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非工業的労務に使用し得る児童の年令に関する条約(第60号)(1937年改正)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百三十七年六月三日を以てその第二十三回会議を開催し、
 この会議の会議事項の第七項目である、総会によりその第十六回会議において採択された非工業的労務に使用し得る児童の年令に関する条約の一部改正に関する提案の採択を決議し、
 この提案は国際条約の形式に依るを要することを思い、
 千九百三十七年の最低年令(非工業的労務)条約(改正)として引用することができる次の条約を千九百三十七年六月二十二日に採択する。

第 一 条

1 この条約は、農業ニ使用シ得ル児童ノ年令ニ関スル条約(千九百二十一年「ジユネーヴ」)、千九百三十六年の最低年令(海上)条約(改正)、又は千九百三十七年の最低年令(工業)条約(改正)において処理されないすべての労務にこれを適用する。
2 各国における権限ある機関は、関係ある主な使用者団体及び労働者団体に諮問の後、この条約の適用を受ける労務と前記三条約において処理される労務とを区別する分界を定めなければならない。
3 この条約は、次のものにこれを適用しない。
(a) 海上漁撈における労務
(b) 技術学校及び職業学校において行われる労働。但し右労働は、本質上教育的性質を有し、商業的利益を目的とせず且つ公の機関により制限され、承認され及び監督されるものとする。
4 各国における権限ある機関は、次のものをこの条約の適用から除外することができる。
(a) 使用者の家に属する者のみが使用される設備における労務。但しこの条約第三条又は第五条の意味において害あり、妨げあり又は危険である労務を除くものとする。
(b) 家内における家事上の労働であつてその家に属する者により遂行されるもの

第 二 条

 十五歳未満の児童又は国内の法令若しくは規則により初等学校に出席することをなお要求される十五歳以上の児童は、以下に別段の規定ある場合を除き、この条約の適用を受けるすべての労務においてこれを使用することができない。

第 三 条

1 十三歳以上の児童は、授業時間外において、次の軽易労働にこれを使用することができる。
(a) その健康又は正常な発達に害がなく、且つ
(b) その学校出席又は学校において行われる授業を受けるその能力を妨げるが如きものでないもの
2 十四歳未満の児童は、
(a) 学校日であると休日であるとを問わず、一日二時間を超えてこれを軽易労働に使用し、又は
(b) 一日総数七時間を超える時間を学校と軽易労働とにおいて費すことができない。
3 国内の法令又は規則は、十四歳以上の児童の軽易労働に使用することができる一日の労働時間を定めなければならない。
4 軽易労働は、次のときにこれを禁止しなければならない。
(a) 日曜日及び法定の公の休日
(b) 夜間
5 前項において「夜間」と称するのは、
(a) 十四歳未満の児童については午後八時と午前八時との間の時間を包含する少くとも継続十二時間の時間をいう。
(b) 十四歳以上の児童については国内の法令又は規則により定められる時間をいう。但しその長さは、昼間代償休憩を与える熱帯諸国についての外、十二時間を下ることができない。
6 関係ある主な使用者団体及び労働者団体に諮問した後、国内の法令又は規則は、次のものを定めなければならない。
(a) この条の適用上軽易労働と認められる労働の種類
(b) 児童が軽易労働に使用されるに先だち保障として遵守されるべき予備的条件
7 前記第一項(a)の規定の留保の下に、
(a) 国内の法令又は規則は、第二条に掲げられる十四歳を超える児童の学校休日の期間中に許容されるべき労働及び一日の労働時間を定めることができる。
(b) 義務教育に関する規定が存在しない国においては、軽易労働に費される時間は、一日四時間半を超えることができない。

第 四 条

1 芸術、科学又は教育のために、国内の法令又は規則は、児童が公衆娯楽に又は活動写真「フイルム」製作の際の役者若しくは補役として出場し得るために、この条約第二条及び第三条の規定に対する例外を、各個の場合において下付される許可証により、許容することができる。
2 但し、
(a) 右例外は、曲芸、寄席又は酒場余興における労務の如き第五条の意味において危険な労務については許容されないものとする。
(b) 児童に対する親切な待遇、充分な休息及び教育の継続を確保するため、児童の健康、身体上の発達及び道徳に関し、厳重な保障を規定しなければならない。
(c) この条に従い許可証の下付された児童は、午後十二時後これを使用してはならない。

