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家庭責任をもつ婦人の雇用に関する勧告(第123号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十五年六月二日にその第四十九回会期として会合し、
 多数の国において、労働力の不可分かつ重要な部分として家庭を離れて労働する婦人の数が増加している事実に留意し、
 これらの婦人の多くは、その家庭と労働とに対する二重の責任を調和させる必要から生ずる特殊な問題に直面していることにさらに留意し、
 これらの問題の多くは、家庭責任をもつ婦人労働者の雇用機会に特に関係するものであるけれども、他の労働者にも関係するものであり、また、一日及び一週の労働時間の漸進的短縮のようなすべての労働者に影響する措置によつて相当に緩和することができるものであることに留意し、
 家庭責任をもつ婦人の直面する特殊な問題の多くは、婦人労働者に特有の問題ではなく、その家庭及び社会全体の問題であることにさらに留意し、
 すべての関係者の最善の利益と一致する方法でこれらの問題を解決するためには継続的な社会適応が必要であることを認め、
 これらの問題について、政府及び関係のあるすべての公私の団体が広く社会的、経済的及び法律的な観点から考慮を払う必要があることを自覚し、
 この会期の議事日程の第五議題である家庭責任をもつ婦人の雇用に関する提案の採択を決定し、
 この提案が勧告の形式をとるべきであることを決定して、
 次の勧告(引用に際しては、千九百六十五年の雇用(家庭責任をもつ婦人)勧告と称することができる。)を千九百六十五年六月二十二日に採択する。
 総会は、各加盟国が国内事情の許す限り完全にかつすみやかに次の規定を適用すべきことを勧告する。

T 一般原則

1 権限のある機関は、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体と協力して、かつ、国及び地方の必要及び可能性に従つて、次のことを行なうべきである。
  (a) 家庭責任をもつ婦人で家庭を離れて労働するものが、差別待遇を受けることなく、かつ、千九百五十八年の差別待遇(雇用及び職業)条約及び国際労働総会によつて採択された婦人に関する他の基準に定める原則に従つて労働する権利を行使することができるように適当な政策を追求すること。
  (b) 婦人が家庭と労働とに対する各種の責任を調和的に果たすことができるような施設の発展を奨励し、促進し、又は自ら行なうこと。

U 公衆に対する情報及び教育

2 権限のある機関は、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体と協力して、次のことを行なうために適当な措置を執るべきである。
  (a) 家庭責任をもつ婦人労働者が権利の平等の基礎に立つて労働力に効果的に統合されることを援助するため、これらの労働者の問題について必要な考慮を払うことを奨励すること。
  (b) 効果的な政策及び措置の基礎となる客観的な情報を提供するため、家庭責任をもつ婦人労働者の雇用の各種の側面に関して必要かつ実行可能な調査を実施し、又は促進すること。
  (c) これらの労働者が家庭と労働に対する責任を果たすことを援助するために役だつ政策及び意見を共同社会の内に育成するため、これらの労働者に関する問題についての公衆の理解を広めること。

V 児童保育の業務及び施設

3 婦人労働者が労働と家庭とに対する責任を果たすことを援助するために必要な児童保育の業務及び施設の範囲及び性格を決定するため、権限のある機関は、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体と協力して、かつ、情報の収集のために自己が有する資源の範囲内において、次のことを行なうために必要かつ適当な措置を執るべきである。
  (a) 就職しており又は求職している母親の数並びにその子供の数及び年齢に関して十分な統計を収集し、かつ、刊行すること。
  (b) 特に地方共同社会において行なわれる組織的な調査によつて、家庭の外における児童保育のためいかなる措置が必要とされかつ選択されるかを確認すること。
4 権限のある機関は、関係のある公私の団体と協力して、児童保育の業務及び施設がこのようにして明らかにされた必要及び選択に適合することを確保するため適当な措置を執るべきである。この目的のため、権限のある機関は、国及び地方の事情及び可能性を考慮して、特に次のことを行なうべきである。
  (a) 児童保育の業務及び施設の組織的な発展のための計画を特に地方共同社会において樹立することを奨励し、かつ、容易にすること。
  (b) 十分な数のかつ適当な児童保育の業務及び施設(この業務及び施設は、合理的な料金又は必要な場合には無料とし、弾力的に運営され、かつ、年齢を異にする児童及びその働く両親の必要を満たすものとする。)の提供を奨励しかつ容易にするとともに自ら組織すること。
5 児童の健康及び福祉を保護するために、
  (a) すべての型の児童保育の業務及び施設は、権限のある機関により定められかつ監督される基準に従うべきである。
  (b) 前記の基準は、提供される業務及び施設の設備及び衛生条件並びに職員の数及び資格を特に規定すべきである。
  (c) 権限のある機関は、児童保育の業務及び施設の職員として必要な者に対し各種の段階において十分な訓練を提供し、又はその提供を援助すべきである。
6 権限のある機関は、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体の協力及び参加の下に、働く両親が児童保育の業務及び施設に関して有する特別の必要を満たすために払われる努力に対して公衆の理解及び支持を得ることを援助すべきである。

