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パートタイム労働に関する勧告(第182号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百九十四年六月七日にその第八十一回会期として会合し、
 その会期の議事日程の第四議題であるパートタイム労働に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約を補足する勧告の形式をとるべきであることを決定して、
 次の勧告(引用に際しては、千九百九十四年のパートタイム労働勧告と称することができる。)を千九百九十四年六月二十四日に採択する。
1 この勧告の規定は、千九百九十四年のパートタイム労働条約(以下「条約」という。)の規定と共に考慮されるべきである。
2 この勧告の適用上、
(a) 「パートタイム労働者」とは、通常の労働時間が比較可能なフルタイム労働者の通常の労働時間よりも短い被用者をいう。
(b) (a)に規定する通常の労働時間は、一週間当たりで、又は一定の雇用期間の平均により計算することができる。
(c) 「比較可能なフルタイム労働者」とは、次のフルタイム労働者をいう。
(i) 関係するパートタイム労働者と同一の種類の雇用関係を有するフルタイム労働者
(ii) 関係するパートタイム労働者と同一の又は類似の種類の労働又は職業に従事するフルタイム労働者
(iii) 関係するパートタイム労働者と同一の事業所に雇用されているフルタイム労働者、同一の事業所に比較可能なフルタイム労働者がいない場合には同一の企業に雇用されているフルタイム労働者又は同一の企業に比較可能なフルタイム労働者がいない場合には同一の活動部門で雇用されているフルタイム労働者
(d) 部分的失業、すなわち経済的、技術的又は構造的な理由による通常の労働時間の集団的かつ一時的な短縮の影響を受けたフルタイム労働者は、パートタイム労働者とみなさない。
3 この勧告は、すべてのパートタイム労働者について適用する。
4 国内法及び国内慣行に従い、使用者は、パートタイム労働の大規模な導入又は拡大、パートタイム労働について適用する規則及び手続並びに適当と思われる保護措置及び促進措置に関し、関係のある労働者の代表と協議すべきである。
5 パートタイム労働者は、書面により又は国内法及び国内慣行に適合する他の方法により、当該労働者の特別の雇用条件について告げられるべきである。
6 条約第六条の規定に従って職業活動を基礎とする法定の社会保障制度に対して行われる調整は、次のことを目的とすべきである。
(a) 適当な場合には、この制度の対象とするための条件となる勤労所得又は労働時間に基づく基準の要件を漸進的に緩和すること。
(b) 適当な場合には、パートタイム労働者に対して、最低限の又は一定率の給付、特に、老齢給付、病気給付、障害給付及び母性給付並びに家族手当を支給すること。
(c) 雇用が終了し又は停止しているパートタイム労働者であってパートタイムの雇用のみを求めているものは、失業給付の支給の要件である、就労することができるとの条件を満たすことを原則として認めること。
(d) パートタイム労働者が次のいずれかの制度によって不利益を被る危険を減少させること。
(i) 給付を受ける権利が、一定の基準期間内における拠出、保険又は雇用の期間によって表示される資格期間を条件とする制度
(ii) 給付総額が、従前の勤労所得の平均及び拠出、保険又は雇用の期間の長さに応じて決定される制度
7(1) 適当な場合には、法定の社会保障制度を補足し又は代替する民間の職業の制度の対象となることができる基準の要件は、パートタイム労働者ができる限り広く対象とされるように漸進的に緩和すべきである。
(2) パートタイム労働者は、(1)の制度により、比較可能なフルタイム労働者と同等の条件によって保護されるべきである。適当な場合には、この条件は、労働時間、拠出金又は労働所得に比例して決定することができる。
8(1) 適当な場合には、条約第七条に規定する分野において条約第八条の規定により定められる労働時間又は労働所得に基づく基準の要件は、漸進的に緩和すべきである。
(2) 条約第七条に規定する分野における保護の条件として必要とされるパートタイム労働者の就業期間は、比較可能なフルタイム労働者よりも長いものであるべきではない。
