第19回「カンボジアのILOビジネスセミナーが世界最大の参加者-ギネス世界記録に認定」

20171031

1022日に行われた選挙では、自民党と公明党の連立与党が310と全議席の3分の2を占めました。最大野党の民進党は、当初前原代表が東京都知事の小池百合子氏が結成した新党「希望の党」への合流を表明しましたが、小池氏が政策が一致しない候補者を排除するとしたため、新たに立憲民主党が結成され、さらに無所属で立候補した候補者もおり、3分裂しました。連立与党への批判票は一本化できず、これが与党勝因の大きな要因の1つになりました。

ILO駐日事務所は1017日に法政大学大原社会問題研究所と共催で、「仕事の未来とグリーン・ジョブ」をテーマに30回国際労働問題シンポジウムを開催しました。ガイ・ライダー事務局長が、今年のILO総会に提出した「気候変動と仕事:グリーン・イニシアチブ」と題する報告書(参照:こちらもご覧ください。)が基本に議論が行われました。ILO南太平洋島嶼国国別事務所 (在フィジー) 佐々木 聡氏がビデオ出演し、ILOの取り組みを紹介しました。その他の登壇者、参加者の皆様にこの紙面を借りてお礼を申し上げます。

さて、2017年8月24日にカンボジアの首都プノンペンで開催されたILOセミナーが2,304人という実践的ビジネスセミナーとして世界最大の参加者を集め、ギネス世界記録に認定されたといううれしいニュースを紹介します。このセミナーは、日本政府の任意資金拠出によってILOに設けられたアジア太平洋社会セーフティーネット(安全網)基盤整備基金の協力の下、カンボジア教育・青年・スポーツ省が実施しました。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に至る一つの道として若者の起業意識の向上と能力開発を目指し、2016年にインドネシアで達成された1,231人の記録をはるかに上回りました。

司会を行ったDJのナナは若手企業家/活動家として有名な人です。セミナーは、世界中の多くの国で教育課程に取り入れられているILOが開発した革新的な学習方法Know About Business(KAB)」や、「Community-Based Enterprise Development(C-BED)」など)を用いて進められました。国内各地から集まった1524歳の若者は主体的な活動と議論を通じて、自らの起業の選択肢と潜在力の分析を行いました。セミナーはまた、若い企業家の卵に、成功したカンボジア人実業家から直接学ぶ機会も提供しました。

 

セミナーに続いて官民部門を代表する参加者によるハイレベル・パネルディスカッションが開かれ、カンボジアにおける起業機会と持続可能な事業の促進について意見を交換しました。ILO本部企業局長のヴィック・バン・ブューレン氏は、この研修について、「長く続く旅」と表現し、1回限りのイベントではなく、「学校に通っているか否かにかかわらず、起業家精神への道が誰にでも開かれ、起業家として成功するための支援を得られるようなイニシアチブの一環」と紹介しています。

ILOはカンボジアの教育・青年・スポーツ省と協力して、同国の国家開発戦略に沿って若者の起業能力開発を促進するため、学校教育内外での青年に対する起業研修を全国展開してきました。アジア太平洋社会セーフティーネット基盤整備基金担当官の千葉秀樹氏は、「基金としては、今回の世界記録認定を、カンボジアにおける若者の起業家精神奨励に対する投資への努力が認められたものとして歓迎している」として、今後も、若者を対象とした協同組合やその他の団体を中心に、引き続き支援していく意向を明らかにしています。