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有料職業紹介所に関する条約(1949年の改正条約)(第96号)
(日本は1956年6月11日に批准、民間職業仲介事業所条約(第181号)の批准により1999年7月28日に批准廃棄)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百四十九年六月八日にその第三十二回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第十議題の一部である問題、すなわち、総会がその第十七回会期で採択した千九百三十三年の有料職業紹介所条約の改正に関する提案の採択を決定し、
 この提案が、千九百四十八年の職業安定組織条約の適用を受ける加盟国が無料の公共職業安定組織を維持し、又はその維持を確保すべきことを規定した同条約を補足する国際条約の形式をとるべきであることを決定し、
 その組織をすべての種類の労働者が利用することができるものとしなければならないと考えるので、
 次の条約(引用に際しては、千九百四十九年の有料職業紹介所条約(改正)と称することができる。)を千九百四十九年七月一日に採択する。

第一部 一般規定

第 一 条

1 この条約の適用上、「有料職業紹介所」とは、次のものをいう。
(a) 営利を目的として経営される職業紹介所、すなわち、使用者又は労働者から直接に又は間接に金銭その他の物質的利益を得る目的で、労働者に対しては職業を、また、使用者に対しては労働者をあつせんするため仲介者として行動する個人又は会社、協会、機関その他の団体。ただし、この定義には、新聞その他の刊行物(もつぱら又は主として使用者と労働者との間をあつせんするため刊行される新聞その他の刊行物を除く。)は含まれない
(b) 営利を目的としないで経営される職業紹介所、すなわち、その行う職業紹介について、金銭その他の物質的利益を得ることを目的としないで経営されるが、使用者又は労働者から入会金、定期的掛金その他の料金を徴収する会社、協会、機関その他の団体の職業紹介事業
2 この条約は、海員の職業紹介については適用しない。

第 二 条

1 この条約を批准する加盟国は、営利を目的として経営される有料職業紹介所の漸進的廃止及び他の職業紹介所の規制を定める第二部の規定を受諾するか、又は有料職業紹介所(営利を目的として経営される職業紹介所を含む。)の規制を定める第三部の規定を受諾するかをその批准書中に明示しなければならない。
2 第三部の規定を受諾した加盟国は、その後第二部の規定を受諾することを事務局長に通告することができる。事務局長がその通告を登録した日の後は、同加盟国については、第三部の規定が適用されず、第二部の規定が適用される。

第二部 営利を目的として経営される有料職業紹介所の漸進的廃止及び他の職業紹介所の規制

第 三 条

1 第一条1(a)に定める営利を目的として経営される有料職業紹介所は、権限のある機関が定める期限までに廃止しなければならない。
2 前項の有料職業紹介所は、公共職業安定組織が確立されるまでは廃止しないものとする。
3 権限のある機関は、求職者の種類に応じて職業紹介を行つている職業紹介所の廃止については、それぞれ求職者の種類に応じてその期限を定めることができる。

第 四 条

1 営利を目的として経営される有料職業紹介所は、廃止されるまでの間においては、
(a) 権限のある機関の監督を受けるものとする。
(b) 権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表による料金及び経費に相当する額のみを徴収しなければならない。
2 前項の監督は、特に、営利を目的として経営される有料職業紹介所の運営に関連するあらゆる弊害を除去するために行わなければならない。
3 この目的のため、権限のある機関は、適当な方法により、関係のある使用者団体及び労働者団体に諮問しなければならない。

第 五 条

1 第三条1の規定に対する例外は、国内法令によつて明確に定められた求職者の種類について、公共職業安定組織では適当な職業紹介業務を行うことができない場合において、権限のある機関が、関係のある使用者団体及び労働者団体に適当な方法で諮問した上、その種類について特別に認めるものとする。
2 この条の規定に基いて例外として認められる有料職業紹介所は、
(a) 権限のある機関の監督を受けるものとする。
(b) 権限のある機関の裁量で更新される有効期間一年の許可証を有しなければならない。
(c) 権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表による料金及び経費に相当する額のみを徴収しなければならない。
(d) 国外にわたる労働者の紹介又は募集については、権限のある機関が許可した場合において、現行の法令に定める条件の下においてのみ行うものとする。

第 六 条

 第一条1(b)に定める営利を目的としないで経営される有料職業紹介所は、
(a) 権限のある機関の許可証を有しなければならず、かつ、その監督を受けるものとする。
(b) 所要の経費を厳密に考慮して、権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表の額をこえる料金を徴収してはならない。
(c) 国外にわたる労働者の紹介又は募集については、権限のある機関が許可した場合において、現行の法令に定める条件の下においてのみ行うものとする。

第 七 条

 権限のある機関は、無料職業紹介所がその業務を無料で行つていることを確認するための必要な措置を執らなければならない。

第 八 条

 この部の規定又はこれらを実施するための法令の違反については、適当な制裁(必要があるときは、この条約で定める許可の取消を含む。)を規定しなければならない。

第 九 条

 国際労働機関憲章第二十二条の規定に基いて提出される年次報告には、第五条の規定に基いて認められる例外に関するすべての必要な情報、特に、例外として認められる職業紹介所の数及び活動範囲、例外が認められる理由並びに権限のある機関が職業紹介所の活動を監督するため執つた措置に関する情報を含めなければならない。

