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路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する条約(第67号)
(日本は未批准、仮訳)
国際労働機関の総会は、
国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百三十九年六月八日を以てその第二十五回会議を開催し、
この会議の会議事項の第四項目である路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する提案の採択を決議し、且つ
この提案は国際条約の形式によるべきものなることを決定したので、
千九百三十九年の労働時間及び休息時間(路面運送)条約として引用することができる次の条約を千九百三十九年六月二十八日に採択する。
第 一 条
1 この条約は、次の者に適用する。
(a) 職業的資格において路面運送用車輌を操縦する者、及び
(b) 路面運送用車輌に乗り込み且つ職業的資格において車輌、その乗客又は貨物に関連する労務に従事する乗務員及びその他の者
2 この条約において「路面運送用車輌」と称するのは、公有であると私有であるとを問わず、機械力により推進されるすべての車輌(電車、トロリーカー及び機械的に推進される車輌により牽引される附随車であつて報酬を得て又は車輌を運転する企業の目的のため公道で乗客又は貨物の運送に従事するものを含む。)を包含する。
第 二 条
権限ある機関は、次の者をこの条約の適用より除外することができる。
(a) 専ら個人的の用務に使用される私有の車輌を操縦し又はこれに乗り込む者
(b) 次に使用される車輌を操縦し又はこれに乗り込む者
(i) 農業的又は林業的企業による運送、尤も右の運送が当該企業の事業に直接関係し且つ専ら右事業のために行われる限りとする。
(ii) 病院及び診療所による病者及び負傷者の運送
(iii) 国防及び警察事務のための運送並びに公の機関に関係あるその他の運送
(iv) 救助事業のための運送
第 三 条
権限ある機関は、車輌の所有者及び賃金のために使用されないその家族、又は所定の種類のかかる者をこの条約の規定の全部又は一部の適用から除外することができる。尤も権限ある機関が次のことを確めた場合に限る。
(a) 右の除外が
(i) 当該規定を依然として適用される者の労働条件を不当の競争にさらすことのないこと。
(ii) この条約の適用される者を不当な災害の危険にさらし又は公安を害することのないこと。
(b) 当該国の状態に鑑み、除外されんとする者に当該規定を適用することが不可能なこと。
第 四 条
この条約において、
(a) 「労働時間」と称するのは、関係者が使用者の指揮又は関係者の労務を要求する資格があるその他の者の指揮に服する時間、又は車輌の所有者若しくはその家族については路面運送用車輌、その乗客若しくはその貨物に関連した労働に自己の計算を以て従事する時間を言い、且つ、次の時間を包含する。
(i) 車輌の走行時間中に行われる労働において費される時間
(ii) 補助的労働において費される時間
(iii) 単なる待時間
(iv) 休憩及び労働中断時間、尤も右時間が権限ある機関により定められる時間を超えない限りとする。
(b) 「車輌の走行時間」と称するのは、車輌が当該労働日の初めに出発する時より車輌がその労働日の終りに停止する時までを言う。尤も車輌の走行が権限ある機関により定められる時間を超えて中断され、その間車輌を操縦し若しくはこれに乗込む者がその欲する通りに自由に使用することができる時間又は補助的労働を行う時間を除く。
(c) 「補助的労働」と称するのは、車輌、その乗客又はその貨物に関連する労働であつて車輌の走行時間外に行われるものを言い、特に次のものを包含する。
(i) 会計勘定、現金の納入、帳簿の署名、労働カードの引渡、切符の引合せに関連する労働及びその類似の労働
(ii) 車輌の引継ぎ及び車庫入れ
(iii) 労働者が出勤簿に署名した場所より車輌を引受ける場所まで及び労働者が車輌を離れる場所より仕事の終りに出勤簿に署名する場所までの通行
(iv) 車輌の保全及び修繕に関連する労働
(v) 車輌の荷揚げ及び荷卸し
(d) 「単なる待時間」と称するのは、労働者が呼び出しに応ずるため又は時間表に定められる時刻に再び活動を始めるため専らその定位置に留まつている時間を言う。
第 五 条
1 この条約が適用される者の労働時間は、一週四十八時間を超えてはならない。
2 権限ある機関は、通常多量の補助的労働を為し又は労働がしばしば単なる待時間により中断される者につき、一層長い一週時間限度を許容することができる。
第 六 条
1 権限ある機関は、一週労働時間を平均として計算することを許可することができる。
2 権限ある機関が一週労働時間を平均として計算することを許可する場合においては、権限ある機関は、平均として計算することができる週の数及び一週において労働することができる最長時間数を定めなければならない。
第 七 条
1 この条約の適用をうける者の労働時間は、一日八時間を超えてはならない。
