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建築業における安全規定に関する条約(第62号)
(日本は未批准 仮訳)
第 一 部 条約当事国の義務
第 一 条
1 この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次の法令又は規則を実施することを約する。
(a) この条約の第二部乃至第四部に掲げられる一般原則の適用を確保し、且つ
(b) 千九百三十七年の安全規定(建築業)勧告に附録として掲げられる規範の規定若しくはこれに等しい規定又は国際労働総会により爾後勧告される改正規範の規定に対し、国内事情よりして可能であり且つ望ましい効果を与えるため規則を設ける権限を適当な機関に附与するもの
2 右の各加盟国は、なお千九百三十七年の安全規定(建築業)勧告に附録として掲げられる規範又は国際労働総会により爾後勧告される改正規範の規定に効果を与えた程度を示す報告書を三年毎に国際労働事務局に送付することを約する。
第 二 条
1 この条約の第二部乃至第四部に掲げられる一般原則の適用を確保するための法令又は規則は、すべての様式の建築物の建設、修理、変更、保存及び解体に関連し現場において行われるすべての作業にこれを適用する。
2 右の法令又は規則は、権限のある機関が関係ある使用者団体及び労働者団体存するときはこれに諮問の上、通常合理的に安全な状態において行われる性質の作業をその規定の全部又は一部から除外することができることを規定することができる。
第 三 条
この条約の第二部乃至第四部に掲げる原則の適用を確保するための法令又は規則並びに千九百三十七年の安全規定(建築業)勧告に附録として掲げられる規範に対し効果を与えるため適当な機関により設けられる法令又は規則は、
(a) 権限のある機関により承認される方法を以て右の法令又は規則をすべての関係者に告知することを使用者に要求し、
(b) 右の法令又は規則の遵守に付責任ある者を定め、且つ
(c) 右の法令又は規則の違反に対し適当な処罰を規定しなければならない。
第 四 条
この条約を批准する各加盟国は、建築業における安全措置に関するその法令又は規則の有効な実施を確保するに充分な監督制度を維持し又は維持されていることを確認することを約する。
第 五 条
1 加盟国の領域であつて権限のある機関が人口の稀薄又は経済的発達の程度によりこの条約の規定を実施すること不可能と認める広い地域を包含する場合においては、右の機関は、一般的に又は特殊の地方若しくは特殊の種類の建築工事に付適当と認める例外を付して、右の地域を条約の適用から除外することができる。
2 各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条により提出するその最初の年報において、右加盟国がこの条の規定を援用せんとする地域を指摘すべく、且ついかなる加盟国も、その最初の年報の日付後は右の如く指摘した地域に関する外、この条の規定を援用することができない。
3 この条の規定を援用する各加盟国は、爾後の年報においてこの条の規定を援用する権利を抛棄する地域を指摘しなければならない。
第 六 条
この条約を批准する各加盟国は、この条約の範囲内に在る作業に従事する者に起る災害の件数及び分類に関する最近の統計資料を毎年国際労働事務局に送付することを約する。
第 二 部 足場に関する一般原則
第 七 条
1 梯子又はその他の手段によつて安全に行うことができないすべての作業に付、労働者のため適当の足場を設けなければならない。
2 足場は、次の通りにしなければ、これを建設し、取外し又は実質的に変更してはならない。
(a) 資格あり、且つ責任ある者の指揮の下において、且つ
(b) できるだけこの種の作業において充分な経験を有する資格ある労働者により、
3 すべての足場及びこれに附随する設備並びにすべての梯子は、
(a) 堅牢な材料のものでなければならない。
(b) これに加えられるべき荷重及び内力に対して充分な耐久力のあるものでなければならない。且つ
(c) 適当な状態に維持されなければならない。
4 足場は、そのいかなる部分も通常の使用の結果として転位しないようにこれを組立てなければならない。
5 足場は、これに過重を加えないようにし、且つできるだけ荷重は、平均に配分されるようにしなければならない。
6 足場は、起重装置を設置するに先だち、右足場の耐久力及び安全度を確保するよう特別の注意を払わなければならない。
7 足場は、資格ある者によつて定期的にこれを検査しなければならない。
8 各使用者は、その労働者が足場を使用することを許容するに先だち、右足場が労働者により建設されたと否とを問わず、この条のすべての要件に充分適合することを確保するため措置を執らなければならない。
第 八 条
1 作業台、通路及び階段は、
(a) いかなる部分も過度又は不平均に撓むことのないようこれを建設しなければならない。
(b) 現状を考慮し躓くか又は辷る危険をできるだけ減ずるようにこれを建設し且つ維持しなければならない。且つ
(c) 不必要な障害物を取除いておかなければならない。
2 作業台、通路、作業場及び階段の地上又は床上の高さが国内の法令又は規則により定められる高さを超える場合においては、
(a) すべての作業台及びすべての通路には、間隙無く板張りをしなければならない。
(b) すべての作業台及び通路は、充分な幅をもたなければならない。且つ
(c) すべての作業台、通路、作業場及び階段には適当に柵囲を設けなければならない。
第 九 条
1 建築物の床又は作業台におけるすべての開口には、人の出入又は材料の運搬若しくは移動を可能ならしめるに必要な時間及び程度を除いては、人又は材料の落下を防止するため適当な措置を施さなければならない。