第三部 有料職業紹介所の規制

第 十 条

 第一条1(a)に定める営利を目的として経営される有料職業紹介所は、
(a) 権限のある機関の監督を受けるものとする。
(b) 権限のある機関の裁量で更新される有効期間一年の許可証を有しなければならない。
(c) 権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表による料金及び経費に相当する額のみを徴収しなければならない。
(d) 国外にわたる労働者の紹介又は募集については、権限のある機関が許可した場合において、現行の法令に定める条件の下においてのみ行うものとする。

第 十 一 条

 第一条1(b)に定める営利を目的としないで経営される有料職業紹介所は、
(a) 権限のある機関の許可証を有しなければならず、かつ、その監督を受けるものとする。
(b) 所要の経費を厳密に考慮して、権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表の額をこえる料金を徴収してはならない。
(c) 国外にわたる労働者の紹介又は募集については、権限のある機関が許可した場合において、現行の法令の定める条件の下においてのみ行うものとする。

第 十 二 条

 権限のある機関は、無料職業紹介所がその業務を無料で行つていることを確認するための必要な措置を執らなければならない。

第 十 三 条

 この部の規定又はこれらを実施するための法令の違反については、適当な制裁(必要があるときは、この条約で定める許可の取消を含む。)を規定しなければならない。

第 十 四 条

 国際労働機関憲章第二十二条の規定に基いて提出される年次報告には、権限のある機関が有料職業紹介所(特に、営利を目的として経営される職業紹介所を含む。)の活動を監督するため執つた措置に関するすべての必要な情報を含めなければならない。

第四部 雑則

第 十 五 条

1 加盟国の領域内の広大な地域について、権限のある機関が、人口のき薄性又は発達の程度にかんがみ、この条約の規定を実施することができないと認める場合には、その機関は、全面的に、又は特定の企業若しくは職業について適当と認める例外を設けて、その地域をこの条約の適用から除外することができる。
2 加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に基いて提出するこの条約の適用に関する第一回の年次報告において、この条の規定を適用しようとする地域を指定し、かつ、同規定を適用しようとする理由を示さなければならない。いずれの加盟国も、第一回の年次報告の日付の日の後は、こうして指定した地域を除くほか、この条の規定を適用してはならない。
3 この条の規定を適用する加盟国は、その後の年次報告において、この条の規定を適用する権利を放棄する地域を指定しなければならない。

第五部 最終規定

第 十 六 条

 この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。

第 十 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を国際労働事務局長が登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 十 八 条

1 国際労働機関憲章第三十五条2の規定に従つて国際労働事務局長に通知する宣言は、次の事項を示さなければならない。
(a) 当該加盟国がこの条約の規定を変更を加えずに適用することを約束する地域
(b) 当該加盟国がこの条約の規定を変更を加えて適用することを約束する地域及びその変更の細目
(c) この条約を適用することができない地域及びその適用することができない理由
(d) 当該加盟国がさらに事情を検討する間決定を留保する地域
2 前項(a)及び(b)に掲げる約束は、批准の不可分の一部とみなされ、かつ、批准と同一の効力を有する。
3 加盟国は、1(b)、(c)又は(d)に基きその最初の宣言において行つた留保の全部又は一部をその後の宣言によつていつでも取り消すことができる。
4 加盟国は、第二十条の規定に従つてこの条約を廃棄することができる期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点について変更し、かつ、指定する地域に関する現況を述べた宣言を事務局長に通知することができる。

第 十 九 条

1 国際労働機関憲章第三十五条4又は5の規定に従つて国際労働事務局長に通知する宣言は、当該地域内でこの条約の規定を変更を加えずに適用するか又は変更を加えて適用するかを示さなければならない。その宣言は、この条約の規定を変更を加えて適用することを示している場合には、その変更の細目を示さなければならない。
2 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、前の宣言において示した変更を適用する権利の全部又は一部をその後の宣言によつていつでも放棄することができる。
3 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、第二十条の規定に従つてこの条約を廃棄することができる期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点について変更し、かつ、この条約の適用についての現況を述べた宣言を国際労働事務局長に通知することができる。

第 二 十 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通知する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で前項に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 二 十 一 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准、宣言及び廃棄の登録を国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日について加盟国の注意を喚起しなければならない。

第 二 十 二 条

 国際労働事務局長は、前条までの規定に従つて登録されたすべての批准書、宣言書及び廃棄書の完全な明細を国際連合憲章第百二条の規定による登録のため国際連合事務総長に通知しなければならない。

第 二 十 三 条

 国際労働機関の理事会は、この条約が効力を生じた後十年の期間が経過するごとにこの条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 二 十 四 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第二十条の規定にかかわらず、当然この条約の即時廃棄を伴う。
(b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 二 十 五 条

 この条約の英語及びフランス語による本文は、ともに正文とする。



最終更新日:2005年6月10日 作成者:EU/NT 責任者:MH