2 法律、慣習又は関係ある使用者及び労働者の団体間の協約(かかる団体が存在しないときは使用者及び労働者の代表者間の協約)により、一週中の一日又はそれ以上の労働時間が八時間よりも少ない場合においては、八時間の限度は、権限ある機関の許可を得て又は右の団体若しくは代表者間の協約により、一週の残りの日においてこれを超えることができる。尤もいかなる場合においても、一日八時間の限度は、この項の規定により一時間を超えてはならない。
3 権限ある機関は、次の者に関し、一層長い一日の限度を許容することができる。
(a) 一週の労働時間が第五条第一項に定められるように一週について四十八時間を超えないか、又は第六条に定められるように平均四十八時間を超えない者、及び
(b) 通常多量の補助的労働を為す者又は単なる待時間によりしばしば労働が中断される者
第 八 条
権限ある機関は、労働日の始めと終りとの間にくる最長時間数を定めなければならない。
第 九 条
1 権限ある機関は、災害事故の結果としての損失時間を所定期間内に補填することを許可することができる。
2 権限ある機関は、本条の規定が適用される場合において、前諸条により許容される時間限度を超えることを許可することができる。
第 十 条
権限ある機関は、必要欠くべからざる熟練労働者が不足していることを確める場合においては、前諸条により許容される時間限度を所定限度まで超えることを許可することができる。
第 十 一 条
1 本条は、次の場合において適用する。
(a) 災害、転覆、予見されない遅延、業務攪乱、運送中絶又は不可抗力の場合
(b) 必要欠くべからざる労務に使用される者が予見されない欠勤を為し且つ代理人を見出すことができない場合
(c) 地震、洪水、火事、伝染病又はその他の災厄のため必要とされる救済事業の場合
(d) 公共事業の運営を確保するため緊急にして例外的な必要の場合
2 本条の適用される場合においては、
(a) 前諸条により許容される時間限度は、これを超えることができる。
(b) 第十四条に規定される五時間は、これを超えることができる。
(c) 第十五条及び第十六条に規定される休息時間は、これを短縮することができる。
尤も必要欠くべからざる労務を遂行するに必要な限りとする。
3 使用者又は車輌の所有者は、権限ある機関の定める期間及び方法において、本条により遂行されるすべての労働時間及びこれが理由を右の機関に通知しなければならない。
第 十 二 条
1 前諸条により許容される時間限度は、次に関する例外的必要を充すためこれを超えることができる。尤も必要欠くべからざる労務の遂行に必要な限りとする。
(a) 旅館と到着若しくは出発の停車場又は港との間における乗客及び荷物の旅館による運送
(b) 葬儀屋による運送
2 権限ある機関は、前項の適用される条件を定めなければならない。
第 十 三 条
1 権限ある機関は、前諸条により許容される時間限度を本条の規定に従い行われる超過時間だけ超えることを許可することができる。
2 権限ある機関は、次のことを規定する規則に従い超過時間を労働する許可を与えることができる。
(a) 許可が与えられるべき手続
(b) 最少限度の超過時間報酬率、尤もいかなる場合においても、通常率の一倍四分の一を下つてはならず、且つ、
(c) 許可を与えられるべき最長時間は、いかなる場合にも次の時間を超えてはならない。
(i) 一週労働時間が一週を超える期間に亘る平均として計算される場合においては一年に付七十五時間
(ii) 一週労働時間限度が各週に適用すべき厳格な限度として適用される場合においては一年に付百時間
3 企業の自由に委される一年の超過時間に付所定超過時間数を設けることが望ましくない国においては、権限ある機関は、本項によるすべての労働時間が通常率の一倍四分の一を下らない率を以て報酬を支払われる条件の下に、前諸条により許容される時間限度を超えることを許可することができる。
第 十 四 条
1 いかなる操縦者も、五時間を超える継続的時間操縦をすることができない。
2 前項の適用上二つの時間は、権限ある機関により定められる時間により分離されるのでなければ、継続的時間とみなされるものとする。
3 権限ある機関は、時間表に定められる中断時間により、又は労務の中断的性質により充分な間隔が確保される操縦者を第一項の適用より免除することができる。
第 十 五 条
1 この条約が適用されるすべての者は、各二十四時間中に少くとも継続十二時間を包含する休息時間を与えられなければならない。
2 権限ある機関は、相当の時間の休憩を条件として、ある種の労務に付第一項により要求される休息時間を短縮することを許可することができる。
3 権限ある機関は、一週に亘つて計算される平均休息時間が第一項により要求される最少限度を下らないことを条件として、一週における所定日数において休息時間を短縮することを許可することができる。
第 十 六 条
1 この条約が適用されるすべての者は、少くとも継続三十時間を包含する休息時間(その中二十二時間を下らない時間は、同一暦日に来るものとする。)を各七日間において与えられなければならない。
2 権限ある機関は、第一項の要件を充たす休息時間数が各七日間における一の休息時間の代りに所定の最長限度を超えない数週中において与えられるべきことを許可することができる。かかる場合においては、右休息時間が配分されるべき数週中において与えらるべき休息時間の数は、少くとも週の数に等しかるべく、且つ、二つの休息時間の間隔は、十日を超えてはならない。
第 十 七 条