2 労働者が国内の法令又は規則により規定されるべき高さを超える高所から落下する危険の存する屋上において使用される場合においては、人又は材料の落下を防止するため適当な措置を講じなければならない。
3 足場又はその他の作業場所から落下する物品で人が怪我をすることのないよう適当な措置を講じなければならない。
第 十 条
1 すべての作業台及びその他の作業場には、安全な出入手段を設けなければならない。
2 すべての梯子は、堅固にこれを取付け、且つ使用されるすべての位置において堅固な手掛及び足掛を供するに充分な長さのものでなければならない。
3 作業の行われるすべての場所及びこれへの通路は、充分照明をしておかなければならない。
4 電気設備に基く危険を防止するため充分な措置を講じなければならない。
5 現場のいかなる材料も、人に危険を及ぼすが如くにこれを積重ね又は放置しておいてはならない。
第 三 部 揚重設備に関する一般原則
第 十 一 条
1 揚重機及び複合滑車(附属物、固定物及び支持物を含む。)は、
(a) 機械構造良好、材料堅牢、耐久力充分であつて明白な疵のないものでなければならない。且つ
(b) 常に手入れを良くし且つ良い運転状態に置かなければならない。
2 材料の揚げ卸しに又は懸垂用として使用されるすべての綱は、適当な質のもので充分な耐久力があり且つ明白な疵のないものでなければならない。
第 十 二 条
1 揚重機及び複合滑車は、現場において建設後及び使用前これを検査し、試験し、且つ国内の法令又は規則により規定されるべき期間に適当な位置において再検査しなければならない。
2 材料の揚げ卸しに又は懸垂用として使用されるすべての鎖、環、鈎、「シヤツクル」、「スウイヴル」及び複合滑車は、定期的にこれを検査しなければならない。
第 十 三 条
1 すべての起重機運転手及び揚重装置操縦手は、適当な資格を有する者でなければならない。
2 国内の法令又は規則に定められるべき年齢未満の者は、揚重機(足場捲揚機を含む。)を操縦し又は操縦者に信号をすることを担当してはならない。
第 十 四 条
1 すべての揚重機並びに材料の揚げ卸しに又は懸垂用として使用されるすべての鎖、環、鈎、「シヤツクル」、「スウイヴル」及び複合滑車に付ては、適当な措置により安全荷重を確めなければならない。
2 すべての揚重機及び前項に揚げられるすべての装置には、明白に安全荷重を標示しなければならない。
3 種々の安全荷重を有する揚重機に付ては、各安全荷重及びこれが適用されるべき条件を明示しなければならない。
4 この条の第一項に掲げられる揚重機又は装置のいかなる部分も、試験の目的を以てする外、安全荷重を超えてこれに負荷してはならない。
第 十 五 条
1 揚重装置の「モーター」、歯車装置、伝導装置、電線及びその他の危険な部分には有効な安全装置を設けなければならない。
2 揚重装置には、荷物が偶然落下する危険を最小限度に少なからしめる措置を施さなければならない。
3 懸つている荷物の一部分が偶然外れる危険を最小限度に少なからしめるため適当な措置を講じなければならない。
第 四 部 安全装置及び救急に関する一般原則
第 十 六 条
1 すべての必要な属人的安全装置は、現場において労働者の使用にこれを供し、且つ即時の使用のため適当な状態において維持しなければならない。
2 労働者にはかくの如く備付けられた装置を使用することを要求しなければならないし、且つ使用者は、関係労働者による装置の適当な使用を確保するため充分な措置を講じなければならない。
第 十 七 条
溺死する危険のある場所の近くにおいて作業が行われる場合においては、すべての必要な装置を設け、且つこれを使用することができるようにしておかなければならないし、且つ危険状態に在る者の迅速な救助のためすべての必要な措置を講じなければならない。
第 十 八 条
すべての負傷者が作業中迅速な応急手当を与えられるよう充分な措置を講じなければならない。
第 五 部 最終規定
第 十 九 条
この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。
第 二 十 条
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を国際労働事務局長が登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
第 二 十 一 条
国際労働事務局長は、国際労働機関の二加盟国の批准が登録されたときは、この旨を直ちに国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。同事務局長は、また他の加盟国からその後通告を受けた批准の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。
第 二 十 二 条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通告する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で前項に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。
第 二 十 三 条
国際労働機関の理事会は、この条約が効力を生じた後十年の期間が経過するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。
第 二 十 四 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第二十二条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。
第 二 十 五 条
この条約のフランス語及び英語による本文は、ともに正文とする。