児童労働のない世界に向けて~ILO、ユニセフ、米国、日本、フランス、ドイツによるアクション・プレッジ



技術支援、マルチステークホルダーの調整、そしてグローバルなリーダーシップは、2021年アクション・プレッジの重要な要素です。ここでは、私たちに寄せられたアクション・プレッジの一部をご紹介します。政府、国連機関、NGO、大学、団体、労使団体などが、子どもたちのためにどのようにグローバルな活動に参加しているか、短いストーリーで紹介していますので、ぜひご覧ください。

どうすれば予測される児童労働の増加を回避できるのか?

COVID-19の危機は、早急な対策を講じない限り、世界の取組みの進展をさらに脅かす恐れがあります。2021年に発表された『児童労働:2020年の世界推計、動向、前途』によると、緩和策を講じなければ、パンデミックによる貧困の拡大の結果、2022年末までにさらに890万人の子どもたちが児童労働に従事する可能性があるとされています。

しかし、実際にどのような影響が出るかは、政策対応によります。社会的保護の適用範囲が広がれば、COVID-19が児童労働撤廃に向けた取組みに与える影響を弱め、再び前進させることができるでしょう。

児童労働をなくすためには、子どもたちを保護するための法律や規制の施行など、より広範な政策が必要です。

国際労働機関(ILO)

国際労働機関(ILO)は、ジュネーブに本部を置く国連機関です。ILOは、ユニセフと共にSDGターゲット8.7の達成を目指して、すべてのステークホルダーに児童労働の撲滅を呼びかけています。

ILOのアクション・プレッジは、2021年に児童労働に対するマルチステークホルダーの共同行動を主導、支援、調整することを目的としています。ILOは、互いに学び合い、支援し合えるステークホルダーのコミュニティを育成すると共に、成功したプロジェクト、プログラム、イニシアチブを特定し、今後数年間で増強できることを期待しています。

「ILOは、児童労働に関する知識と好事例を可能な限り広く共有し、児童労働撤廃のための革新的なデジタル技術、そして財政的解決策を育成、探求、共有し、国レベルでの児童労働撤廃に向けた取組みにおける政労使への継続的な支援を提供し、今年、「就業が認められるための最低年齢に関する条約」(第138号、1973年)の批准に向けた前進を誓った国々に働きかけて、プロセスを加速させることを誓います。」

ILOは年間を通じて、現場での取組みを互いに支援できるよう、アクション・プレッジに参加する機関をマッチングする調整役を務め、最新の「児童労働に関する世界推計」を最大限に普及させるために、情報共有ツールを活用します。

「ILOは今年、児童労働撤廃に向けた多くの取組みを行います。ユニセフと共同で行う児童労働反対世界デーでの最新の世界推計の発表、SDG8.7イノベーション・チャレンジ(イノベーション活動を通じた課題解決)、開発協力プロジェクトを通じた各国政労使への継続的な支援などがその例です。」
ガイ・ライダー ILO事務局長

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国際連合児童基金(UNICEF)

ユニセフは、ニューヨークに本部を置く国連機関です。ユニセフは、ILOと共にSDG8.7の達成を目指しています。

ユニセフのアクション・プレッジは、児童労働の可視化を継続し、国・世界レベルで知識や好事例を共有することを含め、児童労働撤廃に向けてすべてのステークホルダーが必要な行動をとることを提唱、支援することを目指します。

「ユニセフは、児童労働撤廃に向けて、政府、企業、市民社会組織、地域社会、そして子どもたち自身を含む、あらゆるレベルの様々なパートナーと協力しています。これには、民間セクターが持つ影響力を活用することも含まれます。2020年、ユニセフは57カ国で児童労働撤廃に向けた活動を支援しました。」

年間を通じて、ユニセフは、現場での実践的な活動支援、児童労働とその根本原因に対する理解と可視性の向上、民間セクターと共に子どもの権利に取り組むための新しいアプローチの開発、SDG8.7に向けた進捗状況のモニタリング、行動の呼びかけを通じてステークホルダーを巻き込み、優先的な活動を促進することで、影響力を与えていきます。