W 就職及び再就職

7 権限のある機関は、家庭責任をもつ婦人が労働力に統合され、労働力として存続し、又は再就職することができるように、千九百六十四年の雇用政策条約及び千九百六十四年の雇用政策勧告に従うすべての措置を執るべきである。
8 家庭責任をもつ婦人が平等の立場に立つて労働力に統合されることができるために、かつ、これらの婦人の就職又は比較的長期間の離職の後の再就職を容易にするために、権限のある機関は、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体と協力して、次のことを行なうために国内事情の下で必要なすべての措置を執るべきである。
  (a) 性に基づくいかなる形式の差別待遇もなしに少女に対し一般教育、職業指導及び職業訓練を提供すること。
  (b) 少女が将来の職業生活の基礎として確固たる職業準備を習得することを奨励すること。
  (c) 少女に確固たる職業準備を与えることが必要なことについて両親及び教育者を納得させること。
9(1) 権限のある機関は、関係のある公私の団体と協力して、かつ、国の必要及び可能性を考慮して、特に家庭責任のためにこれまで働いたことのない婦人の就職又は同じ理由で比較的長期間にわたつて雇用市場から離れていた婦人の再就職を容易にするために必要な業務を提供し、又はその提供を援助すべきである。
 (2) 前記の業務は、すべての労働者のための既存の業務の範囲内に、又はこのような業務がない場合には国内の条件に適した方法で、組織すべきである。これらの業務は、十分な助言、情報及び紹介の業務を含むべきであり、また、前記の婦人の必要を満たしかつ年齢に関する差別なしに利用しうる十分な訓練及び再訓練の施設を提供すべきである。
 (3) 前記の業務及び施設は、これらの婦人労働者の特別の必要並びに経済的及び技術的発展の必要及び傾向の変化に正しく適応することを確保するために絶えず検討されるべきである。
10(1) 出産に起因する家庭責任のため、法律又は慣行によつて確立された出産休暇の通常の期間が経過した直後に職場に復帰することのできない婦人については、その雇用を失わせることなく、かつ、その雇用から生ずるすべての権利に十分な保護を与えて、休暇期間を合理的な期間延長するため、適当な措置をできる限り執るべきである。
  (2) 前記の婦人は、出産後雇用が終了される場合には、千九百六十三年の雇用終了勧告により労働力の削減のため雇用を終了された労働者に適用される規定に従つて、再雇用について考慮されるべきである。

X 雑則

11(1) 必要な限度まで、関係のある公私の団体、特に使用者団体及び労働者団体は、婦人労働者が労働と家庭とに対する責任を果たすことをこれらの労働者の雇用及び昇進の機会をそこなうことなしに援助するために他の措置を執り、及び他の行動を促進するにあたり権限のある機関と協力し、かつ、相互に協力すべきである。
  (2) この点に関して、地方の必要がありかつ可能であるときは、公共輸送機関の組織化、労働時間と学校及び児童保育の業務又は施設の時間との調節並びに家事を単純化しかつ軽減するために必要な施設の低廉な料金による提供のような家庭責任をもつ婦人労働者に特に関係のある事項に注意を払うべきである。
12 公の機関により又はその監督の下に運営され、かつ、家庭責任をもつ婦人労働者に対して合理的な料金による資格のある者の援助を必要な場合に供与する家庭援助業務を発展させるために特別の努力を払うべきである。



最終更新日:2005年6月2日 作成者:NT 責任者:MH