第 五 条

 労務であつてその性質上又はこれが行われる場合の情況に依りこれに使用される者の生命、健康又は道徳に危険なものに年少者及び青年を使用し得ることに関し、国内の法令又は規則は、この条約第二条に掲げられるものに比し一層高い年令を定めなければならない。

第 六 条

 街上若しくは公衆の出入する場所における巡廻商業のための労務、露店における常時的労務又は巡廻業務における労務の状態が一層高い年令の定められるべきことを要求する場合においては、右労務に年少者及び青年を使用し得ることに関し、国内の法令又は規則は、この条約第二条に掲げられるものに比し一層高い年令を定めなければならない。

第 七 条

 この条約の規定の適法な実施を確保するため、国内の法令又は規則は、
(a) 公の検査及び監督の適当な制度に関し規定しなければならない。
(b) 各使用者に対し、第六条の適用される労務以外の労務であつてこの条約の適用を受けるものにおいてその使用する十八歳未満のすべての者の氏名及び出生日を記載した帳簿を備付けることを要求しなければならない。
(c) 第六条の適用を受ける労務及び業務に従事する所定年令未満の者の識別及び監督を容易ならしめるための適当な方法に関し規定しなければならない。
(d) この条約の規定を実施するための法令又は規則の違反に対する処罰に関し規定しなければならない。

第 八 条

 国際労働機関憲章第二十二条により提出されるべき年報には、次のものを含めて、この条約の規定を実施するためのすべての法令及び規則に関する充分な情報を包含しなければならない。
(a) 国内の法令又は規則が第三条の適用上軽易労働であると定める労務の種類の表
(b) 第五条及び第六条に従い国内の法令又は規則が第二条に定められるものに比し一層高い使用許容年令を定めた労務の種類の表
(c) 第四条の規定に従い第二条及び第三条の規定に対する例外が許容される場合の情況に関する充分な情報

第 九 条

1 この条約の第二条、第三条、第四条、第五条、第六条及び第七条の規定は、インドにこれを適用しない。但しインドにおいては、次の規定は、インド立法府が適用する権限を有するすべての地域にこれを適用しなければならない。
2 十三歳未満の児童は、次のものにおいてこれを使用することができない。
(a) 店舗、事務所、旅館又は料理店
(b) 公衆娯楽場
(c) この項の規定が権限ある機関により拡張されるべきその他の非工業的労務
3 芸術、科学又は教育のために、国内の法令又は規則は、児童が公衆娯楽又は活動写真「フイルム」製作の際の役者若しくは補役として出場し得るために、前項の規定に対する例外を、各個の場合において下付される許可証により、許容することができる。
4 十七歳未満の者は、権限ある機関が関係ある主な使用者団体及び労働者団体に諮問の後、生命、健康又は道徳に対する危険を伴うと宣言する非工業的労務にこれを使用することができない。
5 国際労働総会は、問題がその会議事項に上程される会議において、この条の前諸項に対する改正案を三分の二の多数を以て採択することができる。
6 右改正案は、総会会議の閉会から一年以内に又は例外的事情においては十八箇月以内に、インドが立法その他の措置のため当該事項に付権限ある機関にこれを提出しなければならない。
7 インドは、当該事項に対権限ある機関の同意を得たときは、登録のため国際労働事務局長に改正案の正式批准を通告しなければならない。
8 右改正案は、インドにより批准されたときは、この条約の改正として効力を発生する。

第 十 条

 この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。

第 十 一 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を国際労働事務局長が登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 十 二 条

 国際労働事務局長は、国際労働機関の二加盟国の批准が登録されたときは、この旨を直ちに国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。同事務局長は、また他の加盟国からその後通告を受けた批准の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。

第 十 三 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通告する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で前項に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 十 四 条

 国際労働機関の理事会は、この条約が効力を生じた後十年の期間が経過するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 十 五 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第十三条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 六 条

 この条約のフランス語及び英語による本文は、ともに正文とする。



最終更新日:2005年3月11日 作成者:HW 責任者:MH