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工業に使用される婦人の夜業に関する条約(第89号)(1948年改正)
(日本は未批准、仮訳)
国際労働機関の総会は、
国際労働事務局の理事会によつてサン・フランシスコに招集され、且つ千九百四十八年六月十七日を以てその第三十一回会議を開催し、
この会議の会議事項の第九項目である、第一回総会において採択された千九百十九年の夜業(婦人)条約及び第十八回総会において採択された千九百三十四年の夜業(婦人)条約(改正)の一部改正に関する提案の採択を決議したので、
この提案は国際条約の形式によるを要することを思い、
千九百四十八年の夜業(婦人)条約(改正)と称する次の条約を千九百四十八年七月九日に採択する。
第一部 総則
第 一 条
1 この条約において「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを特に包含する。
(a) 鉱山業、石切業その他土地より鉱物を採取する事業
(b) 物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体を為し又は材料の変造を為す企業(造船に従事し又は電気若しくは各種動力の発生、変更又は伝導に従事する企業を含む。)
(c) 建設工事及び土木工事に従事する企業(建築、修理、保存、変更及び解体工事を含む。)
2 工業と農業、商業及びその他の非工業的職業との分界は、権限ある機関が定めなければならない。
第 二 条
この条約において「夜間」と称するのは、権限ある機関の定める夜十時より朝七時に至るまでの間における少くとも七時間の継続する時間を含む少くとも十一時間の継続する時間を謂う。権限ある機関は、異なる地域、工業、企業又は工業若しくは企業の分科に対し異なる時間を定めることができるが、夜十一時後に始まる時間を定めるに先だち、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議しなければならない。
第 三 条
婦人は、年齢に拘わらず、同一の家に属する者のみを使用する企業を除くの外、公私一切の工業的企業又はその各分科において夜間これを使用することができない。
第 四 条
第三条は、左の場合にこれを適用しない。
(a) 不可抗力の場合において予見することができず且つ回帰性を有しない作業中絶が或る企業に生じた場合
(b) 原料又は取扱材料であつて急に損敗し易きものを作業上処理すべき場合において右原料又は材料の損失を防ぐため夜業を必要とする場合
第 五 条
1 重大な緊急事項の場合において国家の利益のため必要があるときは、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議の上、政府は、婦人に対する夜業禁止を停止することができる。
2 右の停止は、この条約の適用に関する年報において、当該政府がこれを国際労働事務局長に通告しなければならない。
第 六 条
季節の影響を受ける工業的企業において及び例外の事情により必要があるすべての場合において、一年につき六十日間は、夜間を十時間に短縮することができる。
第 七 条
気候のため昼間の作業を特に困難とする国においては、夜間は、前数条に規定するところよりこれを短縮することができる。但し昼間において代償休憩を与えなければならない。
第 八 条
この条約は、左に掲げる婦人にはこれを適用しない。
(a) 管理的又は技術的性質の責任ある地位にある婦人
(b) 保健及び厚生施設に使用される婦人であつて通常筋肉労働に従事しないもの
第二部 或る国に対する特別規定
第 九 条
工業的企業における夜間の婦人使用につき、未だ公の規則の適用のない国においては、「夜間」とは、当分の内且つ三年を超えない期間内、政府は、権限ある機関の定める夜十時より朝七時に至る時間中少くとも連続七時間の時間を包含する十時間のみの時間を謂うと宣言することができる。
第 十 条
1 この条約の規定は、この条に定める変更に従い、インドにこれを適用する。
2 この条約の規定は、インド立法府がこれを適用する権限を有するすべての地域にこれを適用する。
3 「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを包含する。
(a) インド工場法に定められる工場 及び
(b) インド鉱山法の適用を受ける鉱山
第 十 一 条
1 この条約の規定は、この条に定める変更に従い、パキスタンにこれを適用する。
2 この条約の規定は、パキスタン立法府がこれを適用する権限を有するすべての地域にこれを適用する。
3 「工業的企業」と称するのは、左に掲げるものを包含する。
(a) 工場法に定められる工場
(b) 鉱山法の適用を受ける鉱山
第 十 二 条
1 国際労働総会は、この条約の前記第二部の数条中の何れかの一条又は数条に対する改正案を、議題が会議事項に包含された会期において、三分の二の多数決を以て採択することができる。
2 右の改正案は、その適用を受ける加盟国を記載し、且つ一年の期間以内又は例外の事情ある場合においては十八箇月の期間以内に、その適用を受ける加盟国により当該事項につき権限を有する機関に対し立法その他の措置のために提出されなければならない。
3 右の各加盟国は、当該事項につき権限を有する機関の同意を得たときは、登録のために国際労働事務局長に対し改正の正式批准を通告しなければならない。
4 右の改正案は、その適用を受ける加盟国による批准のあつたとき、この条約の改正として効力を発生する。
第三部 最終規定
第 十 三 条
この条約の正式批准は、登録のため国際労働事務局長にこれを通告しなければならない。
第 十 四 条
1 この条約は、国際労働事務局長にその批准を登録した国際労働機関の加盟国のみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長に登録された日から十二箇月後に効力を発生する。
3 爾後この条約は、他の何れの加盟国についても、その批准が登録された日から十二箇月後に効力を発生する。
第 十 五 条
1 この条約を批准した加盟国は、条約が最初に効力を発生した日から十年の期間満了後において、国際労働事務局長宛登録のためにする通告によりこれを廃棄することができる。右の廃棄は、その登録のあつた日の後一年間はその効力を生じない。
2 この条約を批准した各加盟国であつて前項に掲げた十年の期間満了後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受くべく、又爾後各十年の期間満了毎にこの条に定める条件によつてこの条約を廃棄することができる。
第 十 六 条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通告を受けたすべての批准及び廃棄の登録を国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、通告を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を発生する日について国際労働機関の加盟国の注意を喚起しなければならない。
第 十 七 条
国際労働事務局長は、前諸条の規定に従い登録されたすべての批准及び廃棄の詳細を国際連合憲章第百二条の規定に従い国際連合事務総長に登録のために通告しなければならない。
第 十 八 条
国際労働事務局の理事会は、この条約の効力発生後各十年の期間満了毎にこの条約の実施に関する報告を総会に提出し、且つその全部又は一部の改正に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議しなければならない。
第 十 九 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合には、新条約が別段の規定をしない限り、
(a) 一加盟国による新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したとき、前記第十五条の規定に拘わらず、当然にこの条約の即時の廃棄を生ぜしめる。
(b) 新改正条約の効力発生の日から、この条約は、加盟国により批准され得ないようになる。
2 この条約は、これを批准したけれども改正条約を批准しない加盟国に対しては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容において引続いて効力を有する。
第 二 十 条
この条約は、イギリス語及びフランス語の本文を以て共に正文とする。