以下に列挙するこの条約の規定に従い権限ある機関が行う決定は、関係ある使用者及び労働者の団体が存在するときはこれと協議の上、これを行わなければならない。
第二条、第三条、第四条(a)及び(b)、第五条第二項、第六条、第七条第二項及び第三項、第八条、第九条、第十条、第十一条第三項、第十二条第二項、第十三条、第十四条第二項及び第三項、第十五条第二項及び第三項、第十六条第二項、第十八条
第 十 八 条
1 権限ある機関は、この条約の規定の有効な実施のため労働監督官、警察官、交通委員又はその他の適当な行政機関が車庫、置場及びその他の場所並びに道路において監督するの制度を維持しなければならない。
2 すべての使用者は、その使用する労働者の労働時間及び休息時間に付権限ある機関の承認する様式において帳簿を保存すべく、右帳簿は、権限ある機関の定める条件において監督機関の査閲に供しなければならない。
3 権限ある機関は、個人的管理手帳の基準様式及び右手帳がこの条約の適用をうける者に交付されるべき方法を定むべく、かかるすべての者は、労働時間中その手帳を所持し、且つ、その労働時間及び休息時間の詳細は、権限ある機関の定める方法において手帳にこれを記入しなければならない。
第 十 九 条
1 この条約の規定の実施は、国の安全の要件に応ずるため必要の場合において、権限ある機関がこれを停止することができる。尤も右の停止が厳格に必要な期間のみとする。
2 国際労働事務局は、次に付直ちに通告されなければならない。
(a) この条約の規定の実施の停止及び右の停止の理由
(b) 右の停止が終了した日
第 二 十 条
国際労働機関憲章第二十二条に基いて加盟国が提出すべきこの条約の適用に関する年報は、特に次に関する充分な情報を包含しなければならない。
(a) 第二条により執られる決定
(b) 第三条により執られる決定及び権限ある機関が右決定の正当なことを確認する理由の説明書
(c) 第五条第二項の規定の援用
(d) 第六条の規定の援用
(e) 第七条第二項又は第三項の規定の援用
(f) 第八条に従い為される決定
(g) 第十条及び第十三条の規定を援用した程度及びこれに基き設けられる規則
第 二 十 一 条
国際労働機関憲章第十九条第八項に従い、この条約のいかなる規定も、この条約により定められる所よりも一層有利な条件を労働者に確保する法律、裁定、慣習又は使用者及び労働者間の協約に影響を及ぼさないものとする。
第 二 十 二 条
この条約の正式批准は、登録のため国際労働事務局長にこれを通告しなければならない。
第 二 十 三 条
1 この条約は、国際労働事務局長にその批准を登録した国際労働機関の加盟国のみを拘束する。
2 この条約は、事務局長が加盟国中の二国の批准を登録した日の十二箇月後に効力を生ずる。
3 爾後この条約は、他の何れの加盟国に付ても、その批准を登録した日の十二箇月後に効力を生ずる。
第 二 十 四 条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約の最初の効力発生の日より十年の期間満了後において、国際労働事務局長宛登録のためにする通告によりこれを廃棄することができる。右の廃棄は、該事務局に登録があつた日の後一年間はその効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国であつて前項に掲げる十年の期間満了後一年以内に本条に定める廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受くべく、又爾後各十年の期間満了毎に本条に定める条件により、この条約を廃棄することができる。
第 二 十 五 条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国により事務局長に通告されたすべての批准及び廃棄の登録を国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、これに通告された第二回目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告するときに、この条約が効力を発生する日について国際労働機関の加盟国の注意を喚起しなければならない。
第 二 十 六 条
国際労働事務局の理事会は、この条約の効力発生より各十年の期間満了毎にこの条約の施行に関する報告を総会に提出すべく、且つ、その全部又は一部の改正に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議しなければならない。
第 二 十 七 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合には、新条約が別段の定をしない限り、
(a) 一加盟国による新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したとき、前記第二十四条の規定に拘わらず、当然にこの条約の即時の廃棄を生ぜしめる。
(b) 新改正条約の効力発生の日より、この条約は、加盟国により批准され得ないようになる。
2 この条約は、これを批准したるも改正条約を批准しない加盟国に対しては、いかなる場合においても、その現在の形式及び内容において引き続いて効力を有する。
第 二 十 八 条
この条約は、フランス語及びイギリス語の本文を以て共に正文とする。