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アメリカ合衆国

アメリカ合衆国労働省は、政府機関です。

アメリカ合衆国労働省のアクション・プレッジは、技術支援、研究、貿易政策、執行を通じて、国際的及び国内の児童労働撤廃への取組みに貢献することを目的としています。米国は5,700万ドルを拠出し、児童労働撤廃のための様々な政府機関からのリソースを活用します。

「私たちのアクション・プレッジは、労働者、市民社会、ドナー、企業を巻き込み、彼らのそれぞれの影響力を及ぼす範囲内での、また連携して行われる児童労働撤廃に向けた取組みへの支援、保護、起訴、防止、パートナーシップを通じた児童の人身取引の撲滅、労働者を中心とした貿易政策の交渉、モニタリング、施行により、世界的な児童労働の撲滅に貢献します。」

アメリカ合衆国は年間を通して、保護、起訴、防止、パートナーシップ、そして逆境にある子どもたちに焦点を当てた取組みを通じて児童労働を防止します。米国労働省・賃金労働時間局、国務省人身取引監視対策部、USAID、米国通商代表部が参加する予定です。

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日本

厚生労働省は、日本の政府機関です。

2021年アクション・プレッジは、法律の制定、ILOへの拠出を通じた支援、児童労働撤廃国際年に関する取組みについて周知を行うことを通じて、アジア地域における児童労働の撲滅に向けた取組みを支援し、加速させることを目的としています。

「国内の児童労働の防止の確実な防止のため、労働基準法等の禁止規定の履行確保に取り組みます。また、関係行政機関やNPOと連携しながら、経済的に困難な状況にある子ども・若者とその家族に向けて就労支援・生活支援等の取組みに努めています。」

日本政府は、年間を通じて、児童労働の廃止を求める、労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言、ILO多国籍企業宣言、OECD多国籍企業行動指針について周知を行っていきます。

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フランス

2021年4月、フランスは、様々な政府省庁が連名で署名した書簡を通じて、ILO事務局長に「アライアンス8.7の取組みに参加するパスファインダー国 (ターゲット8.7の達成に向けて、より一層の取組みの強化を図る国々)」になることを希望していることを表明しました。

フランスのアクション・プレッジは、国内のすべてのステークホルダー、公共機関、社会的パートナー、ビジネスネットワークや団体の会議を開催し、意欲的な国家行動計画をできるだけ早く策定することで、児童労働の撤廃に向けた同国のコミットメントを強化することを目的としています。

「アライアンス8.7のパスファインダー国申請に関連して行われた作業は、フランスがその法的枠組みに基づいて、国内および世界中で児童労働に対して実施している行動の相乗効果と影響力を向上させることを目的としています。」

年間を通して、フランスは5つの専門ワーキンググループで議論を行い、既存のフレームワークと、持続可能な開発目標のターゲット8.7、特に児童労働の撤廃、を達成するためにフランスが実施しているすべての行動をマッピングできるようにします。

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ドイツ

2021年、ドイツはアライアンス8.7パスファインダー国になることを正式に申請し、専門家レベルの国内ワークショップを開催します。

ドイツのアクション・プレッジは、児童労働や強制労働に対する取組みをより一層強化し、より効果的になものとする世界的な責任を担うことを目的としています。同国では、サプライチェーンにおける人権及び環境デューデリジェンスに関する法律を施行し、企業に求められる対策を効果的に実施できるよう支援を行う予定です。

「サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスに関する国内法の目的は、ドイツに拠点を置く企業と、ドイツに拠点を置かない支店が、サプライチェーンにおける責任を果たすために、一定規模以上の企業であれば、人権と環境に関するデューデリジェンスを行うことを義務付けることにあります。」

サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスに関する法律は、最近承認されました。

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