フアン・ソマビア第9代ILO事務局長写真

 弁護士を職業とするソマビア氏はチリの国連ニューヨーク本部における常駐代表、国連経済社会理事会議長、国連安全保障理事会のチリ代表、世界社会開発サミット準備委員会議長、国連経済社会理事会社会委員会議長などを歴任し、外交官及び学者として人々の生活のあらゆる分野についての幅広い経験を有し、社会開発、ビジネス、市民団体に関与することによって、世界中の男女にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を確保する必要性というビジョンの形成に至りました。

 1998年3月に選出され、1999年3月に5年間の任期で事務局長に就任し、2003年3月、2008年11月にそれぞれ5年の任期で再選されたフアン・ソマビア事務局長は、南半球出身の初のILO事務局長として、就任以来、急速に変貌する経済がILOに提示している課題に取り組んできました。1999年のILO総会にディーセント・ワークを全ての人へというディーセント・ワーク課題を提案し、後に理事会及び総会の承認を得ました。ILOは「ディーセント・ワーク」を、その歴史的な使命の現代的な表現として受け入れました。

 ソマビア事務局長の主導により、ILOは2002年にグローバル化の社会的側面に関する世界委員会を設けました。国家元首、労使代表、政策策定者、学者、社会活動家などで構成される委員会はグローバル化が社会に与える影響を体系的に検討した初めての公式機関となりました。委員会は全ての人に機会を形成する公正なグローバル化を達成する手段としてのディーセント・ワークに対する呼びかけなどを含む勧告をまとめました。

 2008年の総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」は21世紀においてグローバル化の課題に対処するILOの使命をディーセント・ワーク課題を通してとらえ直しています。

 2009年の総会会期中に開かれた世界雇用サミットの中で、ILOは経済回復を刺激し、雇用を創出し、働く人々とその家族に保護を提供することを目指した国内及び国際の政策を導くことを目指してグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)を採択しました。この文書はその後、主要20カ国・地域のG20ピッツバーグ・サミットでも歓迎され、事務局長は雇用と社会的保護に関する政策及び展望に関する報告書を提出するよう求められました。事務局長のリーダーシップの下、ILOはその後のG20サミットにも招待され、参加しています。

 ソマビア事務局長は2011年9月に引退を表明し、2012年9月末で退任しました。