9 パートタイム労働者が二以上の仕事に従事している場合には、当該パートタイム労働者が職業活動を基礎とする法定の社会保障制度における基準の要件を満たすか否かを決定するに当たり、当該パートタイム労働者の総労働時間、総拠出金又は総労働所得を考慮されるべきである。
10 パートタイム労働者は、基本賃金に追加される金銭上の報酬であって比較可能なフルタイム労働者が受け取るものについて、公平に支給を受けるべきである。
11 パートタイム労働者が関係のある事業所の福利厚生施設及び社会サービスを実行可能な限り公平に利用することができることを確保するため、すべての適当な措置をとるべきである。これらの施設及びサービスは、できる限り、パートタイム労働者のニーズを考慮するよう調整すべきである。
12(1) パートタイム労働者の労働時間の長さ及び編成は、労働者の利益及び事務所のニーズを考慮して決定すべきである。
(2) 合意された勤務計画の変更及び計画された時間を超える労働は、できる限り、制限されかつ事前に通告されるべきである。
(3) 合意された勤務計画を超える労働に対する補償制度は、国内法及び国内慣行に従い交渉されるべきである。
13 国内法及び国内慣行に従って、パートタイム労働者は、比較可能なフルタイム労働者が利用することができるあらゆる形態の休暇、特に、有給教育休暇、育児休暇及び子又は子以外の労働者の近親の家族が病気である場合の休暇を、公平にかつできる限り同等の条件により利用することができるようにすべきである。
14 適当な場合には、年次休暇の計画並びに慣習的な休日及び公の休日における労働について、比較可能なフルタイム労働者と同一の規則がパートタイム労働者に適用されるべきである。
15 適当な場合には、パートタイム労働者の訓練、昇進の機会及び職業間の移動に対する特定の制約を克服するための措置をとるべきである。
16 パートタイム労働を活用し又は受け入れることを妨げるおそれのある職業活動を基礎とする法定の社会保障制度の規定、特に、次のものは、調整されるべきである。
(a) パートタイム労働者にとって比例よりも高い拠出金をもたらす規定(対応する比例よりも高い給付により、当該拠出金が正当と認められる場合を除く。)
(b) 一時的にパートタイム労働を受け入れる失業者の失業給付を合理的な理由なしに著しく減額する規定
(c) 老齢給付の計算に当たり、退職の直前の期間にのみ行われたパートタイム労働からの減額された収入を過度に強調する規定
17 適当な場合には熟練職及び管理職を含む企業のあらゆる段階において、パートタイム労働の活用を容易にするための措置が使用者によって考慮されるべきである。
18(1) 適当な場合には、使用者は、次の要請に考慮を払うべきである。
(a) フルタイム労働からパートタイム労働への転換を企業内で可能とする労働者の要請
(b) パートタイム労働からフルタイム労働への転換を企業内で可能とする労働者の要請
(2) 使用者は、フルタイム労働からパートタイム労働への転換又はその逆の転換を容易にするため、事業所におけるパートタイムの職及びフルタイムの職に就くことのできる可能性に関する時宜を得た情報を労働者に提供すべきである。
19 労働者がフルタイム労働からパートタイム労働への転換又はその逆の転換を拒否することは、それ自体では雇用の終了の妥当な理由とすべきではない。ただし、国内法及び国内慣行に従い、関係のある事業所の運営上の要件から生ずる他の理由による雇用の終了に影響を及ぼすものではない。
20 国内の又は事業所別の事情が許す場合において、妊娠又は幼児の育児若しくは労働者の近親の家族のうち障害を有する者若しくは病人の介護をする必要がある等正当とされるときは、労働者がパートタイム労働に転換することができるようにすべきであり、かつ、その後において、フルタイム労働に復帰することができるようにすべきである。
21 使用者に課される義務が雇用する労働者の数に依存する場合には、パートタイム労働者は、フルタイム労働者として計算されるべきである。もっとも、適当な場合には、パートタイム労働者は、その労働時間に比例して計算することができる。ただし、この義務が条約第四条に規定する保護に係るものである場合には、パートタイム労働者は、フルタイム労働者として計算されるべきである。
22 パートタイム労働に適用する保護措置及び各種のパートタイム労働の制度のための実際的な取決めに関する情報が普及されるべきである。


最終更新日:2004年11月9日 作成者:EU 責任者:MH