カカオ豆のサプライチェーンから児童労働を撤廃するために

~カカオセクターに変革を起こす4機関の実践例



2021年アクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、政労使パートナーなどが、子どもたちのためのグローバルな活動にどのように加わっているのか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。

COVID-19により、カカオ産業における児童労働はどれほど悪化したのか?

危機が子どもたちに与えた影響について、様々な事例が報告されています。多くの子どもたちが、新たに児童労働に追い込まれたり、カカオセクターを含め、より厳しい労働環境に耐えることを強いられたりしています。

例えば、最新の推計報告によると、コートジボワールの263のコミュニティでは、2020年7月から9月にかけて、カカオ事業における児童労働が12ヶ月前の同時期と比べて大幅に増加していることが分かりました。
 
カカオ豆のサプライチェーンにおけるリスクにどう対応すればよいのか?

児童労働や、その他の人権リスクは、サプライチェーンの第一段階(原材料の取り扱い)で事業活動をする非公式(インフォーマル)な零細企業や小規模企業で最悪の事態を招くことがほとんどです。こうしたリスクは、大企業の利益を優先して見過ごされがちです。

政府は、調達先のサプライチェーンにおける児童労働のリスクを回避する公共調達を主導することができます。また、責任あるビジネスや購買活動は、長期的なサプライヤーとの契約、今後の契約内容の明確化、製品やサービスの真の生産コストや市場価値の把握など、企業の存続と児童労働をなくすことに役立ちます。

それでは4機関のアクション・プレッジをご紹介します。

Ferrero International  

フェレロ・インターナショナルは、ルクセンブルグに本社を置く、イタリアのチョコレート・菓子メーカーです。

同社の2021アクション・プレッジは、フェレロ社のカカオとヘーゼルナッツのサプライチェーンにおいて、特にコートジボワール、ガーナ、トルコをの子どもたちを保護し、非営利団体やその他のパートナーと協力して、その活動を拡大・強化することを目的としています。

「プロジェクトでは、ILOの加盟国政労使と協力し、特にヘーゼルナッツのサプライチェーンにおける児童労働をなくすための取組みについて知識の共有を促進し、学習の機会を最大限に増やします。」

年間を通じて同社は、西アフリカでのリスク評価、子どもたちの保護、教育、能力開発、地域開発活動を提供するプログラムを実施します。またトルコでは、ニーズの評価、関係する機関の意識啓発、収穫の準備を、訓練を受けたステークホルダーらと共に行います。

同社のアクション・プレッジについての詳細はこちら


International Cocoa Initiative   
 
国際カカオ・イニシアティブ(ICI)は、大手チョコレートメーカーが出資するジュネーブの非営利団体で、西アフリカのカカオ生産における児童労働撤廃に取り組んでいます。

ICIの2021アクション・プレッジは、参加メンバーが好事例に基づいて連携し、カカオ生産地域における児童労働の防止、撲滅のための制度を導入することを目的としています。また、それらの制度を継続的にモニタリングし、制度の改善を図ることも目的としています。

「調査によると、児童労働を防止・対処するための制度や支援が実施されているカカオ生産地域では、児童労働は減少しています。私たちは、こうした制度を拡大し、より多くのカカオサプライチェーンを対象に含める活動を進めていきます。」

ICIは1年を通して、児童労働に取り組むための特定のプログラムの適用範囲をさらに拡大する予定です。

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Millennium Child Support Group  

ミレニアム・チャイルド・サポート・グループは、ガーナに拠点を置く人道支援団体です。

2021アクション・プレッジでは、ガーナのカカオ生産地域において、児童労働や搾取の対象となる子どもがいなくなるよう、これまで以上に努力することを目指としています。

「私たちは、地域の意識改革、訓練、スキル、知識を活用し、児童労働の防止と改善策をサプライチェーンにつなげていきます。」

この1年を通して、児童労働に代わる論理的な手段として、無料で質の高い公教育へのアクセスを拡大し、遠隔地域での農業活動を監視するためのネットワークやボランティアをより多く設置し、訓練を通じてカカオ生産地域を強化していきます。

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世界カカオ財団(WCF)のカカオアクション・ブラジル

WCF - CocoaAction Brasilは、持続可能性の問題に取り組むため、ブラジルのチョコレートやカカオセクターの主要メンバーによって設立・発足された非営利団体です。

2021アクション・プレッジは、主要なカカオ生産州であるバイア州とパラー州において、指針と活動計画を実施することで、児童労働のない持続可能なカカオ生産の促進を目的としています。

「私たちは、カカオチェーン全体でこの問題の重要性に対する認識を高め、課題を挙げ、優先順位をつけて取り組み、ブラジルのカカオセクターと、その結果と成果を共有します。」

年間を通じて、経済、社会、環境の分野で、生産者への技術支援、クレジットへのアクセスの促進、児童労働をなくし、ディーセント・ワークを生み出すための取組みに向けて官民ワークショップなど、一連の活動計画を実施していきます。

世界カカオ財団(WCF)のカカオアクション・ブラジルのアクション・プレッジについての詳細はこちら

児童労働撤廃国際年のウェブサイト(英):オリジナル記事はこちら